February 21, 2011 / 12:48 PM / 8 years ago

インタビュー:予算案・特例公債法案の成立、国債格下げ要因に=自民・林氏

 [東京 21日 ロイター] 自民党の林芳正政調会長代理(自民党シャドウ・キャビネット財務大臣)は21日、ロイターのインタビューに応じ、反対の意向を示している特例公債法案が年度内に成立しない場合でも、当面は税収や政府短期証券でつなぐことが可能なため「7月ごろまでは資金がなくなることはない」とし、市場の混乱は予想しがたいと述べた。

 2月21日、自民党の林芳正政調会長代理は、予算案と特例公債法がそのまま通ることが「国債の格下げ要因になる」と警告。写真は国会議事堂。2009年7月撮影(2011年 ロイター)

 一方で政府の予算案の問題点をあげ、予算案と特例公債法がそのまま通ることが「国債の格下げ要因になる」と警告した。

 菅直人首相が政治生命をかけるとした「税・社会保障一体改革」の成案作りについても、民主党内の亀裂や首相の求心力低下から「もはや無理」と懐疑的な見方を示し、事態打開のために残された選択肢は衆院解散しかないとした。

 インタビューの概要は以下の通り。

 ──予算・予算関連法案には反対か。 

 「どういう予算でも反対、ではない。今週くらいには、組み替え動議を出すつもりだ。国内設備投資や雇用を増やそうとする経営者のマインドを萎縮させるようなことをやめる。4K(子ども手当、高校授業料無償化、高速道路無料化、戸別所得補償)もやめ、サプライサイドに重きを置いた予算に組み替える」

 「6兆円程度を組み替え、予算総額を2兆円程度圧縮する。国債発行は1兆円程度減額になる。4Kは止め、農家への戸別所得補償はやめ、農地を集約化できる方に戻す。子ども手当も児童手当に戻し、少し拡充させる。法人税はみせかけの5%下げではなく実質的に下げる。税率を下げるとともに研究開発減税なども残し、サプライサイドに効果がある政策に戻す」

 「(今の)財政も景気も悪くなる予算案を、何ひとつ変えないというのであればそれには賛成できない。国の経済が大事なのか、党内のインチキな約束が大事なのか。その比較だ。国の経済のために、大所高所から判断してもらうということになる」

 ──特例公債法が通らない場合、市場が混乱するリスクはないか。

 「92兆円の予算のうち、特例公債発行分は約40兆円。残り51兆円が使える。さらに政府短期証券(FB)の20兆円枠もある。少なくとも半年分はある計算になる。月によって変動があるので、7月くらいまでは資金がなくなることはない。従って、国会で多数を得られるような枠組みを政府が責任をもって努力する。その時期は夏までまだある」

 「(市場の混乱も)ない。(時間的余裕が)ないないと騒げば騒ぐほど、不測の、本当は起きないことが起きる。不用意な発言はしないようが良い」

 「大変なことになるから悪いことに賛成しろというのはいかがなものか。それは、政府が責任もって皆が納得できる案を作るべきだ」

 ──菅首相の退陣と引き換えに予算関連法案成立を模索する動きもあるようだが。

 「菅首相自身、そういう古臭いことはやらないと言っている。まさにその通りでしょう。われわれは、首相のクビをとるために言っているのではない。予算をもっといいものにするために言っている」

 ──税・社会保障一体改革の行方は不透明になってきた。国債格下げのリスクは。

 「この予算が通ることが、国債の格下げ要因になる。マニフェストがこれだけ破たんしているのに、全く見直さないで、そのまま要求を入れ借金を大きくする。つじつまが合わない鉄運機構からの利益剰余金を年金に充てる。その年金さえ先の(財源)見通しがない。この予算が通り、特例公債がそのまま通ることが格下げ要因だ」 

 ──民主党内の亀裂が表面下するなか、税・社会保障一体改革の成案の行方は。

 「もはや無理だと思う。与謝野さん(与謝野馨経済財政担当相)がまとめるので、自民党案に極めて近いものになるだろう。しかし、それを民主党が受け入れられるかとなると難しい。ほとんど不可能だと思う」

 「従って、政府の案だが民主党案ではない、あるいは民主党案だがマニフェストの調整は先送りするなど、ごまかしてやらないとたどり着けないのではないか。そんなごまかしはわかる。その案とわれわれがテーブルについて話をする意味がどこにあるのか、となるし、国会に提出され民主党が半分反対する案でそもそも協議できるのか。根本的な問題になる」

 「私はもう期待していない。従って、解散しかない。菅さんにはそれしか残っていないのではないか。その期限は6月までだ」

 ──自民党財務金融部会に「Xデープロジェクト」を設置し、国債が暴落した場合の対処方針について検討している。狙いは。

 「去年の12月に立ち上げた。客観情勢として、財政が危機的状況になっている。これに対して、今までは消費税の引き上げ余地があることと国内で消化されていた(ことが安心材料だった)。しかし、2012年に団塊世代が年金の受給側に回り10年後には後期高齢者となり医療費が増えていく。2012年ごろには、国内消化に若干の疑問符が付き始めている。加えて、今の政府の財政戦略が非常に心もとない。

 それを、マニフェストは変えられない。消費税についてまとまった見解が出ない。その矛盾が予算編成にあらわれており、2012年予算編成はできるのだろうかという状況になっている。(中期財政フレームで決めた歳出の大枠の)71兆円と、(国債発行の上限)44兆円をローリングすることで、国際公約となっている2015年度の基礎的財政収支の赤字半減が達成できるのかという疑問が出てくる。

 財政健全化責任法と『Xデープロジェクト』で、もう少しきちんとした見通しを示す必要があることを政府に警告するのが狙いのひとつ」

 「しかし、政府・民主党は全く無反応で、こういうグロテスクな予算になっているので、本当に何か起きるかもしれない。しかも、起きた時のことを誰も議論していない。無茶苦茶になるという話はあるが、もう少し冷静な議論として、どういう経路で何が起きるのか、起きてしまったときに被害を止められるのかなど、そろそろ冷静に議論しておいたほうがよいのではないかとして始めた」

 ──検討結果は政府に申し入れするのか。

 「どういうものが出来るかによって、政府・日銀に申し入れすることもオプションにはなる」

 ──日銀の役割は。

 「異常な事態が起きた時には、日銀は大きなプレイヤーになる。有識者のヒアリングでも、国債が危機的状況になって引き受けるとなれば理論的には日銀しかないとのことだった」

 ──一方、デフレ脱却のための日銀法改正論がある。

 「参院選公約でも、デフレから脱却するために、1.5%プラスマイナス1.0%で、下限ゼロを超える物価上昇を目標とする考えを示した。個人的には、今の日銀は物価の見通しを示しているが、目標になっていない。目標にして責任を持ってもらわなければならない。次のステップとして、政府・日銀が目標を共有し、それぞれがきちんとやるべきことを行う。その先に日銀法改正が位置付けられると思う。この順番でじっくりやっていく必要がある」

 「それを一足飛びにいけば、政府の果たすべき役割が飛んでしまう。政府がやるべきことは財政再建と経済成長を両立させること。そこまでバランスをもって議論を進展させないと、こんなマニフェストでばらまいて、どんどん借金を積み上げて、ツケだけ日銀が引き受けるでは、健全性に欠ける」

 ──須田日銀審議委員が3月末で任期を迎える。同意人事についての考え方は。

 「人物本位で判断すればよい。政局的に反対することはあり得ない」

 (ロイターニュース 吉川裕子 梶本哲史)

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