[サンタフェ(米ニューメキシコ州) 8日 ロイター] 米ニューメキシコ州の男性(35)が、人工妊娠中絶したとして元交際相手の女性を非難する看板を高速道路脇に設置し、この女性が看板の撤去を求める法廷論争に発展している。
コンピューターサービス事業を経営するこの男性は、5月中旬に看板を設置。看板には赤ん坊の輪郭を腕に抱く男性の姿とともに、「もし母親が子どもを殺さない判断を下していたら、ここには私の生後2カ月の赤ちゃんが写っていた」と記されている。
元交際相手の女性は、看板は嫌がらせでプライバシーの侵害だとして、同州の家庭内暴力防止法に基づいて男性を提訴。一方、男性の弁護士によると、男性は米憲法で保障された表現の自由を盾に看板の撤去には応じない構えを見せている。
女性側の弁護士からは、7日の時点でコメントを得られていない。
男性の弁護士の話では、当時18歳だった女性は妊娠発覚後に結婚を求めたが、男性が拒否。女性はその後、2人が参加した教会の旅行で、男性が結婚しない場合は子どもを産まないと告げたという。
女性は仕事でウィスコンシン州に移ったが、戻ってくると既に妊娠しておらず、何が起きたか説明もなかったため、男性は女性が中絶手術を受けたのではないかと思ったという。
ニューメキシコ州の反中絶団体は、男性が設置した看板を当初支持していたが、女性が中絶ではなく流産したとする多くの電子メールが届いたため、現在は支持を取り下げている。