October 6, 2009 / 8:49 AM / 10 years ago

インタビュー:出口戦略、余裕もった対応が適切=水野日銀審議委員

 [東京 6日 ロイター] 日銀の水野温氏審議委員は6日、ロイターとの単独インタビューに応じ、日銀はリーマンショック以来、経済・金融情勢の劇的な変化に適切に対応してきたとの評価を市場参加者から受けてきたとしたうえで、コマーシャルペーパー(CP)・社債の買入れなど「異例の措置からの出口戦略について、余裕をもって対応することが適切だ」との認識を示した。

 10月6日、日銀の水野審議委員は「異例の措置からの出口戦略について、余裕をもって対応することが適切だ」との認識を示した。昨年1月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 異例の措置の取り扱いについては「期限である年末までに、企業金融や金融市場の状況をしっかりと点検したうえで、その改善度合いに応じて、適切に対応していく」と述べた。さらに「時限措置が市場機能の自立的な回復をかえって阻害しないか、という観点も重要だ」と指摘した。

 水野委員はまた「CP・社債の発行環境については、改善傾向が続いている」「CP買入れオペと社債買入れオペの利用が減り、買入れ残高も減少している」と指摘する一方で、企業金融支援特別オペについては「ニーズは強く、残高も7兆円程度とピーク時からそれほど変化していない」と説明した。

 また水野委員は、企業金融支援についての各種時限措置はテクニカルなものなので、その「出口」についての議論は、関係する短期金融市場、債券市場だけでなく、その他の市場参加者にも十分理解してもらうことが重要だ、と強調。そうすることで「日銀は出口戦略に前のめりになっているとの誤解が生じることを回避できると思う」と述べた。

 為替政策については「中央銀行がコメントすることは適切でない」としたうえで、一般論として「為替レートは市場においてできるだけ安定的に形成されることが望ましい」と語った。

 また円高の経済への影響については「短期的にはデフレ的圧力」、「中長期的には経済をまた押し上げていく力もある」と指摘。そのため円高の影響については「ごく短期的なものだけを捉えてみるのではなく、少し長い目で、経済全体のバランスの中で判断していく必要がある」との認識を示した。

 物価情勢については、秋以降、昨年の物価上昇の反動の影響という要因が薄れていくにつれて、物価の下落幅が縮小していくと予想した。

 いわゆるデフレスパイラルを起こさないためには、金融システムが不安定化せず、企業や家計の中長期的なインフレ予想が下振れないことが重要だとしたうえで「これまでのところ、わが国の金融システムとインフレ予想はともに安定していると判断している」と指摘。「デフレスパイラルに陥るリスクが高まっているとは判断していない」と語った。

 日銀は10月末に発表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で2011年度までの見通しを示すが、水野委員は物価見通しについて「足元で需給ギャップが大きく、ギャップ縮小のペースも緩やかであることを考えると、コアCPIのマイナス幅縮小は緩慢となる」と予想した。

 日本経済の先行きについては、在庫復元と各種の公的施策によって支えられた経済から、内外ともに民需主導の自律的な成長に移行していき、成長率が徐々に高まっていくのが中心的見通しと述べたが「政策効果が一巡した後、わが国経済の回復が持続するかどうか、この点については引き続き楽観できない」と警戒感も示した。

 さらに欧米の金融システムが安定したと言えないこと、欧米主要国の雇用回復は弱く、金融機関は貸出増加に慎重ななか、物価見通しは上振れよりも下振れリスクの方が大きいこと、米国の家計のバランスシート調整は道半ばであることなどから「民間内需主導の本格的な景気回復軌道に乗るにはなお相当の時間を要する」と予想した。

 世界経済の改善について水野委員は「新興国を含めて各国の政策措置に支えられている面が強く、その持続性には依然不確実性がある」と指摘。

 中国景気の回復については4月の展望リポート時よりも力強いとしたものの、巨額の財政刺激策と過剰な銀行融資は短期的には不動産などの資産バブルの懸念、中長期的には、過剰債務・不良債権につながるリスクを伴うため「足元堅調であるものの、先行きについては上下両方向のリスクを点検する必要がある」と述べた。

 また今回の金融危機について、米国の過剰消費、アジアの過剰貯蓄に代表されるグローバル・インバランスの修正という構造的な調整が進ちょくするとみられるが「米国経済が今回の金融危機以前の姿に戻ることは期待薄だ」と指摘。そのうえで、新興国が世界の需要をどれだけ吸収できるか未知数のため「世界経済は当面低成長を甘受しなければならない局面にある」と厳しい見方を示した。

 また主要国において「財政刺激策、金融緩和策、金融システム安定化策からの出口戦略を実施するタイミングが早過ぎたり、自己資本比率などに関する国際的規制の見直しを行うタイミングを誤ったりした場合は、景気の腰折れを招くリスクがある」と指摘した。

 金融機関の規制監督体制の見直しについては「最低自己資本比率の引き上げや自己資本の質の見直しだけでは、プロシクリカリティーの問題解決にならない。現在議論されている規制強化策の導入が、銀行の貸出態度のさらなる慎重化を招くようでは、本末転倒だ」と警鐘を鳴らした。

 (ロイターニュース 児玉成夫記者、佐野日出之記者、志田義寧記者、梶本哲史記者)

 

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