[カイロ 11日 ロイター] エジプトのスレイマン副大統領は11日、ムバラク大統領が辞任し、大統領権限を軍に委譲したと発表した。
同副大統領は国営テレビで声明を発表し「(ムバラク大統領が)辞任することを決定した」と述べた。
また「国が困難な状況にあることを踏まえ」大統領は軍最高評議会に権限を委譲したと語った。
軍関係筋は、タンタウィ国防相が軍最高評議会のトップに就いたと述べた。
アルアラビアテレビが報じたところによると、軍最高評議会は内閣を解散、議会を凍結し、最高憲法裁判所長官とともに国政に当たる方針。
大統領の退陣表明を受け、タハリール広場に集まった民衆からは歓喜の声が上がり、涙を流す人の姿も多く見られた。
9月には大統領選挙が自由かつ公平な形で実施される方針となっているが、軍がどれだけ積極的に真の民主化に向けて取り組むのか、一部では懐疑的な見方も出ている。
バイデン米副大統領は、軍部の役割を念頭に、エジプトは民主主義を確立すべきと主張。移行期間は「後戻りできない」ようにすべきであり、エジプトの政変は同国および中東諸国にとって「極めて重要な」瞬間だと述べた。
キャメロン英首相は、エジプト国民にとって、国を一つにまとめることのできる政府を持つ機会を手にした貴重な瞬間だと指摘。メルケル独首相はエジプト国民の幸福を共有するとの談話を発表した。
一方、イスラエルは、ムバラク大統領の退陣により、両国間の関係が変わらないことを望むとの見解を示した。
金融市場も中東産油国における対立の可能性が後退したとの見方から、退陣表明を好意的に受け止めている。またスイス当局は、ムバラク大統領のものと思われる資産を凍結したことを明らかにした。
米原油先物3月限は一時、10週間ぶりの安値となる85.10ドルをつけた。終値は1.15ドル(1.33%)安の85.58ドル。