July 8, 2009 / 10:06 AM / 10 years ago

米ドルに代わる準備通貨、その必要性や候補

 [ニューヨーク 8日 ロイター] 8日に開幕する主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)に先立ち中国が米ドルに代わる新たな準備通貨への移行を提唱するなど、世界的な準備通貨としての米ドルの地位は攻撃にさらされている。

 7月8日、ラクイラ・サミットを前に世界的な準備通貨としての米ドルの地位は攻撃にさらされている。写真は韓国の銀行で撮影した米ドル紙幣(2009年 ロイター)

 ラクイラ・サミットは、G8(主要8カ国)の首脳会議で開幕。同会議で採択される予定の共同声明では、主要準備通貨としての米ドルの役割に関する言及はない見通し。あったとしても、金融市場の波乱要因とならないよう、非常に一般的な文言が使用される見込みだ。

 文言が抑制されたものになったとしても、G8共同声明で米ドルの地位に関する言及があった場合、それが持つ象徴的な意味の重要性は計り知れない。ラクイラ・サミットには途上国の首脳も出席。途上国は世界的な金融システムのなかでより大きな役割を果たし、最終的には米ドルへの依存度を低下させることを望んでいる。G8共同声明で米ドルに関する何らかの言及があった場合、途上国のこうした主張を後押しするものとなる。 

 <米ドルに代わる世界的な準備通貨はなぜ必要か?>

 中国、ロシア、ブラジルなどの主要新興国は米ドル資産を多く保有している。そのほとんどが米財務省証券だ。

 2000年以降、米国はドル相場の維持に努めてきたが、主要通貨に対するドル指数の下落率は2002年以来33%に達している。

 今回の金融危機を受け米政府は景気対策に多額の資金を投入。米ドル資産を多く保有する国は米国でのインフレが米ドル相場のさらなる下落につながると懸念している。中国は1兆9000億ドルにおよぶ外貨準備の70%を米ドルで保有しているとみられるため、特に米ドル相場の下落には影響を受けやすい。

 また、米ドルが最も幅広く準備通貨として使われていることが、世界の金融システムの不均衡につながっているとの批判もある。米政府は赤字を拡大させる一方で、世界に潤沢なドル資金を供給。過度に膨れ上がったドル資金が蓄積した場合、バブル経済が生じる恐れがある。一部エコノミストの間からは、中国が膨れ上がった外貨準備で大量米国債を購入したことで米国の金利が低く抑えられ、その結果、今回の金融危機の根源となった米国の住宅市場のバブルが引き起こされたとの見方もでている。

 <米ドルの他にどの通貨に注目するべきか>

 A.ユーロの地位向上

 ユーロは米ドルに次いで広く使われている通貨で、そのため流動性も高く、市場に大きな影響を与えることなく、ユーロ建ての債券の売買を行うことができる。

 その結果、世界各国が保有する外貨準備に占めるユーロの割合は、1999年のユーロ誕生以来上昇し続け、現在は25.9%となっている。

 ロシアも外貨準備に占めるユーロの割合を引き上げている。ロシアのユーロ圏経済との関係が深いことを一部反映した動きでもあるが、外貨準備に占める米ドルとユーロの割合はほぼ5分5分となっている。

 ただ、欧州中央銀行(ECB)は、ユーロが主要な準備通貨となるよう積極的に推進してはいない。ユーロが主要準備通貨となった場合、各国中央銀行からの需要が増え、その結果対ドルでユーロが上昇する可能性があるからだ。ユーロの上昇はユーロ圏経済の成長を阻害する要因ともなる。

 B.強い中国人民元

 世界最大の人口を抱る中国が、将来的に世界最大の経済大国として台頭すると予測する向きは少なくない。中国は既に人民元を貿易の決済に使うことで一部貿易相手国と合意。中国が国際舞台で経済力をつけるに従い、各国の中央銀行による人民元の需要が高まることになる。

 しかし、こうした状況が現実のものとなるためのハードルは高く、何年も、あるいは何10年もかかる可能性がある。中国は経済と金融システムへの政府の関与を低めることにより、人民元の流動性を高め、外国の中銀や外国人投資家が中国に投資しやすいようにする必要がある。もっとも、中国政府高官も、米ドルから脱却するには時間がかかるとの認識を示している。

 C.資源国通貨

 原油や金属、およびその他の商品への需要が増大すれば、各国中央銀行による外貨準備の一部をオーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどの資源国通貨に振り向ける動きがでてくる可能性がある。

 問題は、世界各国が保有する外貨準備の規模が6兆5000億ドルと巨額なことに対し、こうした資源国通貨の市場が小さいことだ。些細な動きでこれらの通貨のボラティリティーが高まる可能性がある。

 D.SDR

 中国とロシアは、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)が将来的に世界的な準備通貨として活用される可能性があるとしている。

 合成通貨単位であるSDRの使用拡大には、SDRが貿易決済に使われたり、融資、債券、預金などがSDR建てで行われたりすることなどが含まれる。

 IMFは2010年にSDRを構成する通貨バスケットの構成を見直すことにしており、中国は人民元を採用するよう提唱しており、他の新興国も自国通貨の採用に向け声を上げる可能性がある。

 各国中銀が外貨準備の構成比率をSDRの構成比率に準じるように変更するのが最も簡単な方法だとの指摘もある。

 IMFの四半期報告書によると、今年第1・四半期の世界各国の外貨準備に占める米ドルの割合は64.9%と、64%から上昇。過去約2年で最も高くなった。ただこれは、世界的な金融危機を受け安全資産としての米ドル需要が高まった結果ともいえる。2001年初頭は世界の外貨準備に占める米ドルの割合は73%だった。

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