July 16, 2010 / 8:57 AM / 9 years ago

インタビュー:民主代表選の結果次第で首相交代も=自民政調会長

 [東京 16日 ロイター] 自民党の石破茂政調会長は16日、ロイターとのインタビューに応じ、9月の民主党代表選の結果次第で首相が代わる可能性があるとの見方を示した。

 7月16日、自民党の石破政調会長は、9月の民主党代表選の結果次第で首相が代わる可能性があるとの見方を示した。2008年9月撮影(2010年 ロイター/Issei Kato)

 その上で、同代表選で財政再建派が敗れた場合は、財政再建派と自民党が連携しても構わないと政界再編に言及した。

 参院で与野党勢力が逆転する「ねじれ国会」となるなか、民主党は野党との政策単位の部分連合を模索しているが、石破氏は民主党内で意見がまとまっていない段階で協議に応じることはできない、と述べた。

 また、参院選で躍進したみんなの党が次期国会に提出を予定しているデフレ脱却法案には、ハイパーインフレとなる恐れがあるとして自民党として反対するスタンスを強調。デフレ脱却に向け、塩崎恭久・元官房長官を中心に金融緩和に頼らない方策を検討中だ、と語った。

 インタビューの概要は以下の通り。

 ──民主党大敗と自民党勝利の理由。

 「民主党のいろいろな対応がすべてよくなかった。自民党は昨年の総選挙に大敗して以来2つのことやってきた。ともすれば避けてきた消費税増税を含めた税制改革について。もう1つは民主党が全て否定してきた自衛隊の国際的な活動や日米安全保障の根幹である集団的自衛権をはっきり打ち出した。政策の面で、民主党よりはいい、という評価をいただいた。そして今回47の都道府県でそれぞれ地域別の公約を出し、地方議員が多い自民党に非常に有利に働いた。さらに候補者が随分若くなり、若いイメージが地域によっては評価された」

 ──消費税引き上げを有権者はどうみたか。

 「否定していない。消費税増税がだめなら自民党は勝っていない。自民党はなぜ10%に増税するか根拠を示した。年金や介護、医療をより充実させるため7兆円必要、ただ毎年増える分が1兆2000億円。消費税が5%という非常に低い税率なので、消費税以外の税金で賄っている医療や介護、年金などが7兆3000億円ある。全部足すと15兆5000億円。これを消費税で割ると6%となるため消費税は本当は11%必要になるけども、国会議員削減などで1兆円ぐらい削減して、当面10%とした。もちろん10%で足りると思っていないので、『当面』としている。自民党は根拠を明確にしたが、民主党には何のため10%なのか根拠がない」

 ──消費税増税の必要性について菅直人首相も自民党と同じような説明をした。

 「民主党のなかで全く議論せずに消費税増税を打ち出した。だから小沢一郎前幹事長のように『僕は違う、国民には消費税上げないと言った』と言う人がいたり、それぞれの選挙区でも『私は消費税増税反対』という候補者がいて菅首相は大きく揺れた。いつでも、トップが揺れるのは負ける理由だ」

 ──今の自民党は大きな政府と小さな政府、どちらを目指しているのか。

 「基本的に私たちは小さい政府を目指す。基本的には自助努力だが、ケアが必要なところはケアする。小さいが配慮の行き届いた政府を目指す。困っている人も、困っていない人もいい思いができる大きな政府は目指さない」

 ──小泉改革プラス「セーフティーネット」というイメージか。

 「セーフティネットという言葉はあまり好きでない。網を張って落ちてきたひとに差し出すという感じだ。落ちて行くことが前提となっている。もともと競争ができないような人たちは、落ちる前にちゃんとしたケアが必要」

 ──これから自民党が伸びるための方策は。

 「政策だ。もうひとつ自民党の強さは個人的なつながり。民主党みたいにカッコいい総理大臣がいて、街頭で演説して、わっと風で当選するのでなく、議員一人ひとりがどれだけ有権者と個人的なストーリーを作るか、だと私は思っている。これから夏。夏祭りには必ず行って、演説するのでなく、みんなとお酒を飲んで握手をして歌を歌い、踊りを踊る。そういうことがとても大事」

