March 1, 2010 / 5:14 AM / 10 years ago

チリ大地震の影響は目立たず、市場はソブリン・リスクに注目

 [東京 1日 ロイター] 1日の東京市場では、個別材料が出た株式が買われ、日経平均はプラス圏で推移しているものの、全般的に上値は重い。外為市場で円高圧力がかかっているためで、海外投資家のフローも売り買いが拮抗している。

 3月1日、東京市場ではチリ大地震の影響はさほど目立たず、ソブリン・リスクの波及度合いをにらみながらの展開になっている。写真は株価ボードを見つめる男性。2009年11月撮影(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 チリ大地震の悪影響は今のところ目立たず、金融市場は引き続き、ソブリン・リスクの波及度合いをにらみながらの展開になっている。

 <「不透明感」が市場を席巻、英ポンド危機の話も>

 外為市場では、主要通貨の荒い値動きが続いている。英ポンド/ドルがアジア時間早朝の取引で9カ月ぶり安値を更新する一方、ユーロ/ドルは9カ月ぶり安値から切り返した水準ながら上値の重い展開。ドル/円も1カ月ぶり安値圏でもみあいが続いた。これまで外為市場では、世界的に株価が上昇すればドルや円などの低金利通貨が下落するという「投資家のリスク選好姿勢」が値動きを左右してきたが、「ギリシャ問題や米国の出口論、米金融規制など様々な話が飛び交い、通貨によって強弱がばらつき始めた」(都銀のチーフディーラー)という。

 きょう早朝に英ポンドが下落する局面では、週末にウォールストリート・ジャーナル紙が「次は英ポンド危機か」と題して英財政問題を取り上げたことに加え、米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N)が、アジアの生命保険部門を355億ドルで英保険大手プルーデンシャル(PRU.L)に売却することを決めたことなどが、売りの手掛かりとなった。

 前週にイングランド銀行(英中央銀行)のハト派スタンスが明確になって以来、英ポンド売りを仕掛ける参加者は少なくない。総選挙を控えて政局の混乱ぶりが目立ってきたことで、前週後半の市場では「解散総選挙のうわさも流れた」(外銀トレーダー)という。

さらに、前週末の取引では、グローバル投資家が月末の持ち高調整の一環として、対ユーロでまとまった英ポンド売りに動き、下げに拍車がかかった。

 <個別材料、株式を下支え>

 株式市場では日経平均が続伸。GLOBEX(シカゴの24時間金融先物取引システム)で米株先物が上昇していることを手がかりに買い先行となったが、円高への警戒感が強く上値は重い展開となっている。「海外勢のフローは売り買いきっ抗でインパクトは乏しい。チリ大地震の影響で市況関連株が買われているほか、円高メリット株や外資系証券のセクター判断引き上げを受けた銀行株が買われるなど個別の材料が相場を下支えしている」(準大手証券トレーダー)という。

 チリ大地震の影響で銅の供給懸念が浮上し、ロンドンや上海市場で銅価格が上昇している。株式市場では住友金属鉱山(5713.T)やDOWAホールディングス(5714.T)などの非鉄株に買いが集まった。三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「短期筋による思惑先行の動きだろう。商品市場では銅価格が上昇すると見込んだ投機筋が先物に買いを入れているが、世界最大の産銅会社であるチリ銅公団(コデルコ)が操業停止した主要鉱山2カ所のうち、エル・テニエンテを28日に再開したことを明らかにするなど、実際の影響がわかるのはこれからだ」とみている。

 為替市場でドル/円が朝方の88円台から89円台に戻したことで、多少安心感も出ているが「決算期末の3月は円高の季節性があり楽観はできない。今夜の米ISM製造業景気指数や週末の米雇用統計など米経済指標を見極める必要がある」(準大手証券ストラテジスト)との慎重な声もある。

 マネックス証券チーフ・エコノミストの村上尚己氏は「世界経済と市場にとってのリスク要因は、米国と中国の出口政策。これが順調に行かなければ、今後、世界の株式市場のさらなる上昇は見込み難い。現状で米国、中国ともに政策当局は、出口政策をかなり慎重に進めている。2010年後半に、米国の出口政策が株価上昇を一服させるかもしれないが、世界経済の回復基調を大きく変えることはない」と話している。

 <10年入札前にポジション整理>

 円債市場は小甘い。「チリ地震の余波でコモディティー経由でどのようなフローが入るか不透明感があり、主要投資家が模様眺めを決め込んだ」(外資系金融機関)とみられている。

 また、明日の10年物の利付国債入札を前に持ち高を調整するための売りや、先物を使ったヘッジ売りが出やすく、邦銀の運用担当者は「例によって現物債を外す動きがみられた」と話した。

 一方で入札を不安視する声は少ない。外為市場で円高圧力がかかる中、一部参加者からは「日銀による追加緩和の思惑が再浮上しかねない」(国内金融機関)との声も聞かれる。市場には「投資家不在と言われる10年物国債だが、波乱を予想する声は少ない。新発1.3%クーポンであれば比較的、しっかりした入札になるのではないか」(外銀)との見方もあった。

 亀井静香郵政・金融担当相が1日午前の衆院財務金融委で「日銀による国債の直接引き受けをやればいい」と発言したと伝わったが、市場は反応しなかった。参加者からは「日銀が財政ファイナンスに踏み切るとは市場は思っておらず、冷静に受け止めている」(外資系証券)という。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者:編集 田巻 一彦)

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