January 19, 2010 / 3:31 PM / 9 years ago

JALが更生法申請、支援機構傘下で再建へ=負債総額2兆3000億円超

 [東京 19日 ロイター] 日本航空(JAL)9205.Tは19日、東京地裁に会社更生法の適用を申請し、受理されたと発表した。企業再生支援機構も同日夕、支援の正式決定を発表し、JALは支援機構をスポンサーとして再建を図ることとなった。

 1月19日、JALは、東京地裁に会社更生法の適用を申請し受理されたと発表。写真はJAL機。新千歳空港で撮影(2010年 ロイター/Issei Kato)

 負債総額は2兆3221億円となり、事業会社としては戦後最大、負債の多い金融業を含めると戦後4番目の大型経営破たんとなる。東京証券取引所は、日本航空(JAL)9205.T株式を2月20日に上場廃止すると発表した。

 更生法を申請したのは、日本航空と子会社の日本航空インターナショナル、JALキャピタルの3社。事業会社としては2000年のそごうの1兆8700億円を抜く負債総額となる。帝国データバンクによると、世界の航空会社では、05年の米デルタ航空(負債3兆1200億円)、02年の米ユナイテッド航空(同2兆8000億円)に次ぐ3番目の規模となる。同日付で辞任し、夜会見したJALの西松遥前社長は「債権者はじめ多大なご迷惑かけ心からおわび申し上げる、責任取り本日辞任した」と陳謝した。

 <国交相が大手2社体制見直しを示唆、国内業界抜本再編の可能性>

 同日夕、記者会見した前原誠司国土交通相はJALが再生を果たすまでの間、必要な支援を行うとの声明を発表した。またJALが支援機構で再建を目指す最長3年の期間は「日本の航空行政全般を見直す」と強調。日本国内にJALと全日本空輸(9202.T)という大手航空会社が2社存続する体制についても「2社必要なのか注視する必要がある」と指摘し、国内航空業界の抜本的な再編が視野に入れていることを明らかにした。

 これとは別に会見した支援機構の瀬戸英雄取締役も「JALのみならずわが国航空産業の総合的な政策の検討を政府に要請した」と延べた。

 前原国交相はJALの業績悪化の要因については「不採算路線を強いた国の責任は大きい。最後は国が支援してくれるとの甘えがJAL内にあったのも事実」と指摘。風評被害も懸念される法的整理による支援を政府として決定した背景として「私的整理では抜本的な再生が先送りされる懸念もあった」と説明した。

 同時に会見した菅直人財務相はJALの上場廃止について「100%減資は株式会社のルールに則った形だ」と強調。政府は「JALが再生をはたすまでの間、十分な資金の確保、外国政府に対する理解と協力など必要な支援を行う」などとする声明を閣議了解し、発表した。

 支援機構はJALの管財人として裁判所に選任され、再建のスポンサーとなる。支援機構は、破たん後のつなぎ資金として支援機構と最大債権者の日本政策投資銀行が6000億円の融資枠を設定し、資金繰りを支える。支援機構の試算によるとJALは2010年3月末で8449億円の債務超過となる見込みで、このため金融機関などに対する3500億円の債権放棄を含めた総額7300億円の債権カットの実施や、支援機構による最低3000億円出資で債務超過を解消する。

 債権カットの内訳には社債550億円、デリバティブ660億円も含まれる。

 株主責任を問うために100%減資を実施し、上場廃止する。機構は路線整理や人員削減などのリストラも進め2013年までに再建を完了させる。12年度には売上高1兆3585億円、営業利益は1157億円を目指す。

 金融機関に対しては貸出金などの債権の無担保部分の83%を一律カットする計画。これに伴い社債や燃油デリバティブなどの債権者に対しても最大で83%のカット率が適用される可能性がある。 

 一方、燃油や部品、備品など一般商取引や利用客のマイレージについては、支援機構がすでに保護を表明しており、JALの新しい会長兼最高経営責任者(CEO)には京セラ(6971.T)の稲盛和夫名誉会長が内定している。稲盛氏は2月1日付で就任する予定。西松遥社長は1月19日付で退任。 

 JALは2001年の同時多発攻撃以降、国際線需要の急減を受け旧日本エアシステム(JAS)と統合したが、組織統合の遅れや、燃費効率の悪い大型機材を多数保有し続け、競合する全日本空輸と比べ高コスト体質の改善が遅れた。

 業績悪化は、不採算な地方空港を作り続けた国土交通省など行政側にも一因があり、前政権までJALの抜本的な再建は先送りされてきた。2001年以降、日本政策投資銀行による緊急融資や、総合商社など取引先企業を引き受け先とする第三者割当増資で自己資本の増強が図られた。 

 しかし昨秋発足した新政権は、激化する東アジアの航空市場で日本の航空・空港産業を強化するため、JALの抜本的な処理が不可欠と判断。前原誠司国交相直轄のJAL再生タスクフォースが昨年10月末に再生計画を立案したが、巨額の金融支援には公的資金が不可欠との判断から企業再生支援機構で支援が検討されてきた。政府の支援体制をめぐり閣内が揺れ動くなか、支援機構は昨年末に裁判所を活用した公平な再建が不可欠と判断し、日本で初の会社更生法を活用した事前調整型(プレパッケージ型)法的整理を手法として選択した。

 <巨額の公的資金注入には、更生法で丸裸になるの大前提>

 企業再生支援機構の瀬戸英雄取締役は、航空会社の運航継続にリスクの懸念される法的整理を選択した経緯について、「少額な債務であれば私的整理で可能だろうが、巨額な公的資金を投入するには公平透明性確保が不可欠なため、会社更生法を活用して会社が丸裸になるのが大前提」と説明した。

 100%減資する理由について、瀬戸委員長は「株主優待券目当ての個人株主保護の必要性について、営業政策上、一時検討したのは事実」と説明。しかし、「巨額の債務超過企業であるJALが上場を維持のため100%未満の、例えば99%減資を実施しても、多くの株主は1000株以上の保有者が対象の株主優待を受けることができない」として、一律株主責任を問う形を選択したと説明した。

 旅行会社に対するJALの販売奨励金(キックバック)は商取引債権として保護されるが、支援機構は「不透明なキックバックについては当然見直して行く」(支援機構の杉本究マネージング・ディレクター)方針。

 今後撤退する路線の具体名は「競争戦略上秘密にする」(同機構・中村彰利専務)。米デルタ航空(DAL.N)やアメリカン航空などとの提携交渉については、稲盛氏ら新経営陣が改めて決める見通し。貨物航空事業については、現在事業統合を交渉中の日本郵船(9101.T)グループと、事業売却も視野に交渉する。機構としては、発着量の引き下げを国土交通省など政府側に要請しているが、「現時点での再生計画の業績予想には織り込んでいない」(支援機構の中田剛史氏)としている。

戦後の大型倒産(帝国データバンク、グループ会社含む)

年月       社名               負債総額(単位:100万円)

2008年 9月 リーマン・ブラザーズ証券      4,695,784 

2000年10月 協栄生命保険            4,529,700

2000年10月 千代田生命保険           2,936,600

1997年 4月 クラウン・リーシング        2,183,800

1998年 9月 日本リース             2,180,300

2000年 7月 そごう               1,870,000    

2001年 9月 マイカル              1,742,800 

1996年10月 日栄ファイナンス          1,000,000

2001年 3月 東京生命保険              980,200

2000年 5月 ライフ                 966,300

 (ロイター日本語ニュース 竹本能文記者 布施太郎記者)

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