[香港 13日 ロイター] 米グーグルGOOG.Oは、中国でのインターネット検閲に加え、同社の無料電子メールサービス「Gmail(ジーメール)」を通じた人権運動家へのサイバー攻撃が相次いでいることを理由に、同国での事業および中国語版サイト(Google.cn)の閉鎖を検討していることを明らかにした。
インターネット検索世界最大手のグーグルは、中国内外のほかの検索サイトや電子メールサービス大手も、今回の同社の動きに追随することを望んでいるのかもしれない。
ただ、グーグルの中国事業が検索サービスと電子メールに集中しており、収益貢献度も限定的と言える一方、米マイクロソフトMSFT.Oや米ヤフーYHOO.O、中国の百度公司BIDU.Oや新浪公司SINA.O、捜狐SOHU.Oなどは状況が異なり、グーグルと同様の動きに踏み切る前にさまざまな要因を考慮する必要がある。
マイクロソフトとヤフー、両社の今後予想される対応は以下の通り。
◎マイクロソフト
マイクロソフトは中国で莫大な既得権利を所有しており、一段の経営資源の投入も進めている。中国のコンピューター販売台数は年間4000万台を超えており、その多くが同社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を搭載している。
またマイクロソフトは、数千人のソフト開発者を雇用する研究開発センターを開設するなど、中国で多額の投資を行っており、世界第2位のパソコン市場である同国に深くコミットしている。
最近は検索エンジン「Bing」の中国語バージョンもリリースし、同国を最重要市場と位置づけている。
こうしたことから、マイクロソフトの中国市場からの部分的もしくは完全な撤退は難しい面が多いとみられ、政府から敵対的とみなされる動きを取ることには消極的になるとも考えられる。
◎ヤフー
マイクロソフトと同様、中国でのヤフーのポジションも単純ではない。同社は中国市場進出の一環として、アリババ・ドットコム1688.HKの親会社アリババ・グループの株式40%を10億ドルで取得している。同持ち分の時価総額は数倍に膨らんでおり、バーツ最高経営責任者(CEO)も中国市場でのアリババの重要性を認めている。
アリババへの出資額の規模や中国市場でのアリババへの依存度の大きさを考えると、ヤフーが中国政府に強硬的な姿勢を取るとは考えにくい。