[ワシントン 3日 ロイター] 米司法省は、ヘッジファンドが集団で共謀してユーロを売り仕掛けたかどうかをめぐり調査を開始した。関係筋が3日、明らかにした。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係筋の話として報じたところによると、司法省はSACキャピタル・アドバイザーズLP、グリーンライト・キャピタル、ソロス・ファンド・マネジメントLLC、ポールソン・アンド・カンパニーなどのヘッジファンドに対し、ユーロに関する取引記録や電子メールなどすべての書類を保管するよう求めた。
ユーロはギリシャの債務問題を背景に売り圧力に見舞われ、昨年11月以降、10%超下落している。WSJ紙は、ユーロについて話し合われたヘッジファンド関係者の会合に関する同紙の記事と司法省の書類保管要請の時期が一致していると指摘している。
同紙は2月25日、一部の大手ヘッジファンドがギリシャの債務危機を理由にユーロ売りのポジションを膨らませていると報じた。報道によると、SAC、ソロスなどの大手ヘッジファンドの関係者が2月8日にニューヨークで開かれた夕食会に参加し、その際、一部の参加者は、ユーロが1ユーロ=1ドルまで下落する可能性が高いとの見方を示したという。
WSJは関係筋の話として、司法省反トラスト局は送付した書簡で「ユーロの取引契約をめぐる複数のヘッジファンド間の合意に関する調査を開始した」と通達した、と伝えている。
関係筋によると、その書簡は「すべての書類を保管」するとともに、ユーロや通貨取引に関する合意をめぐるやり取りの電子記録などをすべて保存するよう指示する内容だった。
反トラスト法を専門とするハーバード大学のアンドリュー・ギャビル教授は、関係筋が語った書簡の内容は、書類の保管を求める司法省の文言に一致しており、司法省はこれらの書類から、ヘッジファンドが共謀してユーロを売り仕掛ける計画があったのか、もしくは実際に売り仕掛けたのかを判断するとの見方を示し、「どちらにしても非常に不利で、刑事告発に発展する可能性がある」と述べた。
米著名投資家ジョージ・ソロス氏が率いるソロス・ファンド・マネジメントの広報担当は、いかなる不正行為も行っていないと否定。「為替相場が話題になるたびにジョージ・ソロスに関心が集るのは当然のことになっている。報道により注目が集っているユーロ取引やそれに関する政府の関心も認識している」とした上で、「報道で示唆されているような、ソロス・ファンドが不正行為を行ったとする指摘は根拠を欠く。政府の要請に全面的に協力する所存だ」と言明した。
SAC、グリーンライト、ポールソンはコメントを拒否。また司法省も同様にコメントを拒否した。