November 20, 2009 / 6:21 AM / 10 years ago

約3年半ぶりに「デフレ宣言」=11月月例経済報告

 [東京 20日 ロイター] 政府は20日に発表した11月の月例経済報告で、日本経済は「緩やかなデフレ状況にある」と認定した。政府による「デフレ宣言」は、2006年6月以来、3年5カ月ぶり。

 11月20日、11月の月例経済報告、3年半ぶりに「デフレ宣言」。写真は昨年11月、東京(2009年 ロイター)

 先行きの景気下押しリスクに「デフレ」を新たに加え、政府として、持続的な物価下落が景気に悪影響を与えかねないとして警戒感を強めた。

 一方、基調判断は「景気は持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」とし、判断を据え置いた。事務方に代わって会見した津村啓介・内閣府大臣政務官は「ベクトルは上向きだが、水準は極めて低い水準にとどまっているとの評価は変えていない」と説明した。 

 景気の先行きについては「当面、厳しい雇用情勢が続くとみられるものの、海外経済の改善などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、デフレや金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある」と指摘。10月から雇用の表現を変える一方で、景気下押しリスク要因に新たに「デフレ」を加え、警戒感の強さを強調している。

 <政府が「デフレ宣言」、企業活動中心に景気全般に悪影響も>

 政府は2001年3月に物価下落が2年以上続いていたことから、月例経済報告で初めて「日本経済は緩やかなデフレにある」と認定した。2006年6月を最後に、月例経済報告から経済が「デフレにある」との文言は消えたが、その後もデフレに後戻りする可能性が払しょくできないとの判断から「デフレ脱却」宣言を見送ってきた。

 政府が再び「緩やかなデフレ状況にある」と宣言した背景について、津村政務官は、1)物価の基調判断として重視しているコアコアCPI(生鮮食品、石油製品およびその他特殊要因を除く総合消費者物価指数)が6カ月連続で前月比マイナスになったこと、2)名目国内総生産(GDP)成長率が実質GDP成長率を2四半期連続して下回ったこと、3)需給ギャップの大幅なマイナスが続いていると見込まれること──などを総合的に勘案して判断したと説明。

 津村政務官は、デフレスパイラル懸念が強かった2001年の「デフレ宣言」とは異なるものの、「物価下落が続くことで、企業収益が下押しされ、債務の返済資金繰りが困難になる企業が増加する可能性がある。企業活動を中心に景気全般に大きな影響を及ぼす可能性がある」と判断し、デフレ宣言に踏み切ったと説明した。

 <追加経済対策とりまとめを明記、日銀との連携強化も>  

 その上で、政策対応について月例では、政府が「緊急雇用対策」を推進するとともに、景気下支えを図るための経済対策のとりまとめに着手したことを明記。日銀に対しては、10月の月例報告と同様の表現ながら、「わが国経済が、物価安定の下での持続的成長経路に復帰するため、引き続き政府との緊密な連携の下で、適切かつ機動的な金融政策運営を期待する」との期待感を盛り込んだ。  

 ただ、津村政務官は「デフレ宣言と2次補正の規模の議論は別問題だ」と述べ、政府が正式にデフレを認定したことと、追加経済対策を盛り込む2次補正予算の規模拡大とは別問題だとの認識を強調。金融政策の追加措置への期待に関しても「金融政策は日銀の独立性を尊重しながら、十分な意思疎通を図っていく」と述べるにとどめ、「(金融政策について)現時点で予断を持って(デフレ)宣言したわけではない」と強調した。

 その上で、景気の現状認識や先行き見通しについて「(政府と)日銀で基本的な認識に大きな差はない」と述べ、認識のギャップを否定した。

 <設備投資・企業倒産・雇用を上方修正>

 個別項目では設備投資、企業倒産、雇用を上方修正した。

 設備投資は10月の「減少している」から11月は「下げ止まりつつある」に上方修正した。上方修正は2009年9月以来2カ月ぶり。ただ、1)稼働率が低く設備過剰感が依然として高水準にあること、2)企業収益も低水準であること──などから、津村政務官は「設備投資が上向いていくか、まだ目が放せない」と説明した。

 雇用判断の上方修正は、2007年8月以来27カ月ぶり。10月までの「悪化傾向が続いており、極めて厳しい状況」から「依然として厳しい」に上方修正した。失業率が2カ月連続して改善、雇用者数も3カ月連続して増加するなど雇用関連指標全般の改善を反映させた。ただ、内閣府では、先行きは「引き続き楽観できない状況」(津村政務官)と判断している。

 一方、内需の柱の個人消費は、経済対策の効果もあり「持ち直しの動きが続いている」で判断を据え置いた。先行きについては「冬のボーナスの大幅減が予想されるなど、雇用・所得環境は引き続き厳しく予断を許さない」(津村政務官)とみている。

 (ロイターニュース 吉川 裕子)

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