August 4, 2010 / 4:57 AM / 10 years ago

長期金利が7年ぶり1%割れ、世界的なデフレ懸念で国債選好

 [東京 4日 ロイター] 4日の東京市場で金利低下に拍車がかかった。10年最長期国債利回り(長期金利)は2003年8月以来7年ぶりに1%を割り込んだ。

 8月4日、長期金利が7年ぶりに1%割れ。世界的なデフレ懸念で国債が選好されている。昨年12月、都内で撮影(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 世界的に企業業績が改善傾向を示す一方でマクロ指標がさえず、世界的に景気先行きをめぐる不透明感から投資マネーが安全資産とされる国債を選好する流れとなった。世界的にデフレへの懸念も広がっており、中央銀行による追加緩和策への期待も出ている。

 <長期金利が一時0.995%に低下、運用難に苦しむ銀行勢が買い>

 長期金利は一時前日比0.040%低い0.995%と1%を割り込んだ。前日の海外市場で6月米個人消費支出や6月米住宅販売保留指数が市場予想を下回ったことを受け、米連邦準備理事会(FRB)が近く追加の金融緩和に踏み切るとの観測が広がり、米国債が買われた流れを引き継いだ。米欧の景気先行き不安が広がり、日本だけでなく世界でデフレ懸念が台頭。運用難に苦しむ銀行勢の資金が国債市場に流入する状況が続いており、「金利低下の流れは簡単に断ち切れそうにない」(国内証券)との見方が出ている。

 バークレイズ・キャピタル証券チーフストラテジストの森田長太郎氏は「長期金利1%を割り込んだことで、基本的に来年にかけて長期金利の低下トレンドが見通せるものの、オーバーシュートと受け止めている。金利は低下後に急上昇への警戒感がある一方で、過去の経験則で極端な金利低下を経験しているだけに、金利低下を比較的受け入れやすい状況になっている」と話す。

 <株式相場は売り先行、円高で日銀の対応に注目も>

 株式市場は長期金利の低下と円高を背景に売り先行。引き続き取引は閑散としており、売りも買いも乏しい状況となっている。長期金利の低下で三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T)やみずほフィナンシャルグループ(8411.T)など銀行セクターが選好される一方で、ドル/円が85円台まで円高が進んだことから輸出株を中心に売られた。株式市場では円高への懸念が強まっている。大手証券の株式トレーダーは「要人の円高警戒発言は効き目が薄いので、日銀の対応に注目したい」と話している。

 長期金利低下の直接的な影響について、現時点では限定的というのが市場関係者の見方だ。みずほ証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「投資家のリスク許容度が高ければ、金利低下は株式の利回りの魅力を増すが、リスク許容度が低ければ株式のリスクプレミアム上昇で金利低下は買い材料とならない」と指摘する。その上で「短期的には、それほどリスク許容度は低下していないが、長期でみればグローバルデフレへの懸念を背景にジリジリと低くなっているとみられるため、現状では金利低下は株式の直接的な買い要因にはなっていない」という。

 また、日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏は、長期金利の低下について「リスク資産が株式市場に流入して来ないので、その点ではマイナス要因となるだろう。外為市場で円高が進んでいるほか、株価押し上げの手掛かりとしてきた決算ネタが尽きてしまうので、指数は今後ますます上昇しにくくなる」とみている。河田氏は目先の日経平均株価について9500円を挟んだボックス圏とし、レンジはやや切り下がる方向との見方を示した。

 <ドル/円は8カ月ぶり安値>

 午前の外為市場でドルが一時85.40円まで下落し、8カ月ぶりの安値を更新した。売りの主体は海外ファンド勢。ファンド勢は日本の財政赤字を理由にかねてから円売りを仕掛けていたが、円が毎日ジリジリと上値を切り上げるなか、損切りのドル売り/円買いを実施せざるを得なくなったもようだ。「日本は財政問題があるから円だけは買えないとしてドル/円をロングにしていたファンド勢の投げ売りが出ている。損切り売りの他にもショート・タームで勝負しているファンドが中心となって新規にドル売りしている」(ファンドマネジャー)という。

 85円半ばにはオプション関連のドル買い需要もあるとされたが、ドルはあっさりその水準を割り込んだ。「今年初めて見る水準ということで、(ドル)買いは至るところで出ているが、売りの威力が若干勝っている。ただ、相場に過熱感はない」(同ファンドマネジャー)という。85円以下には個人投資家のロスカット・オーダーが並ぶとされ、まとまった金額でのロスカットが誘発されれば、ドルの下落が加速するとの見方もある。

 前日の海外市場ではウォールストリート・ジャーナル紙が報じた観測記事が、ドル売りを加速させた。同紙によると、米連邦準備理事会(FRB)は10日の連邦公開市場委員会(FOМC)で、買い入れたモーゲージ証券(MBS)が償還を迎えた場合、別のMBSや国債に再投資するかどうか検討する見通しだという。

 しかし、米CNBCはコメンタリーで、市場はFRBが減速する米経済を支援するために果敢な行動に出るとの期待を前倒しにし過ぎているかもしれないとし、FRBが量的緩和や追加的金融緩和を来週のFOMCで決断する可能性は小さい、と報じている。

 (ロイター日本語ニュース 星 裕康記者)

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