September 10, 2009 / 5:29 AM / 10 years ago

世界的株高で上昇するリスク許容度、ドル安も同時進行

 [東京 10日 ロイター] グローバルな株高を受けて、10日の東京市場は海外勢のリスク許容度が高まっているとの観測が広がり、株高とドル安の地合いになった。背景には流動性相場の長期化観測があり、円債市場では株高の下で国債現物の短期ゾーンにマネーが集まりやすくなっている。

 9月10日、グローバルな株高を受けて、海外勢のリスク許容度が高まっているとの観測が広がり、株高とドル安の地合いに。写真は都内の株価ボード前。8日撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 <海外勢が銀行株買い戻し>

 株式市場では、日経平均が反発している。米株式市場が4営業日続伸となったほか、ロンドンのFT100種総合株価指数、ドイツのクセトラDAX指数などが相次いで年初来高値を更新し、米欧株高を受けて買いが先行した。「海外勢がハイテク、自動車などに買いを入れているほか、前日まで売り込んだ銀行株を買い戻している。先進国の株高で海外ファンドのリスク許容度が高まったようだ。原油高を背景にオイルマネーが流入しているとの観測もある」(大手証券エクイティ部)という。

 10日朝発表の7月機械受注統計は前月比9.3%減と事前予想を下回ったが「6月の反動減が出た。受注水準は5月とほぼ並ぶものであり、下げ止まり感が強まっている」(大和総研シニアエコノミストの熊谷亮丸氏)として悪材料とはならなかった。

 日米欧の中央銀行が金融緩和の出口政策に踏み切れない中、過剰流動性は金、原油などの国際商品市場から先進国の株式市場に流れ込んでいるが、市場には慎重論も少なくない。みずほ総研・シニアエコノミストの武内浩二氏は「足元では一段の円高警戒感が出ているほか、銀行株も自己資本に関する規制強化から上値を追う地合いとは思えず、米国の上昇に比べると東京市場の上値は限定的だろう。来週は新政権発足などイベントもあるが、株式市場は基本的に海外市場の動向など外部環境要因で左右される展開が続く」とみている。

 また、大和住銀投信投資顧問・投資戦略部長/チーフストラテジストの門司総一郎氏は「4月以降、SQ天井が続いていたので、明日のメジャーSQを前にSQ前は買ってはいけないという意識が前週、今週と働いてきたようだ」と分析。その上で「欧米アジア株が総じて堅調で、戻り高値となる市場も出ている。日本株も買い戻しや今まで買い控えていた投資家が買い始めているとみている。9日に連立与党が合意されたことは、いったんの買い材料。来週は閣僚人事も固まるとみられ、日本株にはどちらかといえば追い風となるのではないか」とみていた。

 <ドル全面安、対円は7カ月ぶり安値>

 外為市場ではドルが全面的に下落。海外市場で対円で一時91.61円と2月17日以来、7カ月ぶり安値を記録した。さらに対ユーロとスイスフランで昨年12月以来、対豪ドルとNZドルで昨年8月以来の安値を更新した。主要通貨に対するドルの値動きを示すドル指数も昨年9月以来の低水準をつけた。

 今週に入って急ピッチに進むドル安をめぐり、市場の見方は交錯している。世界的に株価や商品相場が上昇して投資家のリスク選好姿勢が強まる「リスク・オン取引」の活発化にあるとする声、くすぶるドルの基軸通貨問題に関心を寄せる声など様々だ。

 ただ「いずれにせよ方向感がドル売りではっきりしてきた」(都銀)ことで、値幅を取りやすいテクニカルポイントを狙った短期筋の売買は着実に活発化。前日の大幅安につながったという。海外市場の終盤からこの日の東京市場にかけて、ドルは92円前半へ反発したが、市場では反落を予想する声が大勢だ。

 ドル/円は、オプションに絡むポイントや、一時は過去最大規模に膨らんだ個人投資家など、これまでドルを買い持ちにしてきた向きが損失確定の売り戻しに動くストップロスが集中しているとされる91.50円付近を下抜けるかが、目先のポイントとする声が大勢。この水準を下抜けるとテクニカル上、2月以来の「90円割れを試す展開が視野に入る」(外銀)という。

 <国債市場、短期ゾーンで邦銀勢の買い>

 円債市場では、残存2年と10年の現物債利回り格差が広がり、イールドカーブが2年ゾーンから10年ゾーンにかけてスティープニングする形状となった。邦銀勢の一角が、残存8―10年の債券を売ることで益出しする一方、待機資金を2年ゾーンに移すオペレーションに踏み切ったため、との見方が有力視されている。

 ドイツ証券・チーフ金利ストラテジストの山下周氏は「短期ゾーンの金利低下はキャッシュつぶしの動きが作用している。8日実施の5年利付国債入札が順調だったことがトリガーとなっている」と指摘した。

 外資系金融機関の債券ディーラーは「残存8―10年はどれでも益出しができそうなレベルに位置しており、10日午前の取引では、比較的まとまった量の売りが出たとの声が上がっている。一方で残存2年や4年が強地合いとなっており、入れ替え目的のオペレーションが入ったと推測される」と話した。

 日銀金融政策をめぐっては「当面は現行金融政策の維持がメーン。企業金融支援の特別措置は再延長の公算が大きい」(日興シティグループ証券・チーフストラテジストの佐野一彦氏)との見方が一般的だ。

 市場には「過剰流動性でカネ余りの中、金利リスクを取るにしても最終的に損失を被るリスクが極めて小さいとみられる短期ゾーンに資金が流入しやすい状況が続いている」(外資系証券)との声も出ている。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 内田慎一)

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