November 5, 2009 / 3:47 AM / 10 years ago

ファンド換金売りで株安/債券安、今後の資金流入先が焦点

 [東京 5日 ロイター] 5日の東京市場は、株安と債券安が同時に進んでいる。

 11月5日、東京市場は株安と債券安が同時に進んでいる。写真は昨年10月、東京証券取引所で(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 4日の米国市場で米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文で超金融緩和政策の長期化の可能性が示されたが、ヘッジファンドの決算前の換金売りなどが株式市場と円債市場の両方に出て、株と債券のダブル安を演出している。ただ、ヘッジファンドの換金売りが一巡すれば、日米などの低金利通貨で調達したマネーがどのマーケットに向かうのかが当面の焦点になりそうだ。

 <米金融緩和、長期化の様相>

 株式市場では日経平均が反落している。4日の米国市場で米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文発表後に株価が伸び悩んだことを受けて、東京市場でも売りが先行した。「特段の悪材料が出たわけではないが、個別銘柄に比較的まとまった売りが出ている。ヘッジファンドの決算に伴う最終的な換金売りや、国内勢のリスク資産圧縮の動きとみられる。景気の先行きに不安を感じているようだ」(大手証券エクイティ部)という。

 三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「米連邦準備理事会(FRB)は現状の政策をしばらく続ける可能性が大きい」とした上で「6日に発表される10月米雇用統計で失業率は9.9%に上昇するとの事前予想となっている。FF金利先物市場では、来年5─6月とみていた利上げが後ズレするかもしれないとの見方に傾きつつあるようだ」と指摘した。

 みずほ総研・シニアエコノミストの武内浩二氏は「FOMCが声明で緩和姿勢の継続を示したことは株式市場に安心感を与えるものの、追加のプラス材料ではない。欧米はじめ主要国はそれほど簡単に利上げできないとの見方は安心の手掛かりではあるが、逆に言えば景気も決して良いわけではないことも意味する。流動性だけを頼りに株は買えない」と指摘する。

 武内氏は「市場はこれから一段と米消費動向を注目する。景気回復の足取りが重いと買いの勢いが出にくいだろう。ただ、政策効果が薄れても明るい状況が続けば、先行きの期待も高まる」との見方を示している。

 今後の米国景気を占う上で、6日発表の10月米雇用統計に市場の関心が集まっている。ロイターがまとめた10月雇用統計・非農業部門雇用者数の市場予想は、エコノミスト76人の予想中央値で17万5000人の減少。失業率は9.9%と前月の9.8%を上回り26年ぶりの高水準に上昇する見通しとなっている。

 立花証券・執行役員の平野憲一氏は「今夜の米株市場で、雇用統計に対する上振れ期待感が出るかどうかに注目している」と述べている。

 <円債市場も売り材料多く>

 円債市場は続落して午前の取引を終えた。FOMCの結果や需給悪化懸念を受け、前日の米債市場が大幅にスティープ化した影響で、長いゾーンを中心に売りが先行。10年利付国債入札を控えていることもあり、ヘッジ売りも加わって全般的に下落した。市場筋によると、ヘッジファンドとみられる海外勢の売りも出ていたという。

 円債市場でもくすぶっているのが、米債市場と同様に需給懸念だ。今年度の2次補正予算による財政支出の拡大に伴う国債の発行増で、来週の5年債入札から毎月の発行量が増えることとなった。きょうの10年債入札は「増発を織り込んでいるとはいえ、投資家の買いに対する積極的な姿勢がどの程度まで引いてしまっているのかを占う注目材料」(国内証券)としてみられている。

 きょうの入札は、表面利率(クーポン)が1.4%で303回債との銘柄統合発行。レポ(現金担保付債券貸借取引)市場のSC(スペシャル)取引で一部の銘柄がひっ迫していることなどから、ある程度のショート・カバー需要は喚起できるとの見方は多い。5年債や20年債など、他年限と比べて10年ゾーンが割安化していることや、余剰資金を抱えた投資家が背景におり、国内勢の中には1.4%台であればそれなりの買いが期待できるという声が多い。

 一方で、前日の米債市場でスティープ化圧力がかかったことや来年度以降の増発懸念がくすぶり続けることを材料に、海外勢の中には円債売りを意識している声も少なくない。BNPパリバ証券・シニア債券ストラテジストの山脇貴史氏は、10年ゾーンの割安感やショート・カバー需要から「円債市場だけで見れば、そろそろ “買いの準備” を整えたい」としつつも「米国市場は大幅スティープニング。金利政策・資産買取政策・入札計画などが長期─超長期セクターに対してネガティブとなっており、円債市場への波及が短期的に警戒される。難しいタイミングで入札を迎えることとなり、短中期債で代替するか、オプションを組み合わせた戦略で入札に臨みたい」とみている。

 <午前の取引でやや円高へ>

 外為市場でドル/円は、朝方に90円台後半で推移していたたが、じりじりと円高方向にシフトし、正午をはさんで90円前半から半ばで取引されている。市場では「FOMCの結果を受けた外為市場の結論はキャリー・トレード維持だが、決算期をにらんだファンド勢の利食い売りなども予想され、需給面からキャリー一辺倒ではいきにくくなっている」(国内銀行)との声が出ていた。

 そうした中で、一部の参加者は投信の設定に関心を向けた。10月30日に設定されたSMBC・日興ニューワールド債券ファンドは、外貨関連分が1785億円、ブラジルレアルコースだけで956億円を集める大型設定になり、円売り要因として注目されたが、その後の追加設定でさらに規模が拡大。4日までにブラジルレアルコースの純資産総額は1791億円と当初より835億円膨らんでいるほか、豪ドル、中国元、南アフリカランドの各コースを含めると合計で950億円近く拡大している。また、同時に設定されたSMBC・日興ニューワールド株式ファンドも為替ヘッジなしのコースで20億円程度膨らんで250億円規模になっており、こうした設定に伴うマネーフローが大きな要因になると見ている参加者が増えている。

 短期的にはヘッジファンドの換金売りのフローに影響された東京市場だが、実質的な米セロ金利政策の長期化が見込まれることになり、市場では「ドルと円が調達通貨になってキャリートレードが活発化するだろう」(邦銀関係者)との見方が広がっている。

 ただ、どのマーケットにマネーが流入するかは不透明だ。ある国内証券の関係者は「短期的に上がりそうな市場規模の小さなマーケットにマネーが流入しやすくなっている。金の上昇はその典型で、一部のアジア不動産市場の急騰もその範ちゅうに入るだろう」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below