for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

ユーロがドルと円に対し急落、ギリシャ問題拡大懸念で=NY市場

 [ニューヨーク 6日 ロイター] 6日のニューヨーク外国為替市場ではギリシャ問題の拡大懸念からユーロが急落した。この日は、トリシェ欧州中央銀行(ECB)総裁が理事会後の記者会見で、ECBは今回の理事会で国債の買い入れについて討議しなかったと発言。ギリシャの債務危機への新たな対応策を示さなかったことから、ドルと円に対する逃避買いが膨らんだ。

 さらに、午後中盤の米株式市場で株価が急落したことを受け、ユーロは下げ足を速めた。

 ユーロ/ドルは一時1.2523ドルまで下落。その後は2009年3月以来の安値となる1.5%安の1.2622ドル近辺で推移した。

 フォレックス・ドット・コムの主任外為ストラテジスト、ブライアン・ドラン氏はユーロ急落について「市場は完全に売り一色となった」とし、「欧州のソブリン債懸念が発端となり、完全なパニック状態になった」と述べた。 

 ギリシャでは緊縮財政措置に反対する市民が首都アテネで抗議デモを繰り広げており、ユーロ圏に対する信頼感が揺らいでいる。GFTの外為調査部門を統括するキャシー・リエン氏は「現時点でユーロを支援するには、大きく注目を集める何らかの発表が必要だ。ただ、こうしたものはトリシェECB総裁からは出てこなかった」と述べた。

 ECBは今回の理事会で、予想通り主要政策金利を過去最低の1.00%に据え置くことを決定。トリシェ総裁は理事会後の記者会見でギリシャ問題について、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥ることは「論外だ」と述べた。

 ロイターのデータによると、ユーロ/円は一時110.65円まで下落、2001年以来の安値を更新した。その後は5.2%安の114.09円で推移した。

 円もリスク回避に伴って買われる傾向があるため、この日の取引でドルが下落したのは、主要通貨の中で円に対してのみ。ロイターのデータによると、ドル/円は88.03円と4%を超えて下落、2009年12月以来の安値をつけた。また、この日1日の下落率は1998年10月以来の大きさとなった。

 ユーロはスイスフランに対しても過去最安値を更新。2.2%安の1.4004フランをつけた。

 英国で総選挙の投票が行われるなか、英ポンドも対米ドルで下落。ポンド/ドルは1.4715ドルとなり、1日の下げとしては09年10月以来の大きさとなった。

 ギリシャが困難な財政再建に立ち向かうなか、同国の危機がユーロ圏の他の財政基盤がぜい弱な国に飛び火するとの懸念が膨らんでいる。テンパス・コンサルティングの外為ストラテジスト、ジョン・ドイル氏は「ポルトガルとスペインがギリシャと同様の状況に陥り、欧州連合(EU)による支援が必要になるとの見方が高まっている」と語った。

 BNPパリバの外為ストラテジストはこの日、2011年第1・四半期までに、ユーロは米ドルに対し等価水準になるとの予測を発表。過去1年間の欧州の国債市場への資金の純流入は「崩壊」したとし、過去何年間にもわたって安定的にユーロを買い、債券に投資してきた公的部門は「姿を消した」と指摘した。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up