September 28, 2009 / 5:28 AM / 10 years ago

投機筋が一気に円買い仕掛け、想定外の円高で株価1万円割れ

 [東京 28日 ロイター] 週明けの東京市場では円高の勢いが増し、ドル/円は88円前半まで急落した。介入警戒感の後退で投機筋が仕掛けてきた側面が強く、円は対ドルだけでなく幅広く買い上げられている。その後はポジション調整なども入り、やや円高は一服したものの、円買いの余地はまだある、との声も根強い。

 9月28日、週明けの東京市場では円高の勢いが増し、ドル/円は88円前半まで急落。写真は都内の外為ディーラー。1月撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai)

一方、この影響を受けたのが金融株下落で地合いが悪化していた株式市場。輸出関連株が軒並み売られ、日経平均は1万円を割り込んだ。想定外の円高ピッチと受け止められている。 

 <円独歩高> 

 為替市場では円が急伸。ドル安地合いが続く中、25日夜の取引でテクニカル上も心理的にも節目だった90円を下抜けたことで、「短期筋を中心に円の買い仕掛けが活発化している」(都銀)という。ドルは朝方の取引で一時88.23円と今年1月23日以来8カ月ぶり安値を更新。25日東京市場の高値91円前半からの下げ幅は3円超と急ピッチの円高が進んだ。

 円は、対ドルでの急伸が他通貨にも波及する形で全面高。ユーロ/円は一時129円後半と2カ月半ぶり、英ポンド/円が139円後半と5カ月ぶり、豪ドル/円は76円半ばと1カ月ぶり安値を更新した。25日高値からの下げ幅はユーロが3.4円、英ポンドが7円弱、豪ドルが2.5円に達した。 

 売買の中心が短期筋とあって、値動きの荒さも目立っている。安値更新後、ドルは正午にかけて89.42円まで1円超反発。久々の円高水準とあって、下値で輸入企業や一部国内投資家が買いに動いたことに加え、この日の東京市場では「海外ファンドの買い戻しが活発」(邦銀)となった。「これまで売り込んだ向きが早々と利益確定の買い戻しに動いている」(外銀)という。

 介入への警戒感が乏しいことも、投機筋の円買いマインドを支えた。ダウ・ジョーンズ(DJ)はドルが安値をつけた直後の28日朝、藤井裕久財務相が最近の円相場の動きは「異常ではない」との認識を示したと伝えた。藤井財務相の発言は「これまでと変わらず」(別の外銀)で直接的な影響は限られたものの「(金曜日から)1日数円ペースで動いているのに、異常ではないとのトップ発言には少し驚きがある。介入が実際に行われるかは別としても、投機筋が円を買い仕掛ける口実にはなりやすい」(別の都銀)とする声があった。

 藤井財務相はその後、「円高是認とは言っていない」などと述べ円買いは一服したが、投機筋の動きがこれで止まるとみる向きは少ない。

 円全面高の主因は対ドルでの急伸にあるが、市場では週末に開催された20カ国・地域(G20)首脳会議(金融サミット)が世界経済の不均衡是正を指摘したことで「経常黒字通貨の代表格である円に買い仕掛けが入りやすくなったと(投機筋が)口実をつけやすくなった面も否定できない」(先出の都銀)とする声もあった。

 <悪材料重なる日本株>

 株式市場では日経平均が大幅に続落し、一時約2カ月ぶりに1万円の大台を割り込んだ。急激に進んだ円高が嫌気され、ハイテク、自動車などの輸出株を中心に売りが先行している。「大手自動車の前提レートは90―92円。想定を上回る円高により企業業績の上振れ期待がはく落した。金融株の下落が投資家のマインドを冷ましているほか、大型増資ラッシュへの懸念など需給にも不安感がある。悪材料が重なったことで日経平均は調整が長引く可能性が高くなった」(みずほインベスターズ証券エクイティ情報部長の稲泉雄朗氏)との声が出ている。

 製造業の景況感の改善は続いているとみられ、30日発表の8月鉱工業生産や10月1日発表の日銀短観などで改善が確認されるとの期待もあったが、想定外の円高が企業業績や景気の先行きに対する不安心理を高めることになった。「日経平均1万円以下の水準では海外勢などの押し目買い注文も入っているが、円高に歯止めがかからないと一段の下値模索もあり得る」(準大手証券トレーダー)とみられている。

 みずほ証券マーケットアナリスト、高橋幸男氏は「日経平均は8月、9月のレンジ下限だった1万0100円を割り込み、ボックス圏から下放れした。1、2週間は下値を探るさえない展開となる可能性がある」と話す。

 <債先に踏み上げも>

 円高/株安を受けて円債市場は定石通り買いの地合い。市場参加者によると、一部預金取扱金融機関が5年ゾーンの債券を売る一方、比較的割安に位置していた残存8年や9年の債券を買い、保有債券を入れ替えするオペレーションに踏み切った。これにより、「海外ファンド勢や証券会社など業者は、国債先物を踏まされていたのではないか」(外資系金融機関)という。

 日本国債の利回り曲線は、5年ゾーンから10年ゾーンにかけてフラットニングする形状となったが、20年ゾーンでは上値が重かった。

 前出の外資系金融機関の関係者は「ひとまずの様子見気分もあり、朝方の取引一巡後は動意が薄らいだ。仕組み債絡みのフローでもなければ、20年債利回りの2%割れには抵抗感がある」と話した。

 市場には「為替が円高に振れており、債券市場は基本的には底堅い。為替動向次第で相場が振れる可能性もある。しかし、金利低下に拍車がかかれば利益確定目的の売りが出そう。年度下期をにらんで益出し売り/押し目買いの投資行動に傾きやすい」(外資系証券)との見方もあった。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集 宮崎亜巳)

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