July 9, 2010 / 9:16 AM / 10 years ago

シナリオ:民主50議席割れなら株売り、クロス円売りに波及も

吉池 威記者

 7月9日、参院選で民主党が50議席を割り込めば株売りに振れるとの見方が広がっている。写真は6月、都内証券会社の株価ボード(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 [東京 9日 ロイター] 11日投開票の参院選で民主党が50議席を割り込めば株売りに振れるとの見方が広がっている。その場合、海外勢がリスク回避姿勢を強め、いったんクロス円売りに波及すると予想されている。

 民主党の連立パートナー探しが混とんとするほか、菅直人首相の責任問題が浮上、最悪の場合には9月の民主党代表選で党分裂に発展する可能性も指摘されている。また、争点の消費税で、民主・自民の大連立構想が取りざたされているが、現時点で実現は困難とみられている。

 <60議席以上なら株買い/債券買い> 

 参院の過半数は122議席。民主党の非改選議席が62あるので、今回の参院選で60を上回れば単独過半数を確保することになる。ただ、菅内閣の消費税をめぐる発言などを受け、足元の支持率調査では下落傾向が鮮明になっていることから、「(首相が目標とする)54議席は危ういのではないか」(外資系証券)との見方が広がりつつある。金融市場では、1)60議席以上なら株買い/債券買い、2)54議席割れで株売り、3)50議席割れなら株売り/円買い、と株式市場を起点とする反応が予想されている。

 金融市場が望むのは、安定的に政権運営ができる60議席以上の確保。邦銀の市場営業部副部長は、この場合「民主党政権、消費税引き上げの両方を支持したといえるのではないか」とみている。そのうえで、株式市場は消費増税にはネガティブだが政治の安定度を好感、株買いに振れるとともに、財政立て直しの観点から債券買いにもつながるとの見方を示す。為替は国内要因では動きにくく、反応は限定的とみられている。菅首相の求心力が高まり、長期政権の可能性も出てくる。

 <54議席割れで株売り、連立パートナー探しが焦点に>

 民主党の獲得議席が改選54を割り込めば株売りの展開が予想されている。連立与党過半数割れのケースでも金利上昇余地は限定的とみているのはJPモルガン証券だ。足元の債券買い要因としては「銀行貸出の減少と預金の積み上がりを受けた預貸ギャップ拡大の影響の方が大きく、参院選の結果を受けた財政規律見通しの変化の影響は限定的にとどまる」という。54議席割れの状況では、他の政党との連立が大きな焦点となる。

 現在の連立与党では、国民新党が菅首相の税・財政政策と隔たりが大きく、経済政策で不安定さをはらんだ政権運営となるため、民主党が過半数を獲得できなければ大きな株買いにはつながりにくい見通し。他の連立パートナーとして、国内メディアによる世論調査などで議席確保が予想されるみんなの党との連立は、政策の中身の違いから連立は困難との見方が多い。「政策や人的なつながりからたちあがれ日本と組む可能性もある」(野党筋)というが、たちあがれ日本は1議席が見込まれる程度。

 政策が近いとされる公明党は、小沢一郎前幹事長の資金管理団体の政治資金規正法違反事件で民主党に批判的なほか「総選挙がみえてこないと動き出さない」(同野党筋)と指摘される。一方、日米両国が5月に発表した共同声明では、普天間飛行場の移設先を米軍キャンプ・シュワブがある沖縄県名護市辺野古とし、代替施設の工法などの検討期限を8月末日としており、この問題も連携の妨げになる可能性がある。

 消費税を共通項とした民主・自民の大連立構想も取りざたされる。ある自民党筋によると、同党は39―49議席の獲得を見込んでいるが「民主党と組んでしまったら自民党の存在価値がなくなる」として、現時点で否定的な見方が多そうだ。例年だと9月に開かれる臨時国会について、今年は民主党代表選後に召集されるとみられている。「民主党はそれまでにどのように一本釣りの多数派工作を成功させるかだ」(同野党筋)という。

 <50議席割れなら株安/円高、政局流動化でリスク回避の動き>

 民主党が50議席を割り込めば、株価を押し下げ、それをみて主要通貨売り/円買いの動きが予想されている。市場では「海外勢はリスク回避でいったん売りではないか」(外資系証券)という。菅首相の責任問題に発展し、一気に政局が流動化するとの懸念が強まるためだ。

 実際、ある民主党参院議員は「9月の代表選は大変なことになる。小沢前幹事長が自ら出馬することになる。党員票・サポーター票などで獲得見込みでは(過半数を)すでに上回っていることから、(向こう3年ぐらいの間に実施が予想される総選挙までの間)首相として強いリーダーシップで政策運営を進める」と話している。

 一方、民主党衆院議員の1人は「小沢氏の影響力は幹事長退任後、確実に弱まっており、党を割るようなことにはなりようがない」という。政治資金規正法違反事件について、27日には検察審査会による再審査の結論が出るとみられている。それが「(小沢氏にとって)事実上の議員辞職勧告になるだろう。取り巻きが小沢氏復権を吹聴しているだけ」と民主党の同衆院議員は指摘する。 

 争点の消費税の引き上げに関しては、「発足して以来、民主党政権にやや距離を置いてきた財務省が、増税の実現を菅政権に賭けようとしていることの表れだ」(同野党筋)という。民主党は今後、消費税引き上げに向け超党派協議への参加を呼び掛けるとともに、有権者の理解を得ようと議員定数の削減を打ち出すとみられている。

 (ロイター日本語ニュース 吉池 威記者 編集 橋本浩)

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