October 27, 2009 / 9:02 AM / 11 years ago

日銀が3年連続物価マイナス予測へ、超低金利の維持強調

 志田 義寧記者

 10月27日、日銀は10月30日に公表する展望リポートで、消費者物価指数予測を2011年度まで3年連続でマイナスとする見通しだ。写真は日銀本店。3月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 27日 ロイター] 日銀は10月30日に公表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)予測を2011年度まで3年連続でマイナスとする見通しだ。

 日銀は景気が下振れれば、景気悪化と物価下落の負の連鎖となる「デフレスパイラル」に陥りかねないことから、超低金利政策を維持して粘り強く景気を下支えしていく方針。

 ただ、12月末までの時限措置として実施しているコマーシャルペーパー(CP)や社債の買い入れについては廃止の公算が大きい。企業金融支援特別オペについては、共通担保資金供給オペで代替可能との見方が強まっていることを踏まえつつ、効果と副作用などを見極めた上で慎重に判断する。早ければ同日開催の金融政策決定会合で結論を出す。日銀は仮に「異例の措置」を解除したとしても、潤沢な資金供給の継続を強く訴えることで、金融環境の安定確保を目指す。

 <潜在成長率は1%を下回る公算大>

 日銀は、物価見通しと表裏一体の関係にある潜在成長率が、足元で低下しているとの見方を強めている。4月末に公表した前回の展望リポートでは、資本ストックの伸び率が低下していることなどを反映して「1%前後」に引き下げたが、足元は1%を下回っているとの見方が有力だ。

 日銀は、潜在成長率を「生産関数アプローチ」と呼ばれる手法を用いて、1)資本ストック、2)労働投入量、3)技術進歩などの全要素生産性──の3変数から推計。設備投資の落ち込みによる資本ストックの減少や、不稼動資産の現状を踏まえると、潜在成長率は相当落ち込んでいるとみており、需給ギャップも幅を持ってみる必要があると判断しているようだ。日銀が9月に公表したレビューでは、「フィルタリングアプローチ」という手法を用いると、潜在成長率は足元ゼロまで低下している。

 <CPIマイナス幅は縮小基調に>

 日銀は潜在成長率が低下しても、需給ギャップが大きいことに変わりはないことから、2011年度のコアCPIもマイナスが避けられないとみている。

 日銀が7月に示したコアCPI見通しは、2009年度が前年比マイナス1.3%、2010年度が同マイナス1.0%。2011年度は需給ギャップが縮小していく方向にあるのは間違いないとして、マイナス幅は2010年度よりも小さくなる見通しだ。

 物価動向に大きな影響を及ぼす原油価格については、価格上昇の背景にある「新興国の回復」を上振れ要因としてを挙げていることもあり、大きな下落は想定しておらず、横ばいを前提に、上昇リスクもあるという認識のようだ。

 物価見通しをめぐっては、民主党がマニフェスト(政権公約)で明記した暫定税率廃止や公立高校授業料、高速道路料金の無料化などが実現すれば、CPIを0.5─1%程度押し下げる可能性があるとの見方があるが、こうした点が織り込まれるかどうかなど不確定要素が多い。 

 <景気は2011年度も緩やかに持ち直しへ> 

 実質国内総生産(GDP)見通しは、7月時点で2009年度にマイナス3.4%まで落ち込んだ後、2010年度にプラス1.0%まで持ち直すシナリオを描いていたが、緩やかに持ち直していくという定性的なシナリオに大きな変化はなさそうだ。ただ、年明けから3月末以降にかけては「二番底」のような明らかな景気失速までは行かないまでも、政策効果切れなどで若干、景気回復の足取りが弱まる局面があるのではないか、といった慎重な見方も少なくない。

 2011年度については、民需へのバトンタッチなど2010年度の持ち直しの流れを受けて、潜在成長率を上回る成長になるとの見方が多い。

 こうした見通しをめぐっては、上下にリスク要因が存在するが、目先のリスクについては従来の見方から大きな変化はみられない。国際的な金融経済情勢や企業の中長期的な成長期待の動向、中長期的なインフレ予想の下振れ要因などがある一方で、新興国の景気という上振れ要因が存在する。

 <特別オペは廃止も視野、タイミングには温度差>

 同日の会合では「異例の措置」の取り扱いについても検討する。CP・社債の買い入れはすでにその役割を終えたとの意見が多く、打ち切る方向で議論される可能性が高い。一方、民間企業債務を担保に政策金利と同じ0.1%で資金を貸し出す「企業金融支援特別オペ」は、共通担保資金供給オペで代替可能との見方から取り止める方向にあることは間違いないものの、そのタイミングなどをめぐっては行内にはなお温度差もあり、効果や副作用、金融情勢などをギリギリまで見極めて判断する方針だ。

 このほか、補完当座預金制度はすでにインフラとして機能していることから残す可能性が高く、民間企業債務の適格担保の要和も「潤沢な資金供給」を継続する姿勢を強く打ち出すために延長される公算が大きい。こうした判断は早ければこの会合で取りまとめて決定するが、意見がまとまらなければ11月にずれ込む可能性もある。

 (ロイターニュース 取材協力:児玉 成夫記者 編集:田巻 一彦)

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