[北京 7日 ロイター] 中国の新疆ウイグル自治区のウルムチで発生した暴動では156人が死亡、1000人以上が負傷した。新華社によると、中国警察当局は、新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた暴動に関連し1434人を拘束した。
また、現地ではインターネットへの接続も遮断されたという。
ウイグル自治区での今回の騒乱に関する識者の見方は以下の通り。
◎中国の民族問題に詳しい香港科技大学のバリー・ソートマン准教
新疆では、漢族とウイグル人の間に根強く残る経済的格差が不満の大きな原因になっている。宗教に関する政府の規制に反対する人もおり、漢族の多さに不快感を抱いている人もいる。
大きな民族的紛争が持ち上がると、中国では常に2つの考え方が並んで台頭する。「政策の変更を考えなくてはならない」という意見と「より効果的に分離独立主義者を追い詰めなくてはならない」という意見だが、恐らく両方が出てくる思う。
◎香港で活動するヒューマン・ライツ・ウォッチのニコラス・ベクリン氏
こうした出来事は、少数民族地域での政府の方針が完全に失敗していることを示す。経済発展はウイグル人をステークホルダーとすることができなかった。
ウルムチでのデモ参加者は、懲罰が恐ろしいものになると分かっている。結果を分かっていながらデモに加わる人がいるのは、彼らが不満のはけ口を必死に求めている証拠だ。
新疆では、根深く長期にわたる人権侵害があり、それが暴動発生につながった一因といえる。ただしそれが暴動を正当化する理由にはならない。暴動ではウイグル人が抱える問題は解決しない。
◎北京のコンサルタント会社ドラゴノミクスのマネージングディレクター、アーサー・クローバー氏
これは政治的な問題で、主として経済問題ではない。中国の国内経済について言えば、政府が統制を失っているという何らかの証拠が出てこない限り、概して大きな影響はない。
新疆での主な投資機会は石油やガス、鉱物といった天然資源で、それらは極めて厳しく管理され、現地での開発については基本的に外国からの意味のある投資は一切受け入れていない。投資が許されていないなら、今回の問題が投資判断に大きな影響を及ぼすとは考えにくい。
◎シンガポール国立大学東アジア研究所の鄭永年所長
今回の騒乱は、近年の新疆では最悪の事態だ。個人的には政府が事態を収拾できると思っている。
残念ながら、責任ある大国としての中国のイメージにはマイナス影響を及ぼすだろう。抑圧だけでは問題は解決しない。抑圧するだけでは事態はさらに悪化するだろう。最終的には武力だけでなく、経済支援を含む包括的な対策が必要となる。武力のみではさらなる暴力を生むことになる。