[東京 8日 ロイター] 政府税制調査会(会長:野田佳彦財務相)は8日夕に開かれた第2回全体会合でも7日に続き、消費税増税をめぐって大激論となった。
東日本大震災で状況が変わったとして消費税引き上げに慎重論が出たのに対し、財政健全化に取り組む政治の意思が問われているとの危機感の表明が真っ向からぶつかった。
政府は6月20日に決定する社会保障・税一体改革の成案に税制改革の方向性を盛り込む方針だが、意見集約は難航を極めそうだ。終了後の会見で五十嵐文彦財務副大臣は「当初考えていたより時間をかけなければならない」と、意見集約に丁寧に対応する必要性を指摘する一方、「こういう政局の状況を反映して先送りすることは許されない」とも述べ、あらためて取りまとめに向けての決意を語った。
社会保障の維持・強化のための消費税増税をめぐって、東祥三内閣府副大臣が「3.11で状況が変わった。今、消費税率を上げて経済がさらに失速しないのか徹底した議論を行ったのか」と、消費税率を2015年度までに段階的に10%に引き上げることを示した社会保障改革原案にかみついた。
これに対して野田佳彦財務相は「(震災で)状況はむしろ強まった」と反論。来日中のリプスキー国際通貨基金(IMF)専務理事代行との会談内容を引き合いに出し、「IMFが日本に対して最も期待しているのは財政の安定だ。財政健全化の道を歩もうとしていることを世界が見ている」と述べ、財政再建が先送りされることへの危機感をあらわにした。平野達男内閣府副大臣も「財政を発散させないとの姿勢を、市場だけでなく、世界に向けて発信しなければ危ない。これくらいのこと(消費税の5%上げ)を決められないと、われわれの政治の意思が問われかねないとの危機感を持つ」と呼応した。