[東京 17日 ロイター] 日銀が17日に本店で開催した支店長会議では、各支店の景気報告をとりまとめた「地域経済報告(さくらリポート)」で多くの地域が景気判断を引き下げたが、早期の踊り場脱却の可能性に言及する支店長が目立った。
もっとも、踊り場脱却後の景気回復ペースは緩やかなものにとどまるとみられており、欧米や新興国を中心とした世界経済や為替相場の動向がリスクとして意識されている。
<さくらリポート、輸出・生産鈍化で7地域が下方修正>
さくらリポートでは、全国9地域中、北海道、北陸など7地域が景気判断を前回から引き下げた。パソコンや薄型テレビなど情報関連財の在庫調整による輸出の弱まりで、景気改善ペースの一服感を指摘する地域が広がり、エコカー補助金終了やエコポイント半減などによる駆け込み需要の反動減も響いた。
全国9地域の景気判断を前回と比べると、北海道、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、四国の7地域で悪化し、東北と九州・沖縄の2地域で据え置きとなった。関東甲信越と東海、中国の3地域は前回10月に続き2期連続で悪化。北海道、北陸、近畿、四国の4地域は2009年4月以来の悪化となった。
設備投資については5地域が「持ち直し」または「持ち直しつつある」と判断。個人消費についても6地域が、基調として「持ち直し」または「下げ止まりつつある」としている。しかし、生産についてはほとんど全地域で活動の弱まりがみられ、全体としての景気判断を引き下げた。北海道など6地域で「増勢一服」「横ばい圏内の動き」としたほか、関東甲信越は「このところやや減少」、東海は「自動車中心に減少している」としている。
<景気は1─3月から上向きの見方も>
午後には大阪、名古屋など主要支店の支店長が会見。総じて前回判断に比べて輸出や生産の鈍化が見られているものの、早川英男理事・大阪支店長は「(景気の)踊り場脱却は、そう遠くない。薄明かりが見えつつあるというのが共通認識だ」と言明。エコカー補助金の終了で主力の自動車を中心に生産が大きく落ち込んだ東海地区の前田純一名古屋支店長も「(景気は)比較的早い段階から上向いてくる。後で振り返れば、1─3月から上向いていたという可能性が高い」との見通しを示した。
早期の踊り場脱却を見込む理由として、早川理事・大阪支店長は「内需に大きな影響が及んでいる感じはない」と指摘。前田名古屋支店長は、自動車の販売・生産について、地元ディーラーへのヒアリングなどから、「反動減は10─12月がピークで、1─3月以降は反動の割合が小さくなることが予想される」と語った。在庫調整の進展で、情報関連財の生産も回復が予想されるという。
もっとも、先行きについては、欧州の財政問題や中国を中心とした新興国のインフレ問題など世界経済や、足元では一服しているが水準が高止まりしている円相場の動向などリスク要因も多く、景気回復ペースは「慎重に見た方がいい」(前田名古屋支店長)のが実情のようだ。早川理事・大阪支店長は為替動向に関して「対ドルもさることながら、対ウォン・ユーロでの円高が意識されていることは間違いない」とし、「欧州は財政問題を抱えており、ユーロ安になるのでは、と常に心配されていると思う」と語った。
(ロイターニュース 竹本能文記者 伊藤純夫記者)