August 12, 2010 / 6:07 AM / 10 years ago

米金融政策は未知の領域に、市場の不透明感増す

 [ワシントン 11日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)による事実上の金融緩和は、金融政策の方向性に一定の明確さを与えるはずだった。しかし、FRBは10日の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で未知の領域にいっそう深く足を踏み入れたことで、金融市場に一段の不透明感をもたらす結果となった。

 8月11日、FRBがFOMC声明で未知の領域にいっそう深く足を踏み入れたことで、金融市場に一段の不透明感をもたらす結果に。ワシントンのFRB本部前で昨年3月撮影(2010年 ロイター/Jonathan Ernst)

 「非伝統的な今回の措置の効果は」「FRBの次の対応は」「国債買い入れを拡大するのか、拡大するならどのくらい」「FRBは市場が知らない何かを知っているのか」──こうした疑問が11日、市場観測筋の間で渦巻いた。

 ローレンス・マイヤー元FRB理事は「FOMCがどのような景気見通しを持ち、どの程度懸念しているのかをめぐり、市場の不透明感が高まった」と指摘。「次回のFOMCで何が起こるのかについてはさらに不透明感が強い」との見方を示した。

 FOMCは10日、FRBが金融危機の際に買い入れたモーゲージ債の償還資金を国債に再投資することで、証券保有額を現状の約2兆ドルに維持する方針を示した。 

 市場の見通し不透明感は、FOMC声明発表直後にロイターが実施した米プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)調査に顕著に表れている。調査では、FRBが国債購入プログラムを再開するかどうかをめぐって大きく意見が分かれていることが示された。明確に「再開する」としたのは13社中5社で、2社は「再開の可能性がある」と回答。1社は「再開の可能性は低い」、5社は「再開しない」と答えた。

 再投資による即時の影響でさえも予測は難しい。償還日が確定している国債と異なり、住宅ローン担保証券(MBS)は借り換えや住宅ローンの返済などで満期を迎える額が左右される。 

 <量的緩和(QE)第2弾:続編は前編に劣る> 

 市場ではFRBの新しいアプローチを「量的緩和第2弾」あるいは「量的緩和ライト」と呼ぶ向きもあるが、これには危険が満ちている。日銀による量的緩和にもかかわらず、20年にわたる長期のデフレに悩む日本の経験がそれを物語っている。

 第1に、FRBが10日に示した漸次的な措置が融資状況に影響を及ぼすかどうか、大きな疑問がある。

 ニューヨーク連銀が3月に公表した報告によれば、FRBが金融危機の際に示した1兆7000億ドル超の証券買い入れへのコミットメントがもたらした指標金利の抑制効果は0.3─1%ポイントにとどまった。これは、顕著な効果を生むためには大規模な緩和が必要であることを意味しており、ゴールドマン・サックスのエコノミストは1兆ドル規模の追加緩和が必要とみている。

 追加的な緩和措置は、最初に措置を打ち出すときよりも一定の供給額に対する効果が弱くなるとの指摘もあり、当初と同様の効果を得るためにはこれまで以上の資金供給が必要となる可能性もある。

 さらに、米国が抱える問題は高失業率と消費者需要の弱さで、信用供給の拡大ではこうした問題のいずれも解決できないとの声も多い。最大の懸念は、ブラード米セントルイス地区連銀総裁が最近の論文で言及したように、いかに大量の資金を供給しても成長押し上げにつながらない日本型のデフレに陥ることだ。

 RBSセキュリティーズの米国担当シニアエコノミスト、マイケル・ジラード氏は「景気の足かせとなっているのは流動性不足ではない」と指摘する。

 この点において日本の例は示唆に富んでいる。日銀は融資を促そうと繰り返し銀行に資金を供給したが、成果は低かった。 

 バーナンキFRB議長は、FRB理事時代の2003年、日銀に興味深い提案をした──「金融・財政当局が一時的ながらも公然と協調してはどうか」。

 多額の財政赤字が既に11月の中間選挙の大きな争点となっている米国では、こうした可能性は極めて低い。財政当局との協調があり得ないとすれば、FRBはほぼ自力で対処するしかない。ただ、資産買い入れを新たに推し進めることで米経済の減速を回避できるかどうかをめぐっては、FRB内部でも疑問が広がっている。

 アクション・エコノミクスのアジア経済予測部門ディレクター、デービッド・コーエン氏は「日銀と同様、FRBも量的緩和の有効性については確信していない」と語る。一方で、「経済がデフレの脅威に直面する中、FRBへの圧力は強まっている」という。

  (Pedro Nicolaci da Costa記者;翻訳 田中優賀子) 

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