for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

日銀は円高の影響点検へ、追加緩和めぐり米雇用統計に注目

 [東京 5日 ロイター] 日銀は9─10日に開く金融政策決定会合で、最近の円高が景気に与える影響などを点検する見通し。足元の景気については、7月会合で見直した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)のシナリオにほぼ沿ったものとみている。

 8月5日、日銀は9─10日の金融政策決定会合で、最近の円高が景気に与える影響などを点検する見通し。写真は5月、白川総裁(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 円高については動向を注視しているが、現段階では、ただちに追加緩和が必要な状況とは見ていないようだ。

 しかし、1ドル=80円に近づくなど円高が急速に進行し、景気の下振れ懸念が増大、総合的にみて日銀の景気回復シナリオが危うくなる可能性が高まる場合には、追加緩和も辞さない構え。こうした観点からも、6日に発表される米国雇用統計が市場に与える影響に注目している。

  <円高による差損は、輸出数量増などでカバー可能との見方>

 外国為替市場で4日、ドルは一時85円前半と8カ月ぶりの水準に下落した。追加緩和につながった昨年11月のドバイショック時の水準に近づきつつあるが、日銀内では、現段階で何らかの追加緩和が必要との見方は少ない。山口広秀副総裁も21日の富山での会見で「特定の為替レートの水準を前提に金融政策を考えるということは従来からしていないし、今後もそう」と述べている。

 為替の影響について日銀では、輸出型製造業などで為替差損が生じる可能性があるものの、輸出数量の増加などで企業収益が好調なため、ドバイショック時よりも企業の円高対応力は強まっているとみている。日銀が発表した6月実質輸出は120.9(2005年=100.0)と、昨年11月から16%以上改善。一部輸出企業が想定レートを円高方向にシフトしつつあることも、円高への耐性を高めているとの指摘もある。ホンダ7267.Tは30日、第2・四半期以降の想定為替レートを1ドル=85円にすると発表している。

 景気のリスク配分は、上下がほぼ拮抗しているとの見方が多い。欧州経済に対しては、強めの指標が散見されることに加え、ストレステストの結果発表などで不透明感がやや払しょくされたことがプラス要因。減速感が見られる米国経済についても、もともと今春の動向が想定よりも強くなったことを踏まえ、現状は日銀の想定に近づいてきたとの見方が多いようだ。ただ、宮尾龍蔵審議委員が一部報道機関とのインタビューで指摘したように「下方向のリスクをより強く意識する必要がある」との指摘もある。

 6月の鉱工業生産指数は市場予想を大きく下回ったが、日銀では、ほぼシナリオ通りの動きと見ている。6月の下落は季節調整の歪みの影響が大きいと分析しており、実勢でみた4─6月期生産は、発表されたプラス1.4%よりも2%ポイント程度は強いと分析している。7─9月は実勢でみてもさらに減速すると見ているが、「増加ペースが次第にゆるやかになっていく」とのシナリオに沿った動きと分析している。6月の鉄鋼生産は、在庫積み上がり局面にやや近づいた格好だが、中国での不動産規制の影響などが指摘されている。

 日銀では、これまで景気のけん引役となってきた外需が徐々に減速するなか、消備や設備投資など民需への円滑なバトンタッチを期待しているが「(民需の自律回復の)芽がなかなか大きくならない」(幹部)というのが、ほぼ一致した見方。今後については、9月末に予定されているエコカー補助金制度の終了の影響、円高が企業マインドや株価に与える影響などを注視していく。 

  <円高対応では手詰まり感も>

 円高については、米国経済の減速懸念などで消去法的に円が買われているとの見方が多く、日銀ができる実効性の高い対応は限定的との見方が多い。

 円高がさらに進み、景気下振れ懸念が出てきた場合の緩和策としては、昨年12月に導入された金利0.1%での共通担保資金供給オペの拡充(供給額の引き上げ、オペ期間の拡大)を予想する向きが市場では多い。しかし、日銀内では、同オペの拡充は市場機能をさらに低下させ、金融機関の収益を圧迫するとの懸念が根強い。

 長期国債買い切りオペの増額についても、長期金利が1%を割れてオーバーシュート気味のなか、市場をさらに過熱させるとの懸念が聞かれる。

 (ロイターニュース 児玉 成夫記者、取材協力:竹本 能文記者:編集 石田仁志)

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up