November 27, 2009 / 5:41 AM / 10 years ago

円高にドバイショック、ズルズル進む株安・長期金利低下

 [東京 27日 ロイター] 週末27日の東京市場は、前日に続いてドル安/円高が進み、いったんは14年ぶりとなる84円台に下落した。ドバイ政府系企業の債務返済問題が表面化し、欧州系銀行の債権焦げ付き懸念からユーロ安/円高になったことも、ドル安/円高に拍車をかけた。

 11月27日、東京市場はドル安/円高が進み、いったんは14年ぶりとなる84円台に下落。日経平均も一時、200円超の下げとなった。写真は都内の株価ボード。昨年3月撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai)

 急速な円高進行で日経平均も一時、200円超の下げとなり、長期金利も1.255%まで低下する局面があった。その後、藤井裕久財務相が円高に強い懸念を表明したことなどでドルが86円前半まで戻す場面もあるなど、市場は次第に介入警戒モードに入っている。ただ、今日の株安で日本経済が主要国の中で目立ってぜい弱な経済情勢であることが鮮明になり、政府のマクロ経済政策運営に対する関心度が高まってきた。

 <ドル84円台へ、クロス/円も軒並み下落>

 この日の外為市場では、ドル安が大きく進んだ前日から一転して、円が全面的に上昇。ドル/円が朝方の高値から2円近い下げで一時84.82円と1995年以来、14年ぶり安値を付けたほか、ユーロ/円が4カ月ぶり安値となる126.95円まで3円超、英ポンド/円が4カ月ぶり安値の139.27円まで4円近く豪ドル/円が1カ月半ぶり安値の76.54円まで2円半の大幅な下げとなった。

 円高が大きく進むきっかけを作ったのは、ドル/円の大幅な下げ。対ドルでの円急伸が他通貨に波及した。クロス円はレンジ相場が続いてきたことで「レンジ下限にたまった損失確定のストップロスを狙った売り仕掛けが入りやすかった」(外銀)という。この日の取引では、短期筋や輸出企業の売りをきっかけに、個人投資家の損失確定など下値に控えるストップロスを相次ぎ巻き込んで、下げが加速した。

 急速な円買いが一巡すると一転して円は急反落。ドルは一時86.30円まで1円半、ユーロは129.10円まで、英ポンドは141円後半までともに2円超、豪ドルは2円弱の反発となった。ドル/円を中心に、仲値公示にかけて「久々の円高水準は拾い場との見方」(都銀)から、輸入企業や大手投資家などが買いに動いたことで、それまで円を買い上がった短期筋も利益確定の円売りを進めたという。

 ただ、ドル反発の局面で目立ったのは、円高局面で円売りに動きやすい国内勢。「海外勢の買い戻しはあまり見られなかった。世界中の参加者が下サイドを見ているのに日本勢だけが買い上がる『空気の読めない買い』は珍しいことではない。きょうの海外勢が再び上値を売りにくるか、少し調整的に買い戻すのかで、目先の方向感は変わってくる」(別の都銀)との声も出ている。

 複数の市場筋によると、藤井財務相が27日午前の会見で介入の可能性に言及したこと

などで、日本政府によるドル買い/円売り介入への思惑が浮上し、ドル買い戻しの材料に

なったという。

 <円高にドバイショック、株式市場に悲観論広がる>

 株式市場では、ドバイ政府系企業の債務返済問題が表面化したことや、急速な円高進展を嫌気し輸出株中心に売りが先行した。「短期筋の売りや信用取引を利用する個人の投げ売りで下げ幅が拡大した。ただ、国内外の実需筋が活発に売っているわけではない。短期テクニカル指標が下げ過ぎを示唆していることもあり、売り一巡後は下げ渋っている」(準大手証券トレーダー)という。

 株高は日本を除いて世界的な潮流となっていたが、ドバイショックによってリスクマネーが巻き戻されるとの懸念が出ている。三菱UFJ投信・戦略運用部副部長の宮崎高志氏は「マネー収縮がそれほど長続きするとは思われないが、新興国市場などに流れていた資金が引き揚げられ、ドルや円などの安全資産に回帰することになりそうだ。10月CPI(消費者物価指数)で示されたように日本はデフレが続いており、実質金利の上昇を通じて対ドルでの円高が進んでいる。景気や株式には大きな重しだ。日経平均はいったん9000円を試すことになるだろう」と話している。

 また、みずほ証券・マーケットアナリストの高橋幸男氏も「日経平均は下値支持線と目されてきた200日移動平均線を大きく割り込んだ。次は7月安値の9050円程度が下値めどとして意識されるだろうが、為替次第では9000円割れもあり得る」と指摘。その上で「上海や香港などアジア株動向によって下げ渋るか、地合いがさらに軟化するかが決まるのではないか」と語った。

 もっとも、今回の問題が金融不安を引き起こし、流動性の枯渇につながるという極端な見方は少ない。大和証券・投資情報部長の多田羅信氏は「世界的な資産価格の上昇がストップするようなことになれば、影響も長引くが、逆に低金利の長期化で過剰流動性が維持される確度は高まった。リスク回避の動きが一段と強まれば、ドル・キャリー取引の巻き戻しからドルが買われる可能性もある。為替市場の極端な動きは、日本株のアク抜けにつながる」と指摘している。

 <政府の対応で思惑も>

 円債市場では、ドバイショックを受けて「質への逃避」の思惑が債券買いを促した。国債先物は一時2月23日以来約9カ月ぶりの高値を付けた。ただ、取引一巡後は地域金融機関が現物10年ゾーンで利益確定売りを出したほか、海外ファンドが先物取引での買い持ち高を解消したため、上げ幅を縮小した。

 外資系金融機関の債券ディーラーは「オーバーナイトで相場が急速に切り上がり、朝方は先物に買いが集中したが、すぐ投げさせられた参加者は少なくないのではないか」と話す。

 限月間スプレッド取引は縮小傾向となっており、一部で「限月交代にらみで一部ファンドがロングロールに傾注するのではないか」(外資系証券)との思惑があるのも、先物相場の弱材料だ。

 27日午前の取引では、一部海外勢の先物売りに加え、地域金融機関からの売りも観測されたという。邦銀の運用担当者は「キャッシュリッチな投資家の売りでポートフォリオを切り崩すほどではないが、戻り売り優勢の展開に変わりない」と指摘した。

 バークレイズキャピタル証券・チーフストラテジストの森田長太郎氏は「足元の円高基調は、来年前半のデフレ傾向を強めることになりそう。このまま何も政策的な対応がとられなければ長期金利のさらなる低下を促しかねない。しかし、同時に政策当局は最終的に何らかの政策対応に追い込まれることになるとの連想も働き始めているようだ」と指摘する。さらに「円高への政策対応として2次補正予算の真水規模に拡大バイアスがかかる可能性がある」と話した。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 宮崎 大)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below