June 18, 2010 / 1:37 AM / 9 years ago

菅首相が消費税10%に言及:識者はこうみる

 [東京 18日 ロイター] 菅直人首相は17日午後に都内で行われた参院選マニフェスト(政権公約)の発表記者会見で、2010年度内に税率などを含めた「消費税に関する改革案をとりまとめたい」と言明。税率について「自民党が提案している10%(現行5%)という数字を1つの参考にしたい」と踏み込んだ。

 6月18日、菅首相が消費税率10%の可能性に言及したことについて、識者の見方をまとめた。写真は17日、都内で行われた記者会見で(2010年 ロイター/Michael Caronna)

 これに関する識者の見方は以下の通り。

●根拠明示できず、「腰だめ」批判も

<みずほ証券 上野泰也チーフマーケットエコノミスト>

 菅直人首相は17日実施した記者会見において、民主党が参院選で掲げるマニフェストに関連して「自民党が提案している10%をひとつの参考とさせていただく」と述べ、具体的な消費税率の引き上げ幅に初めて踏み込んだ。しかし、なぜ10%への引き上げが必要と考えるのか、その根拠は不明確だ。細川内閣が国民福祉税構想を打ち出した際、「腰だめの数字」と説明して批判されたエピソードを思い出す。

 菅首相が所信表明演説で掲げた「強い経済・強い財政・強い社会保障」のうち、「強い財政」のアピールが先行しており、「強い経済」は高い成長率目標を掲げつつも、その実現性には疑問符が付いたままとなっている。

 金融市場は、民主党を含む各政党が選挙公約で今回掲げる高い名目GDP成長率について、その実現可能性を懐疑的に受け止めたまま冷静に取引を続けることだろう。長期金利の代表的な指標となる10年最長期国債利回りは、2008年12月末に付けた1.155%が次の節目になるとみている。

●引き上げ時期間違えば株価押し下げ要因に

<日興コーディアル証券 シニアストラテジスト 河田 剛氏>

 昨今の財政状況を考えれば消費増税は避けられず、10%という数字にも特にサプライズはない。債券市場にとっては財政再建につながることから純粋にプラスの影響が見込まれる。一方、株式市場には引き上げのタイミングを間違えれば悪影響となる可能性がある。景気が完全に回復しないうちに引き上げたら景気にマイナスで、株価を下押しする材料となるだろう。引き上げる環境としては、実質成長率2%以上を1年ぐらい継続することなどが必要になってくる。景気にやや過熱感が出ている時ならいいタイミングと言えるかもしれない。

 日銀との協調関係も重要だ。金融政策については緩和ぎみにしておく必要があるだろうし、その意味では円安が株価を支える可能性もある。株価への直接的な影響としては、システム関連が注目されるだろう。

 一方、消費税論議はこれまで、与党が選挙で不利になるとして避けてきたが、与野党が引き上げに言及しており現在はそのような時代ではないとみている。したがって、現時点では3年後ぐらいに実施が見込まれる総選挙で、消費税引き上げ論議が与党惨敗、政局流動化による政治リスクの浮上につながるとは考えにくい。

●景気への効果は引き上げ方次第、議論は即必要

<JPモルガン証券・チーフエコノミスト 菅野雅明氏>

 景気への影響を左右するのは、消費税の引き上げ方だとみられる。例えば1度に5%上げたりすれば、悪影響も出るかもしれない。こうしたことも踏まえ、5年間にわたり2%ずつ引き上げることを提案している。そうすれば、自動車や家電製品など耐久消費財を買う予定がある人は、早めに買おうとする。その結果、前倒しの消費が誘因されるので、むしろ景気にプラスになる可能性もある。その時の経済環境にもよるため一概に言うのは難しいが、そのようなことを言ってられる時ではない。引き上げないでこのままずっといったら、何が起きるかということとの対比で考えなければいけない。仮に多少景気に悪影響があっても、本当に財政が破たんするような状況が先にくれば、もっと大きな痛みを伴う対策が強制的に取られる。それに比べれば、まだましという考え方をせざるを得なくなってきている。

 消費税引き上げについては、反対か賛成かは世論が割れるが、高齢化で社会保障費がどんどん増えてきているような状態の下では、さすがに消費税を上げないとやっていけないということがかなり浸透してきていると思われる。だが、選挙で勝てるかどうかは、やってみなければわからない。一番いけないのは、その問題から逃避すること。時間だけが失われ、悪い方向に行ってしまう。今までは国民の意向を伺った上で政策を決められ、本末転倒の政治がみられたが、政治家が今の危機的な状況を国民に知らしめ、自覚を促す方向に持っていかないといけない。現状は賛成反対がきっ抗しているが、その議論を避けていてはいけないというのが一番大きいポイントだ。実現は早くても2013年度とみられ、2011年、12年の可能性は非常に低いが、議論を今すぐにでも始めた方が良い。2011年か12年にはそのために総選挙を実施するべきだ。

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