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追加緩和効果は早くも一巡、株価は上げ幅縮小
2010年8月30日 / 10:34 / 7年後

追加緩和効果は早くも一巡、株価は上げ幅縮小

 [東京 30日 ロイター] 日銀の追加金融緩和策に対する株式市場の評価は芳しくなく、30日後場の日経平均は伸び悩んだ。株安の主要因が米経済減速や欧州の財政問題を背景にした円高であることから、市場予想の範囲内にとどまった金融緩和策では、センチメントを変えトレンドを転換させる力に乏しいとの声が多い。

 8月30日、日銀の追加金融緩和策に対する株式市場の評価は芳しくなく、30日後場の日経平均は伸び悩んだ。写真は東京証券取引所。5月撮影(2010年 ロイター/Michael Caronna)

 しかしながら中央銀行の緩和方針への転換は外国人投資家にトピックとして大きく受け止められるとの指摘もある。今週発表の米重要指標がそれほど悪くなく市場センチメントが改善すれば、海外勢の買いを原動力に大きくリバウンドした前年12月の再現が多少なりとも期待できるという。 

  <追加緩和策にサプライズなく株価は上げ幅縮小> 

 前回、緊急金融政策決定会合を開くきっかけとなったドバイ・ショック時の安値を割り込んだ日本株や15年ぶりの水準となる円高に「催促」されるかのように、日銀は緊急会合を再び開き追加金融緩和を決めた。0.1%の固定金利での新型オペについて、これまでの期間3カ月、供給額20兆円程度のオペに加え、追加で10兆円程度、期間6カ月の資金供給を開始することを賛成多数(反対は須田美矢子審議委員)で決定した。 

 しかし緩和策の内容に対する株式市場の評価はあまり高くない。「資金需要がそれほどない現在の日本の実体経済において、資金供給という点から金融緩和の効果は限定的というのは日銀も承知しているはず。それならば、なおさら市場へのアピールやアナウンスメント効果だけを狙ってわかりやすく、市場の予想を上回る策を出すべきだった」(第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏)。緩和策発表後に円高方向に振れたこともあって前場は300円近く上昇していた日経平均は上げ幅を縮小させ158円高で取引を終えた。 

 日銀が日本経済の下振れリスクを認めたことで9月6─7日の金融政策決定会合でさらなる追加緩和があるのではないかとの期待は残っているが、政府が30日発表した経済対策の基本方針は9200億円の予備費を活用とこれも市場の予想範囲内であり、市場では「(あす以降は)材料出尽くしとなるのではないか」(国内証券エコノミスト)との見方が広がっている。 

  <米経済指標次第では、追加緩和は日本株の買い材料に> 

 ただ前年12月に日銀が新型オペの導入を発表した時も評価は必ずしも高くなかった。今回と同じように国債買い切り額増額などに踏み込まなかったことに不満の声が多かった。 

 しかしながら、前年12月以降、日本株は急速にリバウンド。日経平均は9300円台から4月の年初来高値1万1408円まで22%上昇した。株価押し上げの原動力となったのはいつものように外国人投資家の買いだ。東証の3市場投資主体別売買内容調査によると09年12月と10年1月における外国人投資家の買い越し額は合計2兆7686億円と記録的な規模に達している。08年のリーマンショック以降、海外勢は日本株を約6.6兆円売り越していたことから、その「反動」が出たとみられている。 

 今年2月以降の外国人の売買動向はまちまちで買い越しもあれば売り越しもある、8月第3週までのトータルでは3570億円の買い越しだ。

 「反動」による買いは期待しにくい状況だが、それでも外国人が日銀の追加金融緩和を評価する可能性はあると大和総研・投資戦略部ストラテジストの土屋貴裕氏は指摘する。「海外では景気悪化に対応する政策を担うのは中央銀行というイメージがある。日銀が追加金融緩和に動いたということを外国人投資家が評価する可能性もある」という。30日の市場では「海外勢がベアポジションを解約する動きが出ており、株式先物のショートやオプションのプットロングを巻き戻す動きが出ている」(大手証券トレーダー)との指摘もあった。 

 米経済指標の悪化もあって海外勢のセンチメントは悲観に傾いているが、1日の8月米ISM製造業指数、3日の8月米雇用統計と今週は重要指標が目白押しであり、「思ったほど悪くないとの見方が広がれば過剰な悲観論が修正される可能性がある」(マネックス証券・チーフ・エコノミストの村上尚己氏)との期待もある。

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は前週末、金融緩和を示唆するような発言をしている。為替は日米金融緩和の度合いをにらみながらの展開となっており、経済指標が悲観な市場予想を下回るというリスクもあるため、予断は許さない。ただ、米経済指標の改善となれば投資家のリスク回避姿勢の後退でドル高・円安が進む可能性があるため、日本株にとっては米株高と円安のダブルメリットになるかもしれないとの期待もある。 

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集:石田仁志)

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