[ブエノスアイレス 31日 ロイター] アルゼンチンの首都ブエノスアイレス最大の精神科病院で、哀愁のあるアコーディオンの旋律に合わせ、患者が医師や看護師とタンゴを踊っている。イタリアやオーストラリアなど、アルゼンチンから遠く離れた国々でも、様々な治療にタンゴを利用する「タンゴセラピー」が広がっている。
ワシントン大学メディカルスクールの研究では、パーキンソン病の患者がタンゴを習うことで、体のバランスを取りにくくなる症状が改善されたことが分かった。
英国ではタンゴの複雑なステップが、アルツハイマー型認知症患者の記憶力向上に使われている。またイタリアでは、体を密着させ後ろに移動する動きにパートナーへの信頼が必要になるとして、夫婦間のカウンセリングに用いられている。
ウェールズに拠点を置くタンゴセラピーの国際団体で代表を務めるMartin Sotelano氏は、「タンゴの利点は、患者によって踊りのスタイルを変えられることだ」と説明。「夫婦のカウンセリングではコミュニケーションを重視し、アルツハイマー型認知症の治療では基本の8つのステップに重きを置く。パーキンソン病の患者には、洗練されたしっかりとした動きを練習することが役に立つ」と話した。