October 23, 2010 / 1:56 PM / 9 years ago

通貨安競争回避で一致、経常収支目標は見送り=G20

 [慶州(韓国) 23日 ロイター] 韓国の慶州で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は23日、共同声明を採択して閉幕した。

 10月23日、韓国の慶州で開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は、共同声明を採択して閉幕した。22日撮影(2010年 ロイター/Jo Yong-Hak)

 焦点だった通貨問題では「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映し、市場で決定される為替レートシステムに移行し、競争的な切り下げを回避する」ことで一致、通貨安競争に対して自制を求めるとともに、中国に為替相場の切り上げを促した格好だ。

 米国は人民元の切り上げを狙うために提案した経常収支の赤字・黒字幅を各国が対国内総生産(GDP)比で4%以内とする数値目標の設定は盛り込まれず、11月ソウルで開かれる首脳会合(サミット)以降に持ち越しとなった。一方、ドイツや中国が米国の金融緩和こそドル安を招いていると批判。通貨をめぐる各国の利害調整の難しさが改めて浮き彫りとなった。

 IMF改革では新興国の出資比率引き上げで合意したが、欧州側からは新興国の発言権拡大をけん制する発言が既に出ており、今後の議論が注目される。

 <IMF改革、新興国の出資比率引き上げ幅拡大>

 共同声明は、「世界経済・金融システムの中での各国間の相互依存関係の高さを踏まえると、協調的でない対応は、すべての国にとってより悪い結果をもたらす」と各国に政策協調を求め、「先進国は、為替レートの過度の変動や無秩序な動きを監視する」とした。

 先進国の監視により、「いくつかの新興国が直面している資本移動の過度な変動のリスクを軽減させる助けとなる」と指摘し、先進国の金融緩和が一因となり過度なマネー流入を懸念する新興国に配慮した。

 また、「過度の不均衡を削減し経常収支を持続可能な水準で維持するのに資する、あらゆる政策を追求する」とし、数値目標について触れていないものの、「大規模な対外不均衡を、今後合意するガイドラインに照らして評価する」としており、数値目標を今後の課題と示唆する文言を盛り込んだ。

 一方、中国など新興国が求めていた国際通貨基金(IMF)での発言権拡大につながるIMF改革では、一部の先進国などから新興国への出資比率の移転が、これまでの「少なくとも5%」から「6%以上」に1%超引き上げることで合意した。各国の出資比率を反映して決まるIMFの理事会メンバーについては、欧州の理事を2人減らすことが決まった。

 <ドイツは米金融緩和は「為替操作」と批判>

 ドイツのブリューデレ経済技術相は会議後、G20会議で米国の金融緩和策について、ドル安を招いているとして批判したことを明らかにした。「(会議では)米国の金融緩和策に対する批判が出た。私は議論の中で、それは間違った方法であることを明確にしようとした」と述べた。さらに「私の見方では、マネーの量を過度に、いつまでも拡大することは、為替相場を間接的に操作することになる」と指摘した。

 また今回のホスト国・韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領のアドバイザーであるHyun Song Shin氏も、ロイターに対し、ドイツが会議の中で米国に対して、量的緩和がドルを下落させていると強く批判したことを明らかにした。同氏は、米国が声明に「準備通貨を保有する国は過度のボラティリティを警戒すべき」との文言を盛り込んだG20の意図を十分認識しているはずだ、と述べ、「米国はメッセージを声高かつ明快に受け取ったと思う。それが、われわれが声明でこの表現を使った理由だ」と述べた。

 <中国も、「主な準備通貨発行国」に責任ある経済政策を求める>

 さらに新華社によると、中国の謝旭人財政相は23日、「主な準備通貨を発行している国は責任ある経済政策をとり、ネガティブな波及効果を避けるとともに国際金融市場の安定を保つため、主要通貨の相対的な安定を維持する必要がある」とのコメントを発表。具体的な国名は挙げなかったものの、米国の金融緩和がドル安を招いていると暗に批判した。

 <野田財務相「必要な時は断固たる措置とる姿勢、変わらない」>

 これに対して、日本側から米金融政策を批判する声はなかったもよう。野田佳彦財務相はG20財務相・中銀総裁会議終了後の記者会見で、声明によってドル、ユーロ、円はより安定するとの見通しを示した。声明に為替レートの過度な変動を監視する(ヴィジラント)との表現が盛り込まれたことを、「能動的な意味があると思う」と評価した。

 日本や中国を含め、個別の為替政策は議論されなかったとし、「日本の為替対応については、理解が得られている」と説明。為替介入については、「依然として必要な時は断固たる措置をとる姿勢は変わらない」と強調した。

 経常収支の数値目標を含む指標については、ソウルで開かれる首脳会合以降も議論されると述べた。

 IMFでの新興国の出資比率引き上げで、中国の出資比率がドイツや英国、フランスを抜き3位に浮上する可能性があるが、野田財務相は日本の出資比率についえ2位が維持される見通しと述べた。

 <米財務長官「中国は輸出に依存した成長を持続できない」> 

 ガイトナー米財務長官はプレスステートメントで、「伝統的に多額の貿易および経常黒字を抱えている国が成長戦略を修正し、輸出依存度を引き下げ内需主導型の成長に向かわなくてはならない」、「中国は、輸出に依存した成長を持続できない」と指摘、中国に対して内需拡大と通貨切り上げを強く促した。

 ただ、「通貨が著しく過小評価されている国は、中国が現在行っているように、経済ファンダメンタルズを反映した市場が決定する為替相場システムに移行することを約束した」とも指摘し、中国が目下取り組んでいる通貨改革を肯定的に捉える姿勢も示した。

 米財務長官は、会見で「米国の金融政策が強いドルをサポートする」と表明するとともに、米国の金融政策が間接的にドルを操作しているとの独経済相の発言に対するコメントは拒否。米国がバランスシート調整のため打ち出さざるを得ない緩和的金融政策がドル安を助長しているとの見方をけん制した。

 <インドはIMF改革を歓迎、欧州など一部に不満>

 IMF改革の一環として新興国の出資比率引き上げが決まり、欧州からの理事が削減されることについて、ストロスカーンIMF専務理事は、IMF理事会が「今や世界経済の現実を反映するようになった」とコメント。インドのムカジー財務相は、「IMFの正当性は高まっている。われわれの不満は、クォータは経済力を適正に反映すべきという点だったが、これは今是正された」と評価した。

 一方、レーン欧州委員(経済・通貨問題)は、IMF改革について「目先の妥協と考えるべき。長期的には、世界のガバナンスにおいて欧州の影響をどのように反映させていくのか、協議する必要がある」と発言しており、IMFでの主導権をめぐり先進国と新興国の今後の対立を示唆した格好だ。

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