November 12, 2009 / 3:22 AM / 9 years ago

JALは7422億円債務超過と作業部会試算、存続可能性問われる

 [東京 12日 ロイター] 日本航空(JAL)9205.Tの実質債務超過額が7422億円に上っていると国土交通相の直轄組織「JAL再生タスクフォース」(作業部会)が最終報告書の中で明記していることが明らかになった。

 11月12日、JAL(写真)の実質債務超過額が7422億円に上っていると国土交通相の直轄組織「JAL再生タスクフォース」(作業部会)が最終報告書の中で明記していることが明らかに。2007年5月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 JALは現在、公的機関である企業再生支援機構の下で資産査定が行われ、同機構の支援で再建を図るかどうか検討されているが、巨額の債務超過額を解消するには、大規模な公的資金の注入が不可避とみられており、仮に注入が決まれば、再建後の新JALが存続可能なビジネスモデルを提示できるのかどうかが大きなポイントとして浮上しそうだ。

 <キャッシュフロー勘案した債務超過は2447─2793億円>

 作業部会は前原誠司国交相の直轄組織として発足し、資産査定を行ってきたが、10月29日付で同相に最終報告書を提出して解散した。

 ロイターが入手した報告書によると、JALグループの中核企業であるJALと日本航空インターナショナル、JALキャピタルの3社の資産合計は今年6月時点で1兆6967億円とされてきた。だが、年金の未認識債務や航空機関連の評価損、不動産の含み損などを考慮すると、実質債務超過額が7422億円にのぼると試算している。

 具体的には、航空機の退役もしくは売却した場合の評価損が合計2477億。機種別ではボーイング「747─400」型機が1671億円、ダグラス「MD─90」が584億円などとなっている。退役・売却予定の航空機リース取引に関する評価損も498億円ある。社宅や研修センターなど保有不動産も418億円の含み損を抱えている。

 ただ、金融機関への有利子負債が約7000億円にのぼる中で、7422億円と巨額な債務超過額を金融支援の必要額とみなすのは現実的でない、としてキャッシュフローベースの債務超過額を試算。将来予想されるキャッシュフローから有利子負債を差し引いた形での債務超過額を2447億円─2793億円と算出。この金額を前提に再建計画を作成している。

 JALグループの主力3社向けの金融機関の債権残高は、9月30日時点で総額6066億円。うち主力5行の残高は4684億円で全体の77%を占める。金額で最多なのは日本政策投資銀行だが、担保によるカバー率は77%。みずほコーポレート銀行の30%、三菱東京UFJ銀行の26%、三井住友銀行の21%などメガバンクと比べて担保によるカバー率が高くなっているのが特徴だ。

 さらに農林中央金庫は残高80億円に対して担保がわずか1億円など、非メーン金融機関の担保率が、軒並み低水準なのも目立っている。

 直近の資金繰りでは、JALの経営に必要な現預金残高を400億円とした上で、11月中にも資金不足となり、来年3月末までに1800億円の資金調達が必要としている。内訳は燃油の支払い933億円、人件費889億円など。

 以上を踏まえたタスクフォースによる再建計画では、2014年度までの5年間で、輸送能力を20%削減するなどのスリム化を進め、2688億円の営業損益の改善を図る。

 低収益の国際16路線、国内29路線の合計45路線から撤退し、アジアの観光需要向け路線は、今後参入が予想される海外の格安航空会社(ローコスト・キャリア)との提携も視野に入れる。

 この結果、営業損益ベースでは、燃油費に関連して価格変動をヘッジするためのデリバティブ契約を見直すことなどで934億円、路線撤退で699億円、ボーイング747─400など老朽化した大型・中型機を小型機に切り替えることで334億円の改善を見込んでいる。

 現在は110社ある子会社、関連会社のうち24社を売却、26社を統合、14社を清算することで46社まで圧縮し、約8400人を削減する。

 このため新型航空機の導入などの設備投資で5500億円、人員削減や年金改革、事業撤退などのリストラ費用が1700億円必要と見込む。

 金融機関に対しては、債権放棄を2200億円、債務の株式化(DES)を300億円を求めることで有利子負債を約7000億円から約4500億円へ削減。年金制度では現行4.5─5.5%の給付利率を1.5─6.0%に見直すことなどで、未認識退職給付債務3042億円を927億円に圧縮する。

 必要となる金融支援の総額は、つなぎ融資1800億円および資本増強3000億円で計4800億円となるが、仮に会社更生法を申請した場合は、つなぎ融資の必要額が6000億円に膨らみ、金融支援の総額が9000億円にのぼるとしている。

 ただ、最大の懸案事項である年金の給付率引き下げは、年金加入者である社員OBの同意取り付けが難しく、企業再生支援機構の下での再建でも、この問題の解決なしには具体的な再建計画の実施が難しいとされている。

 さらに大ナタをふるってJALを再建させても、新生JALが本当に存続可能なのか、政府部内にも疑問の声が多い。「問題は年金でない。国交省が日本の空にどのような絵を描くかだ」(財務省幹部)として、航空自由化による競争激化が進む中で、JALと全日本空輸(9202.T)による大手2社体制の見直しの必要性を強調する向きもある。

 企業再生支援機構主体による再建では、大規模な公的資金の注入が不可避とみられているが、注入後に新会社の経営が行き詰った場合、鳩山由紀夫政権の責任が問われかねない。財務的なアプローチだけでなく、生き残りが可能なビジネスモデルの構築が、JAL再建には欠かせないとの見方が政府関係者の中からも出ている。

(ロイターニュース 竹本 能文)

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