September 26, 2010 / 6:51 AM / 9 years ago

国債買い入れ増は長期金利上昇につながるリスク=日銀総裁

 [神戸 26日 ロイター] 白川方明日銀総裁は26日、神戸大学で開かれた日本金融学会秋季大会で講演し、円高が日本経済に与える影響や経済の下振れリスクを注視しているとして、必要があれば適切な対応を講じるとの考えを示した。

 9月26日、白川日銀総裁は神戸大学で講演し、国債買い入れの増額について、財政ファイナンス懸念から長期金利上昇につながるリスクを指摘した。都内で昨年12月撮影(2010年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

 また国債買い入れの増額については財政ファイナンス懸念から長期金利上昇につながるリスクを指摘し、通貨や金融システムの信任維持のためにも財政バランス維持が重要だと強調した。

 白川総裁は景気の現状について、「先進国経済はリーマン・ショック後の急速な落ち込みを脱し、緩やかな回復過程にあるが、世界的な信用バブルが大規模なものであっただけに、本格的な回復にはなお時間がかかる」との見方を示した。そのうえで、「今後とも経済・金融情勢を注意深く点検し、必要と判断される場合には、適時適切に行動する」と強調した。

 <景気回復、円高抑制、雇用確保などを金融政策1つで達成はできない>

 ただ中央銀行の金融政策には限界があるとして、「わが国では、景気回復、デフレ克服、長期金利の安定、円高抑制、株価の引き上げ、雇用確保など、実に多様な目的が金融緩和の理由として挙げられてきたが、金融政策という1つの手段でこれらすべての目的を同時に達成することはできない」と述べた。

 金融緩和の手段としての中銀による市場からの国債買い入れについては、諸外国の中銀では「非伝統的政策」と位置付けられているのに対して、日銀では通貨供給の主要手段と位置づけられ、「伝統的政策」そのものになっていると指摘。ただ、「中央銀行による国債買い入れが財政ファイナンス、いわゆるマネタイゼーションを目的としているとみられる場合、将来のインフレ予想から国債金利が上昇する」と指摘した。

 また、「通貨や金融システムへの信任は究極的には政府、ソブリン国家への信任に支えられている」として、中長期的な財政バランスを維持することの重要性を強調した。さらに、「政府が中央銀行の通貨発行によるファイナンスという手段に自由にアクセスできるようになると、通貨の過剰発行によるインフレの危険がある。各国ともそうした危険を歴史の経験から学び、その結果、多くの国で中央銀行による財政の直接ファイナンス、すなわち、国債引き受けが禁止されている」と述べた。 

 <「物価安定の理解」はインフレ目標の長所取り込む>

 一部の市場・政府関係者から採用の要望が根強いインフレ目標については、「金融政策が物価以外の形で表れる不均衡にも対処する必要が生じた場合には、短所にもなり得る」とした。各国中銀でも、インフレ目標採用の結果、物価が上がらない限り低金利が続くと理解され、レバレッジや期間ミスマッチの拡大を生み出す一因となったため、従来よりも柔軟なインフレ目標を設定しつつあると指摘。日銀が公表している「中長期的な物価安定の理解」という形での物価見通しも柔軟なインフレ目標の一例だとして、「インフレ目標の長所を最大限取り込むと同時に、その欠点とみなされている部分にも対応したものだ」と説明した。

 <金融市場麻痺しなかった日本、欧米との比較は不適切>

 白川総裁は、講演終了後に学会参加者から、日銀の金融緩和が不十分との見方が出ていることについて見解を問われたのに対し、日銀のバランスシートは金融危機後の欧米中銀の2倍拡大してきたと指摘。また、金融危機で社債市場など金融機能が麻痺した欧州などと金融システムが安定していた日本を比べるのは適切でない、と答えた。

 (ロイターニュース 竹本能文記者)

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