May 10, 2010 / 4:53 AM / 9 years ago

EU・ECBが欧州金融危機で支援策発表、日銀もドルスワップ協定締結

 [東京 10日 ロイター] ギリシャの財政危機に端を発した混乱が欧州発の金融危機に発展する兆しを見せ始め、欧州連合(EU)や欧州中銀(ECB)、国際通貨基金(IMF)などが市場安定化に向け、矢継ぎ早の政策パッケージを打ち出してきた。

 5月10日、EU・ECBが欧州金融危機で支援策発表。写真は記者会見する欧州委のレーン委員(左)とスペインのサルガド経済・財務相(2010年 ロイター/Thierry Roge)

 日本も菅直人副総理兼財務・経済財政担当相がG7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の一員として金融安定化に寄与すると表明。日銀も同日、臨時の金融政策決定会合を開催して米欧の中銀が締結したドルスワップ協定に参加することを決めた。市場は、当局の対応を好感し、日経平均は反発しているが、今回の対応で欧州問題に解決のめどが立ったのか不透明との声も市場ではくすぶっている。

 <最大で7500億ユーロの支援策>

 EU財務相理事会は10日、ギリシャ債務危機の波及を防ぐため、最大で7500億ユーロ規模の緊急措置を実施することで合意した。4400億ユーロの保証、600億ユーロのEU保証の資金に加え、IMFも2500億ユーロの支援を行うとしている。600億ユーロ分は、欧州安定メカニズムが導入され、4400億ユーロ分は、ユーロ圏加盟国が比例配分で保証する特別目的事業体(SPV)のかたちとなる。

 <ECBは政府債・民間債券購入へ>

 一方、ECBは10日に声明を発表し、ユーロ圏の政府債および民間債券を購入する方針を明らかにした。介入の範囲はまだ決まっていないが、ECBの金融政策のスタンスに影響しないよう、流動性吸収オペも実施するという。トリシェECB総裁は6日の理事会後の記者会見で、政府債の買い入れについては協議を行わなかったと述べた。しかし、ギリシャ問題の波及を防ぐためには、ECBが大胆な措置を実施する必要があるのではないかとの見方が強まっていた。

 ECBはまた、5月と6月に全額供給で期間3カ月、固定金利の流動性オペを、5月に政策金利連動の全額供給で6カ月オペを実施すると発表した。さらに、米連邦準備理事会(FRB)とドルのスワップラインを再締結し、期間7日および84日のドル融資を開始することも明らかにした。欧州の法律は、金融危機の際に米英の中央銀行が実施したようにECBが政府から直接的に債券を購入することを禁じているが、ECBは銀行を経由して債券を購入することでこの法律をう回することができる。ECBは昨年、600億ユーロ規模のカバードボンド買い入れプログラムを実施したが、政府債の買い入れは今回が初めて。

 <米欧日の中銀がドルスワップ協定を復活>

 さらに米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)、カナダ中央銀行、イングランド銀行、スイス国立銀行はスワップ協定を再締結した。FRB声明によると「協定は、ドル資金調達市場の流動性状況を改善し、緊張が他の市場や金融センターに波及しないことを防ぐための措置」としている。FRBとカナダ中銀とのスワップ枠は最大300億ドル。

 日銀は10日に臨時金融政策決定会合を開催し、FRBとの間で米ドルスワップ協定を再締結することを決めた。日銀は、金融調節の一層の円滑化を図り、円滑な市場機能の維持と安定性確保に資する意味があるとの見解を示した。

 <G7、G20が声明>

 7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は「財政を持続可能な途に乗せるために、ユーロ圏諸国によりとられる措置、資金支援と新たな欧州安定メカニズムを通じ加盟国の必要に対応するためにユーロ圏諸国および他のいくつかのEU諸国によりとられる措置を歓迎」とする声明を発表した。さらに声明ではユーロ圏諸国が資金支援にIMFを関与させるとのコミットメントを歓迎するとともに欧州中央銀行による措置を支持するとした。

 また、20カ国・地域(G20)財務相も声明を発表し、欧州連合(EU)によるユーロ圏の安定確保に向けた措置を歓迎する姿勢を示した。声明は「G20は、世界の市場の動向を引き続き注視し、世界の金融安定維持に向けた協力を続けることに強くコミットする」とした。

 菅直人副総理兼財務・経済財政担当相は10日午前、欧州諸国や主要中銀などによる支援、G7声明の発表などを受け「欧州の中でしっかりした合意がなされ、それをG7含めた国際社会が支持するかたちができたことは、大きな金融危機対応がしっかりできたと考えている」と述べた。動揺している金融市場の動向に関しても「今回の欧州の決定やG7のサポートを受けて株・為替相場をも安定していくと予想している」と語った。日本としても、G7の一員として今回の取り組みを強く支持していくと述べるとともに、日本の対応として「IMFに資金枠を提供しており、IMFの役割を通じて日本も金融安定化に寄与する」と間接的な資金支援で具体的に協力していく考えを示した。

 <市場に評価の声、危惧指摘の見方も>

 こうした主要国の財務・金融当局の対応に対し「市場は流動性ショックに陥りつつあった。市場のセンチメントは委縮し、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の上昇に象徴されるように、信用が縮小する傾向が見られた。今回の協調的流動性供給策は、こうした信用収縮に対応して中央銀行が流動性を十分に供給するものだ」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト、熊野英生氏)といった見方が、市場で広がっている。

 また、ECBがギリシャ国債などの購入に踏み切る方針を示し「今回の政策パッケージの中で最もインパクトがある」(外資系証券の関係者)との見方が出ている。しかし、この対応についても「結局、信用度の低い国債をECBが購入しても、時間稼ぎに過ぎない。最終的に税でユーロ圏の人々が負担することになる」(国内市場関係者)との厳しい見方も出ている。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 内田 慎一)

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