December 22, 2009 / 5:45 AM / 9 years ago

円安好感して株高、年明けのドル安シナリオに懐疑的な声も

 [東京 22日 ロイター] 22日の東京市場はドル高/円安の進展を好感し、日経平均が続伸している。ドルが2カ月ぶり高値を対円で記録し、市場の中には年明けにドル安というシナリオに対する懐疑的な見方も出始めたという。

 12月22日、市場の中には年明けにドル安というシナリオに対する懐疑的な見方も出始めた。写真は2006年1月、東京証券取引所で(2009年 ロイター/Toru Hanai)

 一方で円債市場では、日銀が年明けも追加緩和を適宜判断するとの見方が多く、短いゾーンの金利が低位で推移し、金利曲線はスティープニングしている。

 <円安で輸出株に買い>

  株式市場では日経平均が続伸している。ドル/円が91円台と一段の円安に振れたことを好感し、輸出株に国内法人などの買いが先行した。21日発表の日本の11月貿易統計で輸出の順調な回復が確認されたことに加え、東芝(6502.T)、エルピーダメモリ6665.Tなどの国内半導体大手が増産投資を再開すると報じられるなどハイテク関連のポジティブなニュースが相場を底上げしている。「海外勢のクリスマス休暇入りで売買高は盛り上がりに欠けるが、相場の地合いが悪いわけではない。新興国向けのパソコン需要が拡大基調にあり、日米ともハイテク株が相場のけん引役になりそうだ」(SMBCフレンド証券・ストラテジストの中西文行氏)との声が出ている。

 12月日銀短観の大企業・製造業の下期想定為替レートは1ドル91円16銭。21日はこれを超える円安水準になった。みずほ証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「このまま円安基調が定着すれば、輸出企業の収益改善期待が強まろう。ただ、商いは薄く、好環境にもかかわらず株価は伸びを欠いている。金融危機の恐怖が渦巻いていた前年末と今年は様変わりとなったことに安心しているヘッジファンドなどの海外勢は、年末に無理をしないという姿勢だ。個人投資家や証券会社のディーラーは東証新売買システムのアローヘッドが来年稼動した後にどのような状況になるかを見極めようと手控えているのだろう」と話している。

 <ドル2カ月ぶり91円半ば、米金利急上昇が買い誘発>

 外為市場ではドルが広範に上昇。きょう午前までに、対円で2カ月ぶり高値となる91.49円まで上昇したほか、対豪ドルで2カ月半ぶり、対英ポンドで2カ月ぶり高値を更新。対ユーロでも3カ月半ぶり高値に迫るなど全面的な上昇となった。

 ドル上昇は年末を控えたポジション調整が主因との見方が大勢。加えて、前日からきょうにかけての取引では、米金利の急上昇で保有ポートフォリオの調整に向けたドルの買い増しに動く「ハイブリッド」の動きを指摘する声が複数上がった。前日の米債市場で米10年債利回りが最近の取引レンジを大きく突破、4カ月ぶり高水準をつけたことで、「ハイブリッド勢は日米金利差の急拡大で(結果として)ドル/円のショートポジションを突然抱えさせられた状態。買い戻しが目立ちやすくなる」(外銀)という。

 「予想を上回るドル買いの勢い」(別の外銀)が続いていることで、市場では「年明け以降のドル安再開シナリオに疑問を持ち始めた向きが出始めた」(邦銀)との見方も出てきた。薄商いながら株高下で米金利が上昇しているのは、「一定のリスク許容度が確保されたポジティブな状態。金利差拡大に素直に反応して(ドル/円が上昇して)いる」(都銀)という。

 ただ、値動きが大きくなってきたことで、年末にもかかわらず「価格変動によって売買の必要性が生じる中長期プレーヤーの動きが出始めるかもしれない」(同じ都銀)という新たなリスクが浮上。米金利の急上昇についても、インフレ警戒や株高の反映、年末を控えたポジション調整が主体などといった指摘が多いものの、年内最終週に実施される入札に警戒感を示す声も聞かれる。「『年末だから薄商いでした』で済めばよいが、(海外中銀も含めて)需要が集まらない事態となれば大問題」(別の都銀)だ。 

<円金利はスティープ化>

 円債市場では、中短期ゾーンが底堅い気配となる一方、長期・超長期ゾーンで取引金利が上昇し、イールドカーブは10年ゾーンにかけスティープニングする形状となった。

 日銀が新たな「物価安定の理解」を打ち出して以降、市場では暗黙の時間軸効果に期待する声が広がり、金融政策に敏感な5年物の国債利回りは4年半ぶりの水準に低下している。邦銀の運用担当者は「保有国債の短期化の動きもあり、カーブに傾斜化圧力がかかった」と話した。

 白川方明日銀総裁が前日の民放番組で、必要ならば迅速に行動するとの決意をあらためて示したことも「ポジティブに受け止められた」(ドイツ証券の山下周・チーフ金利ストラテジスト)という。

 みずほ証券・チーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏は「日銀は新型オペを活用しながら、ターム物金利の低め誘導を着実に実行していくことになりそう。円高が急激に進むなどして必要が生じれば、新型オペの量およびタームの両面での拡充が次の一手になるのではないか」と指摘。「そのことは、イールドカーブの手前の部分からの金利低下圧力を中期さらには長期ゾーンへと波及させていく強力な効果を有しており、長期金利は1%前後への一段の低下を目指すのではないか」と話した。

 鳩山由紀夫首相がガソリン税の暫定税率を実質的に維持する方針を示したことで、来年度国債発行の44兆円枠が守られる道筋が見えてきたことも支援材料。ドイツ証券の山下氏は「償還月で投資家の資金余剰感が強いなか、中短期ゾーン中心に相場は大きくは崩れないだろう」と指摘した。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)

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