November 30, 2009 / 8:19 AM / 11 years ago

デフレ特集:資産デフレには都市再生や耐震化促進が有効

 [東京 30日 ロイター] 政府がデフレを宣言し、財政・金融面での対応策に注目が集まっている。現状ではデフレスパイラルに陥る可能性は低いが、一般物価のみならず不動産などの資産価格も下落している。

 11月30日、不動産経済研究所の角田社長は、資産デフレには都市再生や耐震化促進が有効だと指摘。写真は都内のオフィスビルで9月撮影(ロイター/Yuriko Nakao)

 先行き不透明感が高まる中、ロイターでは、デフレ克服の処方せんについて専門家にインタビューを行った。

 第1回は不動産経済研究所の角田勝司社長に聞いた。角田氏は、政府のモラトリアム法案が引き金になり、景気はすでに二番底に突入していると指摘。資産デフレの克服には、政府が都市再生や耐震化促進などの政策実行に重点を置くべきだと強調した。日銀が仮に金融機関の保有する不動産投資信託(REIT)の買い入れを開始した場合、多く保有する地銀救済策になるとし、日銀はREITに介入すべきではないと指摘。その上で、REITの合併や小口取引化を通じた活性化が必要であると提案した。

 不動産経済研究所の角田社長のインタビューは以下のとおり。

 <モラトリアム法案が引き金、景気はすでに二番底に突入>

 政府のデフレ宣言について、角田社長は「住宅はいったん落ち込むと、なかなか持ち直さないという特徴がある。資金が回ってこないと需要も回復しない。それにムチ打つように、政府自らがデフレ宣言をしてしまった。宣言しても克服策がないのが問題だ」との認識を示した。

 分譲マンションや住宅着工は過去最低水準に落ち込んでいるほか、7─9月期国内総生産(GDP)では、民需のうち消費や設備が軒並みプラス寄与となる中で、民間住宅のみがマイナス寄与となった。政策効果で自動車や家電などの耐久財消費が持ち直し、設備投資も下げ止まりつつある中で、住宅部門だけが取り残された格好となっている。

 角田社長は、REIT指数や株価の動向を踏まえると「景気はすでに二番底に入っている」と警鐘を鳴らす。リーマンショック後に表面化した信用収縮はいったん小康状態を取り戻したが、借金の返済猶予を金融機関に促す「中小企業等金融円滑化法案」(モラトリアム法案)が引き金となり「不動産会社への融資や住宅ローンの貸出抑制につながり、リスクが顕在化してしまった」と分析する。  <REITは合併や小口取引化が必要、日銀は介入すべきでない>

 日銀の潤沢な資金供給にもかかわらず、資金が不動産関連投資に回りづらいことに対し、角田社長は、リスクを取る投資家が不在であることを挙げた。REIT支援の官民ファンドについては、心理的な下支え効果はある、との見方を示した。

 日銀が流動性供給の手段として、金融機関が保有するREITの買い入れを仮に始めた場合のインパクトに対しては「REITを多く保有する地方銀行救済策となってしまう。当局は介入すべきではない」との認識を示した。

 その上で、REITの合併・統合を促進し「銘柄をおよそ半分にして運用資産価値を高めるのが1つの方策だ。さらに、一口500円くらいから投資できるようにすれば、個人投資家も入ってくるのではないか」と述べた。その際は、高利回りだけに損失リスクがあることを、個人投資家も認識することが極めて重要になるとした。

 <資産デフレの克服策、都市再生や耐震化促進に重点を> 

 日本ではバブル崩壊で資産デフレが顕在化し、長い間低迷していたが、角田社長は「小泉政権が発足し、都市再生本部が設置されて、都心回帰が主流になったあたりから流れが変わった」と振り返る。2001年にREIT商品が上場し、その後はファンドや外資による不動産関連投資も広がりをみせた。

 しかし、地方再生を推進し始めた2年程前から潮目が変わり、リーマンショックの打撃も加わって「昨秋から日本は再び資産デフレに陥った」と指摘する。

 こうした流れを踏まえた上で、角田社長は「資産デフレからの脱却は、都市再生しかない」と強調。地方の再生は悪いことではないが、実際は問題が山積しており、無理をすると、夕張市のような財政再建団体を増やすことになってしまうと危惧する。

 角田社長は「すでに豊かな今の時代に、内需を拡大するのは難しい」とした上で、量を求めるのではなく、住宅ならば耐震化、といった質への取り組みを重視している。具体的には「非耐震とされる約1000万戸の耐震化を急ぐことが先決だ」と述べ、学校などの公共施設の耐震化とともに、優先的な取り組みが必要と強調した。例えば、国は改修コストに奨励金を出し、年100万戸を上限に10年間実施というように目標設定し、期間を定めて行うことが効果的だと述べた。

 民主党がマニフェストで掲げた建築基準法の見直しについては「現状よりも厳しくするならば駆け込み需要も出るが、逆に簡素化するならば、不景気だけに法施行まで待ちの姿勢が広がり、さらに需要が落ち込んでしまう。へたにいじるならば、何もしないほうがよい」との認識を示した。

 賃貸よりも持ち家政策重視の方が総需要喚起に結びつくとした上で、導入が検討されている省エネ対応住宅の新築や改築に対する住宅版エコポイント制度については、「取り付けパーツに限定」されており「場当たりで効果は小さい」との認識を示した。

 補助金などの措置拡大は財政悪化につながり、角田社長は「米百俵ではなくて米一俵というように我慢の経済が必要だ」と述べ、重点的な予算配分が必要と強調した。

 *このインタビューは26日に行い、30日に追加取材を実施しました。

 (ロイター日本語ニュース 寺脇 麻理記者:編集 田巻 一彦)

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