May 13, 2010 / 9:01 AM / 9 years ago

ユーロキャリー取引で資源通貨狙い、株価の落ち着きなどカギ

 5月13日、外為市場では、キャリー取引の調達通貨としてユーロに注目する参加者が出てきた。写真は昨年11月、都内の外国為替トレーダー(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 13日 ロイター] 外為市場ではキャリー取引の調達通貨としてユーロに注目する参加者が出てきた。じり安基調で低金利が長期化する見通しが強まっているユーロを売り建てる一方、着実に「出口」に向かっている豪やカナダなどの資源・新興国通貨を買い持ちにして、値幅や金利差収入を狙う戦略だ。

 ユーロキャリー取引が活発化するかは、予想変動率(インプライド・ボラティリティ)や世界的な株価の落ち着きがカギとなる。

 ユーロキャリーに関心を示す参加者が出てきたのは、欧州当局が打ち出した総額1兆ドルの対策を受けて「目先的にユーロの崩壊はなくなった」(ある大手銀のチーフトレーダー)ものの、反発力に乏しい状況が続いているためだ。下落基調の続いてきたユーロは、ソブリンリスクが落ち着く方向のニュースを受けて株高や金利低下が進むたびに安値から切り返す動きを見せてきたが、先安見通しを払しょくできず、戻り局面では売り仕掛けを狙う向きが大勢。「ユーロは次第に『買われない通貨』になってきた」(同)。

 急ピッチな値下がりも大幅反発もなければ、金利差狙いのキャリー取引に必要とされる条件のひとつである、低ボラティリティ環境が実現する。ユーロのボラティリティは対ドルの1カ月物で現在13%程度。まだ大きな変動の可能性を織り込んではいるものの、その水準は昨夏から今年4月にかけて続いたボラティリティの取引レンジ上限まで低下、ギリシャ問題が大きくクローズアップされる以前の「通常運行」下の変動の域に戻りつつある。

 一方で、ユーロ圏のソブリンリスクをめぐる極度な緊張状態が落ち着き始めても、多くの関係者は欧州中央銀行(ECB)が当面、低金利政策を続けざるを得なくなったと読む。過剰ともいえるほどの流動性が供給される通貨の低金利政策が長期化する見通しとなれば、ユーロを取り巻く環境は07年にかけて円を大幅に押し下げたキャリートレード全盛期とも次第に重なってくる。

 世界的な好景気が背景にあった円キャリー全盛時と違い、今回のキャリー戦略のリスクとなるのは、株価を含む世界景気の動向。世界的な株価の調整はこれまで、グローバル投資家のリスク許容度が低下するとの見方から、円やドルなど調達通貨の色彩の濃い通貨が買い戻される手掛かりだったが、ギリシャ問題が大きくなって以降は、ユーロ圏への懸念を反映する形で直接的にユーロが上下動する要因となってきた。しかし、欧州当局の対策発表以降、世界的に株価が持ち直し始めたことが、ユーロキャリーの可能性に関心が集まりだした一因となっている。

 急速な円高で円キャリートレードのポジションが解消された後、リーマンショックで多くの国が低金利政策を続けていることもあって、キャリー取引は米ドルや英ポンドなど一部の通貨を調達対象にしてわずかに試みられた程度だった。「(調達側で)ある程度の条件が揃っても、肝心の(金利差収入を得る)運用先がない。ボラティリティが高かったこともあり、最近ドルキャリーやポンドキャリーと呼ばれた売買の実情は、多くが売りと買いの組み合わせでしかなかった」(外銀アナリスト)という。

 しかし今回は、リーマンショックで急激に落ち込んだ世界景気が、新興国や資源国を手掛かりに回復へ向かい始めた過程。ギリシャ危機が欧州新興国危機に広がる可能性もまだあるが、市場が描いている景気回復シナリオが現時点で完全に崩れ去ったわけではない。ソブリンリスクの広がりに一定程度の歯止めがかかるとの前提付きではあるが、利上げにらみとなってきた豪やNZ、カナダ、スイスなどの主要国、アジアではマレーシアやインドなどが、運用先として候補に上がっている。

 (ロイター 編集:橋本浩)

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