September 10, 2010 / 10:23 AM / 8 years ago

初のペイオフ発動に踏み切った金融庁、市場原理重視にかじ切りか

 [東京 10日 ロイター] 金融庁は日本振興銀行に対し、史上初めてとなるペイオフ発動に踏み切った。これまでの金融行政は、公的資金注入によって経営不振銀行の延命措置を繰り返してきた。

 9月10日、金融庁は日本振興銀行(写真)に対し、史上初めてとなるペイオフ発動に踏み切った(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 しかし「破綻処理による市場からの退出」を意味するペイオフ発動を決断したことで、市場原理によって金融機関経営を律する方向へ大きくかじを切る可能性が出てきたと指摘する声もある。

 <日本振興銀行は渡りに船>

 「ペイオフ実施は、金融庁の積年の課題」――。同庁のある幹部はこう話す。法律的には、破たん処理によるペイオフ発動は法律的には担保されてはいたものの、実質的には封印されていたのが現実だ。このため、市場や預金者、金融システムに与える影響を最小限に抑え、滞りなく破たん処理を行い、ペイオフを実施するには「実践が必要」との考えが同庁にはあった。

 こうした点で、今回の日本振興銀行は「渡りに船だった」と先の幹部は明かす。自前で決済機能を持たず、預金は定期のみで決済システムにも影響を与えない。預金保険の対象となる預金が全体の97%を占め、大口預金者も少ない。特異なビジネスモデルを持ち、他の金融機関への波及も少ないなどの「条件が整っていた」からだ。

 金融庁内では「一部の金融機関の中には、経営にあぐらをかいて改革努力が足りない」(中堅幹部)との問題意識も強くある。経営不振に陥ったらどのように対応するのか。金融危機時には公的資金注入により金融システムの維持が最重要課題となっていたが、国内の金融システムは比較的平常な状態だ。もはや、公的資金注入による銀行救済は市場からの信任を得られなくなってもいる。「破綻処理によって市場から退出してもらう仕組みを、現実化させることが重要」(同)となっていた。

 <国際的な金融規制も破綻処理を後押し>

 大詰めの段階に来ている金融機関の新しい資本規制「バーゼル???」や、G20の金融制度改革の議論も、破綻処理を後押ししそうだ。新しい自己資本比率の水準とともに、新しい金融制度の仕組みの議論の中では「トゥー・ビッグ・トゥー・フェイル」(大きすぎてつぶせない)の金融行政からの脱却が1つのテーマになっているからだ。「新金融規制は、大きい金融機関でもつぶすためのルールづくり」(投資銀行幹部)ともいえる。例えば、G20の議論の中では、大規模金融機関に対して、自ら破綻時の処理計画を作らせるような案も出ている。米国や欧州の一部の国では、リーマン・ショック以降、金融機関に対する安易な公的資金注入が財政危機を引き起こした経緯がある。

 預金保険機構によると、米国で7月までに破綻した金融機関は103件。金融庁のある幹部は「米国のように年がら年中銀行が潰れるのは問題だが、破綻処理が通常のこととして受け入れられるような状態が望ましい」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 布施太郎特別編集委員)

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