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G8は財政再建で欧米が歩み寄り、各国状況に応じた計画許容
2010年6月27日 / 02:09 / 7年後

G8は財政再建で欧米が歩み寄り、各国状況に応じた計画許容

 [ムスコカ/トロント 26日 ロイター] カナダのムスコカで開催された主要8カ国(G8)首脳会議では、日米欧の間での財政再建と成長のバランスについての対立を回避しおおむね合意に達した。

 6月26日、ムスコカで開催されたG8首脳会議では、日米欧の間での財政再建と成長のバランスについての対立を回避しおおむね合意に達した。写真は25日、記念撮影する首脳。代表撮影(2010年 ロイター)

 財政再建の重要性について確認しつつ、成長に配慮して各国の経済財政状況に応じて進める方向となった。このため米国は、日本など経常黒字国には内需の拡大を求める姿勢を示した。一方で菅直人首相は成長と財政再建の両立がG8にとって重要だと表明した。この後行われる20カ国・地域(G20)首脳会議の声明でこうした内容を盛り込む方向で議論される見通し。

 <財政再建と成長のバランスで対立回避、各国の状況に応じたペースで>

 今回の首脳会議では、金融危機対応で各国が巨額の財政資金を投じた結果、財政状態が悪化したことに加え、ギリシャ危機が欧州景気に水を差していることも踏まえ、財政再建問題への取り組みが大きなテーマとなった。財政悪化に悩む欧州は財政再建を急ぎたい考えの一方で、米国は世界全体が財政緊縮に走れば景気に水を差しかねないため、マクロ景気への配慮を重視しており、立場の違いを抱えての会合となった。それでも討議の結果、欧米はこの問題で対立はなかったと強調、財政状況や経常収支の状況に応じて国別に成長と財政再建のバランスをとる方向で合意に近づいた模様。 

 米国のガイトナー財務長官は「世界経済を危機から脱却させる効果的な戦略の一環として、各国が時間をかけて赤字削減に必要な措置をとるとの認識を確認する必要がある」と欧州の財政再建問題に理解を示した。ただし「各国が成長していくことも確認する必要がある。適切なバランスを探る必要がある。適切なバランスは国によって異なる」として、財政状況に応じて成長への配慮も求めた。 

 欧州各国の首脳も米国との対立はなかったと強調。サルコジ仏大統領は、財政赤字削減に対して「協調のとれたアプローチを決めた」と語り、「最も多額の債務を抱え、最も赤字が多い国は、赤字を削減すべきだとの認識ですべての国が一致している」と説明。

 メルケル独首相も「G8は、巨額の歳出プログラムを終わらせる時期であり、出口戦略に着手すべきであることについては共通の見解を持っている」として、財政再建への道筋について合意したことを示唆。「おそらく、出口戦略を導入するペースについては立場の相違がある」として、各国の状況に応じたペースを認める方向で取り組む方向で議論が行われた可能性を示した。 

 <米国は日本に内需拡大求める、菅首相は成長と財政再建のバランス訴え> 

  日本は、先進国の中でも財政赤字の対GDPなどを比較すると、最悪の状況となっている。財政再建は喫緊の課題ながら、一方で経常黒字を維持しており、まだ財政状況に余裕があるとみられている。このため、米国からは財政再建により世界経済に悪影響を与えるよりも、内需拡大を求められている。

 ガイトナー米財務長官は現地で記者団に対し、経常黒字国である日本やドイツを対象に「輸出に過度に依存している」と指摘。同長官は「景気回復は、新興国の非常に力強い成長と米国の底堅い景気拡大が主導している。欧州と日本はやや遅れて成長が始まり、ペースは相対的に鈍いと予想されている」と、まだ景気回復が鈍いために内需拡大が必要と注文をつけ、立場の違いをうかがわせた。 

 一方で菅直人首相はG8首脳会議終了後、記者団の質問に、「経済・財政の問題では私の方から成長と財政再建の両立がわが国だけでなくすべてのG8諸国にとって重要だと指摘した」と述べた。 またG8首脳会議で「新成長戦略」と「財政運営戦略」について説明した菅首相は、「雇用を軸にした経済の成長、それがデフレ解消につながり、財政再建にも資すると説明した」ことを明らかにし、「G8から一定の理解を得られた」との認識を示した。 

 <G20声明で、3年以内の赤字半減盛り込みへ> 

 G8声明では経済問題についての言及は保護主義貿易の圧力への対抗や、WTOの下での貿易・投資の促進を謳うだけにとどまった。G8で歩み寄りが図られた財政再建と成長のバランスについては、この後開催されるG20声明に具体的内容が盛り込まれる見通し。議長国カナダのハーバー首相は「G20首脳会議では財政健全化について、活発な議論を予想しているが、先進国の財政健全化の中期目標の必要性については、強力なコンセンサスがあると感じている」と述べた。 

 ロイターが入手したG20声明草案では 「先進国は(成長と財政健全化の間の)こうしたバランスを反映して、2013年までに財政赤字を少なくとも半減し、2016年までに政府債務の対GDP比率を安定もしくは低下させる財政計画にコミットしている」 と、今後3年間での赤字半減など具体的な目標を盛り込んでいる。ただし「財政の持続可能性を実現するため、(中略)成長に配慮した計画をまとめる必要がある」として、成長への配慮も謳っている。

 ただ銀行課税については、メルケル独首相が「残念ながら銀行課税についても金融取引税についても共通の立場は持っていない」と述べ、今回のG20では合意に至らない可能性を示した。

   (ロイター日本語ニュース 中川泉記者)

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