April 20, 2011 / 8:03 PM / 9 years ago

インタビュー:銀行業務参入、数百億円の安定収益に=大和証券G社長

 [東京 21日 ロイター] 大和証券グループ本社(8601.T)の日比野隆司社長はロイターとのインタビューで、5月に開業するグループのインターネット銀行「大和ネクスト銀行」から上がる収益を、投資信託や資産運用に並ぶグループの安定収益源に育てる方針を示した。

 4月21日、大和証券グループ本社の日比野隆司社長は、銀行業務への参入で、数百億円の安定収益を目指す考えを表明。写真は都内の支店。2009年9月撮影(2011年 ロイター/Issei Kato)

 大和は収益強化策の一環として、今後2─3年で本社機能の集約などを通じ300億円のコストを削減する計画だが、それと同時にネット銀行や資産運用業務から数百億円規模の収益への貢献を目指す。

 一方、大和は、アジアでの業務拡大のため人材を積極的に採用しており、業績の圧迫要因となっている。これについて日比野社長は「アジアが足を引っ張るのはこの第1・四半期がピーク」と述べたうえで、2011年度第4・四半期の黒字化の見通しを示した。

 日比野社長によると、現在アジア関連の合併・買収(M&A)やエクイティファイナンスのパイプラインは、前年同期の約4倍に増えているという。

 アジアのほか、過去に欧州で買収したM&AブティックのDCアドバイザリー・パートナーズ(旧クロース・ブラザーズ)や米国のM&A業務での提携先、セージェント・アドバイザーズ(本社ニューヨーク)と、ホームマーケットである日本とアジアの世界4極態勢が「ようやく稼働する年になる」という。 

 東日本大震災の損失状況や将来への展望が描けるようになる夏以降あたりには、国内企業のM&Aやエクイティファイナンスが回復し増加するとの展望も示した。

  <ネット銀行、ブリッジローンも提供し投資銀行業務とのシナジーも>

 大和はネット専業銀行の「大和ネクスト銀行」の開業にあたり、4月12日に免許を取得した。日比野社長はネット銀行への参入について、「日本には1500兆円弱の個人金融資産があり、その55%(820兆円)の現預金が継続的に増え続けている。そこにリーチを持ち今までとは全く違う展開が期待できる」と語った。 

 日比野社長は、大和として銀行口座を提供することで、新規顧客や投資家のすそ野拡大といったリテール業務でのメリットのほか、預金運用から発生するスプレッド収益(利ザヤ)の拡大に期待を示した。また、企業のM&Aにおけるブリッジローンのように、投資銀行業務に通じるグループ全体へのプラス効果もあるとみている。

 メガバンクが行うような大規模なブリッジローンではなく、数十億円規模のブリッジローンを提供し、大型のローン案件より投資妙味の高い利ザヤを想定している。企業によっては、メーンバンクに細かな相談をせずにM&Aを完結させたいというケースもあり、こうした顧客を対象に独立系証券会社として強みを発揮できるとみている。

 現在大和では、1)投資信託の代理事務手数料などのフィー収入、2)アセットマネジメントの運用報酬──の2つを、グループの主な安定収益源にあげるが、今後は、銀行関連収益を3本目の安定収益源に位置づける。すでに2月に発表した、本社機能の集約などによる今後2─3年で約300億円のコストを削減する計画とあわせ、これら3本の安定収益の拡大で、グループ全体の業績回復を目指す。

 ネット銀行のサービスは円預金からスタートし、1年以内に外貨預金も提供する予定。預金残高は3年で1兆円を目標とするが、日比野社長は「(預金の運用面で)証券市場における専門性の高さを活かし高利回りを提供できるため、相当な預金吸引力がある」と自信を示した。預金の目標額は「かなり前倒しで達成できると思う。中期的には数兆円規模の銀行になる」と述べた。

  <アジア事業、黒字化へ> 

 昨年来、香港やシンガポールなどを中心にアジアで陣容を拡大しているため、先行投資がグループ全体の重荷となってきたが、日比野社長は、マーケット全体を揺るがすような危機などが起こらない限り、アジア事業は「今年度第4・四半期に収支がプラスになることを現実味のある目標としてやっている」と述べた。

 人材の採用は、韓国のデリバティブ取引やインドのプライマリーディーラー業務などで数名検討中だが、「コアな人材の採用は終わった。コストプッシュは終わり、収益が立つのを待つ状態になった。アジアが足を引っ張るのはこの第1・四半期がピークだと思う」と話し、今年度末にかけて収益への貢献の見通しを示した。 

  <提携戦略、補完的に>

 大和は2009年、三井住友フィナンシャルグループ(8316.T)と提携解消で合意し、独立系の証券会社に戻った。日比野社長は他社との提携の可能性について、「部分提携はこれからもする」と述べ、今年2月の就任会見時と同様、戦略に応じ補完的な提携に前向きな考えを示した。

 提携の可能性のある業務領域としては「アセットマネジメントやウエルスマネジメント、地域としてはアジア、ブラジルなどの可能性がある」という。ただ、「今年度という感じではない。今年度は足元を固めなければと考えている」と話し、現時点では具体的な提携話よりグループの収支改善を優先する意向を強調した。

  (ロイターニュース 江本 恵美)

*インタビューは4月19日に行われました。

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