August 16, 2010 / 4:44 AM / 9 years ago

焦点:レアアース資源独占の中国、環境技術開発競争で優位に

 [香港 12日 ロイター] 環境技術の需要拡大を受けたハイブリッド車や風力タービンの生産競争で、中国には1つの明確な強みがある。世界最大のレアアース埋蔵量を持ち、生産をほぼ独占していることだ。

 8月12日、中国は、世界最大のレアアース埋蔵量を持ち、生産をほぼ独占している。写真は6日、江西省でレアアースを掘削する作業員(2010年 ロイター)

 アナリストによると、レアアースは需要の急増を受けて世界的に供給がひっ迫すると予想されている。レアアースの最大の消費企業には、中国の風力発電機器大手である新疆金風科技(002202.SZ)やハイブリッド車を開発する比亜迪(BYD)(1211.HK)が挙げられる。

 レアアースはこのほか、米アップル(AAPL.O)の「iPhone(アイフォーン)」から薄型テレビまで、幅広い電子機器に使用されており、世界で年間12万トンの限られた供給をめぐって獲得競争が展開されている。

 中国は世界のレアアース生産高の97%を占める。

 元大証券のアナリスト、ミン・リー氏は「中国にとってレアアースは、中東にとっての原油のようなものだ」と話す。

 豪レアアース鉱山会社アラフラ・リソーシズ(ARU.AX)の関係者は、新たな大規模鉱山が開発されない限り、世界のレアアース供給は2012年まで、需要に比べ約3─5万トン不足するとの見方を示した。 

 中国は2005年以降、輸出割当や関税を通じてレアアースの輸出を規制している。国内のクリーンエネルギーやハイテクセクターの発展を促すため多くの資源を確保することが目的で、今月11日には2010年の輸出割当量を前年比40%削減すると報じられた。

 CIMBのアナリスト、キース・リー氏は輸出規制により、中国の環境技術企業は海外の競合他社よりも優先的にレアアースを確保できると指摘。地理的に供給源に近いことも、より長期的、迅速かつ安価な資源確保につながる、との見方を示した。

 世界のレアアース供給を脅かす最大の要因は中国の国内消費だ。中国は世界の3分の1のレアアースを埋蔵し、6割を消費する。

 中国によるレアアース輸出割当量の削減について、貿易相手国は批判を強めているが、中国政府はレアアース市場での支配力を強める構えを変えていない。

 元大証券のミン・リー氏は「外国企業は中国に生産を移さなければ、レアアースの供給リスクに直面する可能性がある」と述べた。 

 <資源確保しても成功は保証されず> 

 しかし、アナリストは、中国が国内大手環境技術企業へのレアアース供給を確保したとしても、それだけではこうした企業の成功は保証されないとの見方で一致している。

 たとえば、レアアースを必要としない新技術が誕生し、中国の優位性を脅かす可能性がある。また、中国がレアアースの輸出規制を強化すれば政治的な圧力が強まり、海外への供給を維持せざるを得なくなることも考えられる。

 CIMBのキース・リー氏は「中国は優位性を最大限に利用するために、急いで技術を開発する必要がある。既存の技術が発展しなければ、この限られたチャンスを逃すことになる」と述べた。 

 それでも、中国はしばらくの間、世界のレアアース市場での優位性を維持する公算だ。

 中国以外で開発中の鉱山は多数あるが、政府の補助金がなければ価格面で競争できるプロジェクトは少ない。低価格の中国産レアアースが原因で閉鎖を強いられた海外の鉱山は複数ある。緩い環境規制や安価な労働力も中国がレアアースを安く提供できる理由のひとつだ。

 また、レアアース鉱山の新規開発には10年かかる場合もある。

 中国国有メディアによると、レアアース大手の内蒙古包鋼稀土高科技(600111.SS)は江西銅業(0358.HK)(600362.SS)とレアアースの統一価格制導入を計画している。 

 中国の環境技術企業は供給ひっ迫に備え、自らレアアースを確保する戦略を進めている。

 BYDは、高性能電池の重要な材料で、レアアースと同様に供給ひっ迫の予想されるリチウムの新たな供給源を模索している。欧州委員会の調査によると、消費者の大半がガソリン車から新世代の自動車に乗り換えた場合、リチウムの供給は2050年までにひっ迫するとみられている。

 このほか、豊田通商(8015.T)はアルゼンチンでリチウム権益を取得。東芝(6502.T)はカザフスタン国営企業のカザトムプロムとレアメタル(希少金属)の販売合弁会社を設立する計画だ。

 アナリストによると、トヨタ自動車(7203.T)と日産自動車(7201.T)、米ゼネラル・モーターズ(GM)はレアアースの供給ひっ迫による影響を最も受けやすい。

 商品アナリストでレアメタル専門家のジャック・リフトン氏によると、トヨタのハイブリッド車「プリウス」のような車には1キログラムのネオジムが使われる。さらに、プリウスの電池には10─15キログラムのランタンが必要とされる。

 海上風力発電向けのタービン開発に投資している独シーメンス(SIEGn.DE)や米ゼネラル・エレクトリック(GE)(GE.N)も、レアアースの供給リスクに直面する可能性がある。

 (Leonora Walet記者;翻訳 田中優賀子)

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