December 17, 2009 / 4:12 AM / 11 years ago

意識された米出口戦略、ドル高/円安動向と連動する日本株

 [東京 17日 ロイター] 16日に発表された米連邦公開市場委員会(FOMC)声明をめぐり、市場の一部には米金融当局が出口戦略を模索し始めたとの思惑が浮上、17日の東京市場はドル買い戻しが目立ち、ドル/円も90円台に乗せた。

 12月17日、東京市場はドル買い戻しが目立ち、ドル/円も90円台に乗せた。写真は都内の外貨両替所。11月撮影(2009年 ロイター/Yuriko Nakao)

 円安を受けて株価も堅調な地合いで推移している。ただ、米連邦準備理事会(FRB)が本当に利上げ方向に動き出すのは、まだかなり先になるとの見方も根強く、このままドル買い戻しと最弱通貨・円という構図ができ上がるのか、様子を見るべきだとの声もある。

 <ドル全面高に>

 17日の外為市場では、ドル買い戻しが鮮明となった。ユーロ/ドルは一時、1.43ドル後半まで下落。幅広いドル買いの流れの中で、ユーロ/ドルの1.4480ドルにあったストップロスを付けて下げが加速したという。

 ドル/円は10日ぶりに90円を回復した。FOMCの声明発表に強まったドル買いの流れが幅広く続いている。豪ドル/米ドルは0.8976ドルまで、英ポンド/ドルは1.6305ドルまで売られ、ともにアジア時間での安値を付けた。ドル指数も上昇し、77.513まで上値を伸ばして2カ月半ぶり高値を記録した。

 また、ドル上昇の裏には、モデル系ファンドによるドル買いや、オプションに絡んだヘッジのドル買いも押し上げ要因として働いたという。

 <米の出口、接近していないとの声も>

 市場では、米利上げ時期について「2010年夏を予想している。今回のFOMCではタイミング予想は変わらない」(ドイツ証券・シニア為替ストラテジスト、深谷幸司氏)との声が出ている。ただ、深谷氏は「雇用について改善の方向感を持っていることを明らかにしたことで、1─3月期にも『長期間(for an extended period)』超低金利を維持するとの表現が変わる可能性が出てきた。これが米長期金利を下がりにくくし、ドルのサポートになっている」と述べた。

 ロイターが16日の米連邦準備理事会(FRB)連邦公開市場委員会(FOMC)終了後にプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)を対象に実施した調査によると、回答した15社中12社が、2011年第1・四半期末までに利上げに踏み切ると予想している。

 一方、利上げへの動きが今後、出てくるとの見方に対しては消極的な声も少なくない。「雇用の悪化に鈍化の兆しと言っても、失業率がこの先、急速に低下することは展望できない。また、貸し出し低迷に見られるように米金融システムは機能が回復していない。この状況で利上げすることになれば、金詰まりで景気は失速する」(邦銀関係者)との見方も出ている。

 <ドル高/円安が株買い材料に>

 株式市場では日経平均が続伸。ドル/円が90円台に乗せ、主要輸出企業の想定レート近辺まで戻したことで、円高進展による業績悪化懸念が後退した。市場では「欧州勢のバスケット買いが輸出株、商社株、鉄鋼株などに入った」(大手証券エクイティ部)とみている。

 FOMC声明に関して「日米を比較すると、米利上げ時期が早そうだとして、外為市場で円に流れ込んでいた資金の流れが弱まりつつある。輸出株の影響力が大きい日本株市場にとってはプラスだ。デフレが続く日本は、利上げどころか追加緩和策も求められるような状況。財政に余裕がなく、金融政策にさらに圧力がかかりそうなことも、円安予想を強めている」(国内投信ストラテジスト)という。

 海外勢による日本株の見直し機運も出ているが、日経平均は戻り売りなどに押されて上値が重い。パインブリッジ・インベストメンツの元木宏常務執行役員は「海外勢は日本株に対して半信半疑だ。MSCI等のベンチマークにしたがって落とし過ぎたウエートを修正しているに過ぎない。政治的に混乱している日本の株を本腰入れて買う海外投資家は少ない。来年の参院選後に政治が安定するまで上値は限られる」と指摘している。

 みずほ証券・エクイティ調査部シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は「円安基調や米株市場でナスダックがしっかりだったことを背景に買い先行となっている半面TOPIXが900ポイントを超えて戻り売りも出やすい。上値を積極的に追う状況になるには、ドル/円での90円台定着やダウの1万0500ドル抜けのような上昇局面が必要ではないか」とみている。

 <円債市場は暫定税率維持を好感>

 円債市場では、長期金利の指標銘柄である10年305回債流通利回りが一時、前日より1.5ベーシスポイント低い1.240%となり、1週間ぶりの低水準を付けた。日本国債利回りは償還期間が長いほど低下し、残存5年から30年にかけた利回り曲線が「フラットニング」する形状となった。

 2010年度予算編成をめぐり、政府・与党がガソリン税などの暫定税率を原則維持する方向となったことを受け、国債市中消化額が青天井に膨らむ可能性が低下。「ガソリン税の暫定税率を維持することにより確保される税収分だけで、新規財源国債の発行額を44兆円以内に収めるという政府目標に大きく近づくこととなる」(欧州系証券)との見方が広がったためだ。

 シティグループ証券の佐野一彦・チーフストラテジストは「歳出総額92兆円、税収37兆円、その他収入10兆円といった数字が描け、新規国債発行額は45兆円となり、44兆円以下がおおむね視野に入ってくる。次第に来年度の国債発行計画に対する懸念は和らいでいきそうだ」と話した。

 12月の償還再投資が好需給を演出している面もある。財務省が作成した既発国債の月別満期到来額の見通しによると、今年12月に償還を迎えるのは18.9兆円(財政投融資特別会計国債を含む)。「長期ゾーンの積み増しが遅れていた官庁系が買い急いでいる」(外資系証券)との見方は少なくない。

 一部参加者からは「スクイーズ気味になっており、財政規律をめぐる思惑などではなさそう。一部大口投資家が前日までにドルを買い、株も買っているとの思惑もあり、官庁系が暗躍しているようにも映る」(外資系金融機関)との声も聞かれた。

 金融政策をめぐっては、海外勢のなかに「出口戦略に踏み切るのは日本が最後」との見方もあるが、年末接近で休暇入りした参加者も多いとみられ、派生商品などを使った新規ポジション繰りのフローは観測されなかった。

  (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 宮崎 大)

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