[北京 25日 ロイター] 米中戦略・経済対話は25日、2日目の討議に入った。米通商代表部(USTR)のカーク代表は、米中の経済関係の緊迫化を和らげるという点では、中国が通商障壁を低くすることが、為替相場改革と同じくらい重要だ、との認識を示した。
台湾やチベット、検閲問題をめぐる米中間の緊張は後退したが、米国の巨額の対中貿易赤字は依然として火種だ。米国による人民元切り上げ圧力があらためて高まり、両国関係の悪化につながりかねない。
米国の対中貿易赤字は、2009年は2268億ドルで、過去最大だった08年の2680億ドルからは減少した。しかし、オバマ米政権は輸出拡大と貿易赤字縮小を目指す構えで、議員の多くも、オバマ大統領が為替政策について中国への圧力を強めることを望んでいる。
米通商代表部のカーク代表は、米中対話の合間にロイターのインタビューに応じ、中国の自国製品を優遇する政府調達制度について、改定されたとはいえ、米企業への差別につながる恐れは残ると述べた。
知的財産権保護や市場アクセス問題で中国の対応に前進があれば、それは人民元改革より重要な意味を持つ可能性がある、と指摘した。
クリントン米国務長官は、中国のテレビとのインタビューで、中国政府は米債購入で「賢明な」決定を下してきたと評価した。長官はまた、中国はある時点で国内投資を拡大する必要がある、とも述べた。
中国は8952億ドルの米国債を保有しており、世界最大の保有国。温家宝首相ら中国の政府高官は昨年、米国債の価値減少につながりかねない財政政策を避けるよう、米政府に働きかけたことがある。
2人の著名な中国人エコノミストは、インターナショナル・エコノミック・レビューに寄稿し、中国は近く人民元の対ドル相場の上昇を容認する必要があると主張。さもないと米国の反感を買うと述べた。
中国社会科学院に属する両氏は「人民元の相場形成メカニズムを緩めるタイミングとしては、2010年第2・四半期が適切だと考える」とし「中国政府は、この機会を最大限活用すべきだ」と述べた。