February 7, 2010 / 12:57 AM / 9 years ago

イカルイトG7閉幕:識者はこうみる

 [6日 ロイター] カナダ北部のイカルイトで開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は6日、金融危機への対応でかかったコストを金融機関も負担すべきとの認識で大筋合意して閉幕した。市場関係者のコメントは以下の通り。

 2月6日、カナダ北部のイカルイトで開催されたG7で、金融機関も危機対応コストを負担すべきとの認識で大筋合意。写真は記者会見するガイトナー米財務長官(右)など(2010年 ロイター/Chris Wattie)

●ユーログループ議長、欧州によるギリシャ支援の可能性示唆

 <マーク・インベイトメンツの社長兼ポートフォリオマネジャー、アクセル・メーク氏>

 ユンケル・ユーログループ議長の発言は、欧州が何らかのギリシャ支援措置をとることを示唆した。欧州には、欧州投資銀行(EIB)のような支援のための構造が構築されている。欧州の問題は、調整役となる単独の財務長官(財務相)がいないことだ。

 ユンケル議長をはじめとする欧州当局者の発言が、市場の懸念緩和につながるかどうかは未知数。しかし、ストライキも予定されており、今後数週間、欧州にはある程度強い対応が求められると思う。

 (ギリシャの財政規律達成を確信するとのECB総裁の発言について)発言の意図が分からない。だれも信じないと思う。これまでトリシェ総裁が言ってきたのは、ギリシャは真剣に改革に取り組むべき、ということだった。改革を実行することで、人々や投資家の信頼を得られる。

●G7に規制改革に向け協調行動求める

 <ファイナンシャル・サービス・ラウンドテーブル(ワシントン)のスコット・タルボット氏>

 G7に規制改革に向けた協調した行動を求める。われわれは、透明性の向上、金融の近代化への国際的アプローチに賛同する。

 (金融システムを安定化するための政府介入コストを銀行に負担させることについて)コストを納税者と金融機関とで分担すべきという考えに賛同する。銀行のコスト負担はタイムリーかつ釣り合いのとれたものであるべきだ。

●ギリシャめぐるECB総裁発言、週明けの市場に影響せず

 <バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(ニューヨーク)のシニアカレンシーストラテジスト、マイケル・ウールフォーク氏>

 トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁の発言は、週明け8日の市場に影響を与えることはないだろう。問題は、市場のリスク回避ムードが当面続くだろうということだ。市場を支援するのは、トリシェ総裁の発言でなく、今後でてくる経済指標や株式市場のさらなる持ち直しだろう。必要なのは、ギリシャがデフォルトしないよう、ギリシャに追加支援するEUとしての合意だ。

 (金融規制について)投資家の間で懸念されているのは、G7の合意に先んじた米国・英国の独自行動だ。包括的合意とみなされるにあたっては、どの国にとってもより強制力がある一方で懲罰的色彩は薄まるだろう。ある国が規制強化すると、ビジネスがその国から規制の緩いほかの国に逃げるという懸念がある。

●銀行への課税はネガティブ要因、ユーロ安背景に為替は焦点にならず

 <GFT(ニューヨーク)の為替調査責任者、ボリス・シュロスバーグ氏>

 トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁の発言で、ユーロ圏をめぐる懸念が和らぐとは思わない。ギリシャの問題について、まだ具体的なプランがでていない。

 その他の問題としては、G7が銀行への課税で合意したことがある。銀行セクターへの課税は、いかなる形であれ、市場ではネガティブに受け止められる。資本市場の信頼回復にはつながらないだろう。市場の混乱は当面続く可能性がある。

 今回のG7は結局、市場に安心感を与えるどころか、さらなる不安をもたらしただけだ。

 (為替に関する見解を踏襲したことについて)現段階で、欧州勢がユーロ安に不満を持っているとは思わない。ユーロ安は、ユーロ圏の唯一の成長けん引役である輸出を支援するからだ。このため、今回のG7で為替が焦点にならなかったことは驚きではない。

●ギリシャ問題によるユーロへの売り圧力続く

<住友信託銀行 マーケット・ストラテジスト 瀬良礼子氏>

 7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、為替については最近のG7声明の文言を変更する必要はないとの認識で一致しており、為替市場に直接のインパクトはない。

 間接的には、ギリシャ問題と金融規制問題がポイントになるが、ギリシャ問題については混乱の沈静化に努めるという欧州からの説明があったものの、EUによる具体的な支援のコミットはなく、スタンスはこれまでと変わっていない。このため、ユーロはギリシャやポルトガル、スペインなどの財政問題という重しを背負い続けることになるだろう。混乱がさらにスペインやイタリアに本格的に波及しだすとインパクトが大きくなる。市場の要請がEUの支援を促す可能性もありそうだ。

 金融規制については、予想した通り「総論賛成・各論反対」の展開で、規制が必要という認識では一致したが、具体的な対応は当面国ごとに進めることになりそうだ。6月末のG20サミットに向けて各国が具体案を詰めていくことになるだろう。一番早く具体策を打ち出しそうなのが米国で、年度明けあたりからドルに売り圧力がかかりそうだ。

●ユーロ売りは一服か、ドル88―90円で弱含み

 <三菱東京UFJ銀行 金融市場部チーフアナリスト 高島修氏>

 G7ではギリシャ問題に関する議論が幅広く行われたようだが、市場の関心はすでにギリシャからポーランドやスペインなどにも広がり、周辺国のEMU離脱の可能性すらにらんだものとなっている。G7での議論はプロセスとして必要だっただろうが、だからといってすぐに問題が落ち着くわけではない。週明けから大きく流れが変わるものではないだろう。ユーロ安への懸念が出なかったこともあって、瞬間的にユーロ売りが先行する可能性がある。

 しかし、同問題によるユーロ安も大きく進んだため、一段の下落には限界がある。ギリシャ問題は債務危機であって通貨危機ではないが、最終的には、昨年からこうした危機をにらんで融資枠拡大などの対策を講じてきたIMFとEUが協調して救済に踏み切ると予想している。ユーロは当面、1.36―1.39ドル付近のレンジ相場となるだろう。

 同じく議論のあった金融規制については、それなりに本気で取り組もうとしている米国でさえ、公聴会などでは法案を支持するムードが強かったわけでもない。すでに米株は下げ止まるなど市場は冷静さも取り戻している。何らかの規制は導入されるのだろうが、当初に言われていたほどアグレッシブなものとはならないだろう。今後は米国の規制がどこまで緩和的になるかという楽観的な部分と、国際的に規制が広がる可能性という懸念が綱引きすることになりそうだ。

 中国人民元に関する議論が行われなかったことは、ドル安要因とみる。人民元の上昇が始まると中国の米債投資が控えられるため米金利に上昇圧力がかかり、ドルは買われやすくなる。人民元をめぐる議論がなかったなら、その反対にドルには売り圧力がかかる。

 5日の1月米雇用統計では失業率が低下し、米雇用調整のピークアウトを確認する内容だった。これまでなら利上げ前倒し期待でドル高反応になるところだが、前週末の取引ではドルが下落した。米国が利上げにたどり着くのは簡単ではないとの見方に市場は変わりつつあるようだ。ドルは当面、対円、対ユーロともに弱含むと想定している。ドル/円は88―90円付近のレンジを見込んでいる。G7はそうした見方に差し障りのある内容ではなかった。

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