September 22, 2010 / 5:52 AM / 9 years ago

日米金利差縮小で円高反転難しく、外貨準備による米債購入も影響

 [東京 22日 ロイター] 21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明発表後、再び円高が進行している為替相場について、かつての介入時と違い日米金利差がわずかとなっていることから、円高の流れを変えるのは難しいとの見方が専門家の間で強まっている。

 9月22日、再び円高が進行している為替相場について、日米金利差の縮小で円高の反転は難しいとの見方が強まっている。写真は都内の外為ディーラー。昨年11月撮影(2010年 ロイター/Yuriko Nakao)

 介入で増加した外貨準備を米国債購入に充てれば、さらに米金利の低下を促す力が生じるとの指摘も浮上してきた。内需拡大が困難な中で経常黒字を拡大し続けているという状況や内外金利差、外貨準備運用など、様々な要因があいまって、今回の円高局面への対応は長期化を余儀なくされそうだ。 

  <FOMCで一段と金利差縮小へ> 

 21日の米連邦公開市場委員会の声明では、景気やデフレへの懸念について従来より一段と踏み込んだ表現となり、米2年債などの利回りは一段と低下した。このため、日米の金利差は縮小し、円高も進んだ。

 日米金利差に着目するなら「現在の円高は自然な動きであり、(介入で)短期的な円安バイアスは続いても、円高・ドル安トレンドの転換までは至らない」(みずほ証券・チーフストラテジスト・高田創氏)というのが市場関係者の一致した見方。

 さらに、今後の展開を見通しても、日本よりも米金利の低下余地が大きく、金利差の縮小余地がある。「米国が追加緩和を実施した際に米金利の低下がどの程度進むかは不透明だが、日米金利差縮小の思惑が残る下では円高圧力が当面続くと考えられる」(伊藤忠商事・主任研究員・丸山義正氏)との見方が大勢だ。

 日本経済は足元では円高が進行してもアジア向け輸出の伸びなど数量効果により企業業績への影響は限定的でしっかりしているが、先行きどの程度影響してくるか、政策当局も懸念を隠さない。ただ景気が悪化しても金利低下ののりしろがほとんどない日本よりも、米国の金融政策の行方がそのまま日米金利差に反映されやすく、為替相場の動向も国内より米国発の要因で大きく左右される展開だ。 

  <米国債購入がドル安後押しも> 

 こうした流れに加えて、9月15日からの日本政府による為替介入で増加したドル資金の運用も要因の一つとなりそうだ。

 野村総合研究所・主席研究員の井上哲也氏は「今回の介入で得られた米ドル預金の大半は、程なく米国債投資に充てられることが予想される。今回だけでなく今後も継続的な介入が続けば、少なくとも方向としては米国金利の低下要因となる」と指摘。日米の金利差を縮小させることを通じて短期的には、ドル/円レートに新たな下方圧力を加えるリスクには注意が必要だとみている。

 実際、15日の介入後、米2年債利回りは介入前の0.5%程度から0.46%程度まで低下していた。これは日本の外貨準備による米債買い増し期待が材料視された面がある。 

 日本政府の米債購入のスピードも、過去のケースを見ると、極めて速いようだ。04年の「大量介入」前後について、財務省の公表データをもとに井上氏が分析したところ、外貨預金比率の推移をみると、為替介入の加速によって外貨準備が急増した時期には、これに伴って預金比率も上昇したが、外貨準備残高のピークの翌月にも預金が減少し始め、比較的速いペースでもとの15%程度の比率に回帰していることがわかると指摘。介入が継続して、外貨準備の増え方が大きくなれば、米国債購入が本格化するに連れて円相場に上昇圧力がかかりそうだ。 

  <本当の非不胎化に踏み切るか> 

 介入に伴い日銀が金融調節で本当の非不胎化に踏み切るかどうかも為替動向に影響を与えそうだ。白川方明日銀総裁も自著で指摘しているように、介入後2、3カ月以内には財務省が市場から介入資金の原資として資金を吸収することなり、介入は結局資金量にとって中立的となる。みせかけの「非不胎化」効果もあって、足元の無担保コール翌日物金利は政策目標金利の0.1%を割れて0.08%台まで低下している。しかし、いつまでも政策金利を下回る金利を放置することはできないとみられる。クレディ・スイス証券のチーフエコノミスト・白川浩道氏は「これはあくまで企業の9月末決算に配慮したもの。本当の非不胎化を実施するには、日銀が政策金利を引き下げて、新たな資金供給手段を打ち出すしかない」とみている。 

 介入によってひとまず底なしの円高不安は後退したものの、様々な要因が相場を押し戻す方向に働きそうだ。日本が経常黒字を拡大させている状況が続く中では、基本的な円高方向の流れは変わりそうにない。井上氏は「政府も日銀も難しい局面に足を踏み入れてしまった」と対応の難しさを指摘している。 

 (ロイター日本語ニュース 中川泉記者;編集 石田仁志)

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