 ──ねじれ国会となって政府が何もできない状況だ。

 「(民主党は)野党が賛成できる法律を提出するのが責務。野党が反対するような法律を出すのは国民のためにはナッシングだ。(民主党が)彼らの思うベストではなくともベターな法案を出す努力をすべき。逆に我々は議員立法というものを出す。民主党も自民党が出した法案を、今までのように全部無視するべきではない。その意味で、ねじれはネガティブに捉えるべきものではないと思う」

 ──どのような分野の民主党案なら応じるか。

 「たとえば医療、年金、介護などというものは事前にすり合わせができるし、しなければできない。自民党と民主党という二大政党で協議するのか。社民党や国民新党など他の政党とも協議する可能性はあるが、やはり(協議相手は最大で)自民、民主、公明、みんなの党の4党ぐらいではないか」

 「まず民主党の側で、いわゆるバラマキと言われる子供手当、高校無償化、農家個別補償などを取り下げないと、そもそも予算が組めない。小沢さんみたいに『国民との約束だ』と言う人がいるが、民主党内で『これでどうですか』と(まとまったものを)出してもらわないと協議のしようがない。自分たちで話をまとめてないのに、協議しようと言われても困る」

 ──バラマキ政策の見直しが必要か。

 「やくざじゃないから『すみません』と言えとはいわない。でも(マニフェストに掲げた政策の実行を)『出来ませんでした』ということは率直に素直に認めるべき。そうでないと予算そのものが出来ない。菅さんや野田佳彦財務相とか玄葉光一郎政調会長は(政策が実行できないと)言っているが、小沢グループの議員は全然言っていない」

 ──9月の民主党代表選について。

 「民主党の代表選挙の結果によっては首相も変わるかもしれない。(民主党代表選で財政再建路線でない人が選出された場合)、民主党の財政再建派とわれわれが組んでもいい。代表選挙に敗れた人を我々が首班に担いでもかまわない」

 ──民主党が割れる可能性。

 「民主党はバブルでこんなに大きい。割れないと思うのは間違い。いつでも割れる。自民党が長く割れなかったのは政権政党だから考え方が違っても『大臣になれるから』という人がいた。今の民主党はあまりに大きすぎてみんなにポストが行き渡らずいい思いができない。間違って国会議員になった人もおり、そのような人たちは政権や党への忠誠心がない」

 ──今後の自民党。

 「政策をもっと詰める。次の総選挙に向け、政権を取った場合の行程表を作る。政策の完成度を高める作業を急ぐ。それが民主党をまた混乱させることにもなる。今の民主党は政策どころの状況でない」

 ──みんなの党が日銀法改正を含めたデフレ脱却法案を提出するが。

 「わたしはああいう考え方をとらない。マネーのバラマキは効果的かもしれないが、1年限りで終わるものでなく、2年、3年、4年と続ける必要があり、そのときハイパーインフレにならないという自信がない。麻薬を打つと元気になるが中毒になる前に止めるからいい、という話にならないか。(デフレ脱却法案への反対は)党としてまとまっている。うまくいくかもしれないが、ギャンブルではないのだから(政策として採れない)」

 ──自民党内にもリフレ派の議員がいる。

 「(リフレ派論客の)自民党の山本幸三氏やみんなの党の渡辺喜美代表とかのもっともらしい話が、実は違うということを理論的に明らかにしないといけない。今その作業をやっている。どちらかというと産業政策に近い内容。塩崎さんが中心にまとめている」

 ──参院選で自民党が勝ちすぎて谷垣禎一代表を交代させたい人もあるようだ。

 「います。しかし総裁は絶対に変わらない。変える理由がない。派手ではないけど誠実な人で、良さがだんだんわかってくる」

 ──たちあがれ日本や新党改革などと連携の可能性は。

 「自民党に復党する、ということではないが、信頼・協力関係を築くのは必要。(たちあがれ日本とは)私は非常に近い。新党改革は舛添要一代表の個人商店。自民党内には舛添氏へのアレルギーが強く、(復党は)難しい。私はかまわないと思っているが、短期間に大臣に就任して嫉妬を買ったのだろう。私は、大規模な政界再編をやりたいと思っている。そのためには自民党がしっかりしないといけない。再編の軸は財政と安保だ」

 (ロイターニュース 竹本能文記者、Linda Sieg記者)

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