January 22, 2010 / 5:07 AM / 10 years ago

米大統領の金融規制案、考えられる金融機関への影響のシナリオ

 [ニューヨーク 21日 ロイター] オバマ米大統領は21日、銀行のトレーディングや拡大路線を制限するなどの金融規制を強化する姿勢を打ち出した。

 1月21日、オバマ米大統領(写真)は銀行のトレーディングや拡大路線を制限するなどの金融規制を強化する姿勢を打ち出した。昨年1月撮影(2010年 ロイター/Jim Young)

 以下、規制案発表で今後想定される金融機関の動きや影響をまとめた。

 <金融機関による活発なロビー活動>

 ゴールドマン・サックスのビニアー最高財務責任者(CFO)は、金融規制案の詳細は見ていないが、政府の金融システム安定に向けた取り組むを歓迎すると述べた。

 専門家は、金融業界が公に大統領案に反対する可能性は低いものの、規制を緩めるために、活発なロビー活動を行うのは確実と指摘する。

 店頭で販売されるデリバティブについて、規制当局と議会が、取引所や中央決済機関を通じた売買を検討した際、金融業界はロビー活動などを行った。デリバティブ規制について業界団体は当初、改革の取り組みを支持すると表明していたが、その後改革の内容は緩くなったようだ。今回の金融機関に対する新規制も、同じような運命をたどる可能性がある。

 多くの主要金融機関は、かなりの規模の自己勘定取引を行っており、リーマン・ブラザーズは自己勘定取引に関連した損失が破たんの一因となった。

 一方で、金融機関幹部の間では、自己勘定取引が規制されたとしても、海外金融機関や規制対象外となる国内の機関が自己勘定取引を行い、結果システムのリスクは低下しないとの指摘がある。

 <大手金融機関の事業規模縮小>

 仮に規制案が導入されれば、大手金融機関の業務規模は縮小する。オバマ大統領は先週、大手金融機関に「金融危機責任料」を課す計画を発表したが、規制導入で金融機関から徴収できる責任料が予想よりも減少する可能性がある。

 またリスクをとる取引を得意とする有能なトレーダーが、ヘッジファンドやプライベート・エクイティに流れる可能性がある。

 主要取引所や市場での取引規模減少も予想されている。21日の株式市場では、こうした見方などを背景に、証券取引所運営のNYSEユーロネクストNYX.Nは3.9%下落、ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)を傘下に持つCMEグループ(CME.O)も5.8%下落した。

 今後大手金融機関は、株主に高い配当を支払い、より慎重な経営に転じ、成長ペースが鈍化する可能性がある。

 <どの程度踏み込んだ規制になるかは不透明>

 大統領が銀行のリスク投資をどこまで踏み込んで規制するかは依然不透明。傘下にヘッジファンドを保有することについて、銀行子会社は無理としても銀行持株会社は可能か、商業銀行は全ての投資銀行業務を禁止されるのか、米国内で事業を展開する海外金融機関も規制されるのかなど、依然不明な点が残る。

 金融機関は、自己勘定取引規制を逃れるために、銀行免許返上が可能かという点も不明。ゴールドマンのビニアーCFOは、銀行免許を返上する意向はないとしている。

 一方、金融規制案が実際に導入されたとしても、銀行はあらゆる抜け道を探す可能性がある。金融機関は顧客勘定と主張して自己勘定取引を行ったり、銀行持ち株会社がリスクの高い投資を行い、傘下の銀行を危険にさらす可能性もある。

 ただ、規制当局が金融セクターのリスク投資を十分に監視できれば、抜け道を探そうとする金融業界の知力は、他のセクターに流れ、能力を発揮することになる。それがオバマ大統領にとり最も明るいシナリオかもしれない。

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