[ニューヨーク 8日 ロイター] 米労働省が8日発表した9月の雇用統計は、非農業部門部門の雇用者数が9万5000人減と4カ月連続で減少した。政府部門が引き続き落ち込んだほか、民間部門の伸びが鈍化した。
市場関係者のコメントは以下の通り。
●政府部門が足かせ、追加緩和予想変わらず
<ウエルズ・ファーゴ・アドバイザーズの首席マクロストラテジスト、ゲーリー・セイヤー氏>
民間部門の雇用者数は小幅ながら引き続き増加している半面、政府部門は落ち込みが続いており、雇用全体の足を引っ張っている。政府関連の減少の約半分は州・地方政府が占めているが、これらは国勢調査に絡む一時的な動きではなく、一部州が財政悪化を理由に雇用削減を強いられているためとみられる。
金融市場は米連邦準備理事会(FRB)による一定の量的緩和を織り込み済みだが、今回の雇用統計でそうした見通しは変わっていない。
●追加量的緩和の公算高まる
<ダンカン・ウィリアムスのシニアバイスプレジデント、ジェイ・サスキンド氏>
非農業部門雇用者数は良くない数字だったが、注目すべきは民間部門の雇用者数で、予想に届かなかったものの増加した。
雇用統計が市場に大きく影響することはないと思う。市場関係者の経済に対する見方は変わっていない。引き続き追加量的緩和は実施されるとみられており、雇用統計の影響があるとすれば、追加緩和の可能性が高まったことだといえるだろう。雇用統計の内容は、成長のスピードが遅く、したがって取り組むべき課題が山積してことをあらためて裏付けた。
民間部門の雇用者数が、堅調とはいえないものの増加したことは明るい兆候だ。
●FRBは11月前には行動しない見込み
<LPLフィナンシャルの債券市場ストラテジスト、アンソニー・バレリ氏>
米連邦準備理事会(FRB)が11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加量的緩和に踏み切るとの市場の見方が、雇用統計を受けて確固たるものとなった。(次回FOMCでの追加緩和は)すでに広く予想されていたが、観測が強まった。
しかし、FRBが11月前に行動に出るほど統計の内容は弱いものではなかったと考える。統計は二番底の様相は示しておらず、景気が低迷し、トレンドを下回る成長になっていることを反映している。