October 3, 2010 / 12:12 AM / 9 years ago

インタビュー:為替の動きは投機的過ぎる=仙谷官房長官

  [東京 2日 ロイター] 仙谷由人官房長官は2日、ロイターのインタビューに応じ、世界経済が低迷するなかで通貨切り下げ競争に強い懸念を表明した。

 10月2日、仙谷官房長官は、世界経済が低迷するなかで通貨切り下げ競争に強い懸念を表明した。写真は昨年1月、都内の為替トレーダー(2010年 ロイター/Toru Hanai)

 83円台前半まで再燃した円高について「今の動きはあまりにも投機的過ぎる。結果として円は急激に高くなり過ぎている」と市場をけん制した。為替介入については「財務当局が適切な時に適切に判断する」と述べ、必要な時には断固たる措置をとるとの政府の強いスタンスを繰り返した。日銀には「金融政策当局として十二分なオペレーションをとって欲しい」と追加緩和への期待感を示した。 

 円高・デフレ克服のための緊急対応に続く経済対策については、「新たな国債発行をしてまで行うことにはならない」と明言。「(追加)国債発行をしない限度で、相当程度の経済対策を行う」方針を示した。具体的な規模についての明言は避けたが、「3兆円を超えることにはなる」と語った。 

 インタビューの概要は以下の通り。

 ──世界各国が輸出競争力を高めるために自国通貨安を誘導し、「通貨戦争」懸念が浮上している。日本も円売り介入を行ったが、日本はこうした懸念にどう対応するのか。82円が防衛ラインと発言した真意は。  

 「自国為替切り下げ競争は大変危惧している。アジア通貨との関係でも、自国通貨を売ってドルを買うことで、円との関係で安くしている。大変危惧している。結果、円の独歩高となっており、自由貿易やグローバリゼーションのなかで困った出来事だ。そのことによって、経済のブロック化になれば、ますます世界経済は悪い方向に陥ると心配している。ただ、ここまで日本の円が急激に高くなると、急激なゆえに、日本経済に深刻な影響を与えるため、財務大臣があえて発表してまで介入した」

 「私の発言は、一律に防衛ラインがあるとかないとか言ったのではない。急激に82円に割りこんだことが、その時点で介入の動機になったのだろうという話だ。為替レートは基本的には市場が決めること。投機的な動きではなく実体経済を反映し、徐々に落ち着くところで落ち着くという為替のレートであれば、われわれは何ら否定しない。ただ、今の動きはあまりにも投機的過ぎるし、あまりにも円が結果として急激に高くなり過ぎているとの認識をもっている」  

 ──国際社会でそのように説明して理解は得られるとの認識か。  

 「その通りだ」   

 ──83円前半まで円高進行が再燃し、為替介入した水準に接近している。介入の可能性は。  

 「今後とも為替市場の動向には注視する。必要な時には断固たる措置を取ると財務大臣が度重ねて言っており、財務当局で適切な時に適切な判断をされる場合もあり得るという以外、申し上げることはない」  

 ──円高是正のために金融政策に期待することは。  

 「日銀の政策の問題は単なる為替政策の問題ではなく、日本経済がリセッションにならないよう、金融政策当局として十二分にオペレーションして欲しいとの期待がわれわれにはある。過剰流動性のなかでカネが回っていないことが本当は一番の問題だと私自信は考えているが、ただ、メッセージ性で、市場が急激に動くこともある。そこは日銀にも大いに注意を払ってもらいたい」 

 ──補正予算の規模と財源について。  

 「これから政府・与党内で詰め、野党とも協議が出来れば協議して詰める。原則としては、新たな国債発行をしてまで行うことにはならない」  

 「既に円高・デフレへの緊急対応として9200億円の予備費を使うことは決めた。第二段階では、放置すれば、成長が鈍化するのではないかとの予測のもと、先進国経済として、日本経済をグローバリゼーションのなかで構造転換していくため、国債発行をしない限度で、相当程度の経済対策を行う。特に人的資源を強化・高度化する方向で考えていきたい」 

 ──補正予算規模では5兆円程度との報道もある。 

 「そこまでいくかどうかわからない。しかし、3兆円を超えることにはなるのではないか」  

 ──補正予算案成立には野党協力が不可欠だが、見通しは。  

 「時代的に、日本の民主主義もそういうところにさしかかってきたのではないか。先進各国では、日本のねじれと言われるような執行権力と議会の関係、執行権力と議会多数派が必ずしも一致していない(状況が生まれている)。あるいは連立連合政権を組まないと行政運営・政治運営ができない国のほうがむしろ多い。つまり、数年前までの自民党一党支配が延々と続くということは、先進国では珍しいことだと思っている」 

 「そのなかで議会で議論をし合意形成を図るのは、先進民主主義の常識となっている。全体としては心配していないが、与党も野党も慣れていないところがあるので、楽観的ではあるが、長い目で考えていかなければいけない」  

 「衆院では圧倒的多数が民主党にある。予算や条約を成立させることは心配ない。予算の執行に必要な法律改正がきちんとなされるかどうかについては、出来る限り議論を尽くして合意形成に全力を挙げる」  

 ──来年度予算で新規国債発行は今年度と同じレベルにおさえることは可能か。  

 「税収を上回る国債発行といういびつな、自慢の出来ない財政構造のなかで予算を組むわけで、何としてもそのことを守る。必ずやり抜く確信をもっている。緩やかであれ経済成長を図っていくという要請と、ボンドマーケットの動向で、金利も急激な上昇も急激な低下も望ましいものではない。実体経済に沿うような形で市場が形成されることが望ましい」    

 ──「3月危機」の恐れは。  

 「危機といういことに踊らされる必要はない。何をもって3月危機というか。特例公債法案が通らなければ、税収だけでは、行政運営出来ないとの論理だが、野党が、責任野党としての責任性を、特に衆議院では通過した法案を参議院で否定する挙に出てくるかどうかだ。国民の世論動向とも関係するだろうし、その後に起きる政治的な混乱について野党は責任もてますかという関係でも、賢明な判断をされるのではないか。私は全く心配していない」  

 ──中国問題で内閣支持率は低下した。  

 「もう少し時間がたてば、国民は逮捕し釈放したこの司法手続きはこれでよかった、これしかなかったと理解していただけると思う」  

  (ロイターニュース リンダ・シーグ記者 吉川裕子記者) 

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