April 22, 2011 / 4:20 AM / 9 years ago

ドル指数が最低水準接近、「最弱レース」で円に猛追

 [東京 22日 ロイター] ドル指数が最低水準を視野に入れてきた。利上げモードが続く欧州に対し、米国は財政悪化などで金融緩和が思ったよりも長引きそうだとみられ始めてきたためだ。通貨の「最弱レース」において、同じく金融緩和継続が予想されている円にドルが猛追しているという。

 4月22日、ドル指数が最低水準を視野に入れ、通貨の「最弱レース」で円にドルが猛追している。写真は昨年9月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 休場の海外市場が多く薄商いであり、日本の輸出株も下げ渋っているが、為替の振れが大きくなる可能性もあるとして警戒されている。 

  <米金融緩和の継続観測強まる> 

 主要6通貨に対するICEフューチャーズUS(旧NY商品取引所)ドル指数は海外市場で一時73.735まで下落し、2008年8月以来の低水準となった。アナリストからは08年3月につけた過去最低の70.698が視野に入ったとの声も出てきた。  

 その背景は米国の金融緩和が予想よりも長引きそうだとの見方が強まってきたためだ。財政赤字拡大による連邦債務上限の引き上げにスポットが当たるなか、一部の投資家は、ホワイトハウスと議会が大幅な歳出削減や増税を伴う財政赤字削減で合意すれば、ぜい弱な米景気回復に悪影響が及ぶと懸念し始めている。「そうなれば米連邦準備理事会(FRB)は、低金利維持を余儀なくされる。バーナンキ議長はじめトップ3はみなハト派であり、緩和維持は難しくないだろう」(東海東京調査センター・シニアストラテジストの柴田秀樹氏)という。

 米量的緩和第2弾(QE2)は6月で終了するにしても、その後、MBSなどをロールさせるなどして、膨らませたバランスシート(B/S)を維持する可能性があるとみられている。

 一方、欧州は利上げモードが続いている。債務問題では欧州も米国同様に不安定だが、20日に実施されたスペイン国債入札が底堅い結果となったことで不安がいったん後退した。ギリシャ、ポルトガル、アイルランドの3国のCDSスプレッドは依然ワイドだが、スペインは比較的落ち着いており、米国の財政問題や金融緩和に市場の視線が集まりやすくなっている。

 世界最大の債券運用会社、米パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のエルエリアン共同最高投資責任者(CIO)は「世界の他の地域で問題がない限り、米国の現在の財政・金融スタンスは今後も、ドルへの圧力となり続ける」と述べている。  

 もちろん、欧州や多額のドルの外貨準備を抱える中国からもドル安への懸念が表明されている。しかし、貿易赤字問題を背景に、米国内では議会を中心にドル安を問題視する空気はなく、米連邦準備理事会(FRB)もドル安の背景である緩和政策について、対外配慮による修正はしにくいという。住友信託銀行マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は「米貿易赤字問題の本質は対中赤字。いくらドル安にしても、人民元の切り上げがなければ対中赤字問題は解決しない。しかし、米国はドル安で対処しようとしている」と指摘する。 

 22日午前のドル/円は81円後半でのもみあい。海外市場でつけた3週間ぶり安値(81.61円)を意識しながらレンジの下値でもみあった。幅広いドル売り地合いは続いているが、きょうはグッド・フライデーにあたり、アジア勢を含めた海外勢の参加が乏しいことから値動きは限られた。 

  <海外勢は休日で薄商い> 

 市場では、震災による国内経済への影響に配慮して日銀は金融緩和を継続する可能性が大きいとみられている。これまでは金融引き締めの距離感の違いから、欧米に対し日本は大きく出遅れていたが、ここにきて米金融緩和継続の思惑から「ドルが円を猛追してきた」(前出の東海東京調査センターの柴田氏)という。現在の円高進行はこれまでの円売りポジションの調整によるドル安・円高という面が大きいとみられているが、きょうは海外市場がグッド・フライデーなどで休場であり、薄商いのなかでの振れが警戒されている。  

 午前の日経平均は反落。円高警戒で輸出株がさえないが、薄商いで海外勢の売りも乏しく下げ渋った。午前の東証1部売買代金は4109億円と今年最低水準のペースだ。「海外勢が休場で商いが薄く、売りもそれほど出ていないため下げ渋っている。決算発表の反応も反対売買の1日だけで続かない。円高というよりもドル安だが、薄商いであり、振れへの警戒感はある」(SMBCフレンド証券・シニアストラテジストの松野利彦氏)という。

 みずほ証券シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は「海外勢の休暇入りに加え、週末でもあり積極的に買い上がる投資家は少ない。直近2日間の上昇が薄商いの中のショートカバー中心であり、実体を伴っていなかっただけに利益確定売りが出ても不思議ではないだろう。インテル(INTC.O)、アップル(AAPL.O)の決算で米国市場もいったん好材料出尽くしとなる。目先は様子見気分の強い相場展開となりそうだ」と述べている。 

  <円債市場では、期初・ゴールデンウィーク前の買いニーズ> 

 一方、円債市場ではすでにゴールデンウィークを見据えた動きが出ている。休み前の買いニーズなどから需給は良好で、前日の米債市場が買われた流れもあって、午前の国債先物は続伸。円高/株安も追い風となり、短期筋のショートカバーが入った。

 現物債も強含みで、ゴールデンウィーク前に、債券を積んでキャリーを取ろうとする動きが強まり、長期金利は1.210%と3月25日以来約1カ月ぶりの低水準となった。市場では「現物債は25日が月内受け渡しの最終売買日となるが、4月は慎重ムードからスタートしたので、予算を消化していないという声もある。計画対比で遅れている可能性があり、そうした買いが相場を支えているのではないか」(国内証券)との声が出ていた。もっとも、1.2%近辺の水準には警戒感も強く、地域金融機関の益出し売りも入っている。

 5年債利回りも前日比1ベーシスポイント低い0.485%と3週間ぶりの低水準となった。「5年はあまりキャリーを取れないが、10年は買いづらいという向きもある。キャッシュに置いておくよりはいいという判断もあるのではないか」(パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部長、松川忠氏)との声が聞かれた。イールドカーブはフラットニング。

 円債市場をめぐっては、期初・ゴールデンウィーク前の買いニーズに加え、5月12日の10年物国債入札まで長期・超長期ゾーンの供給がないことから(流動性供給入札除く)、需給が引き締まりやすい状況にある。市場では先行きについて「売りが少ない中で、じわじわと金利低下が進んでいる。しばらくこの流れが続くのではないか」(国内証券)との見方が多い。 

 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)

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