[ウィーン 20日 ロイター] 海江田万里経済産業相は20日、東京電力福島第1原子力発電所の事故を受けて原発の発電量をゼロに削減すれば、日本経済に大きな打撃が及ぶとの見方を示した。
福島第1原発の事故を受けた国民の懸念や定期点検により、国内の原発54基のうち現在運転しているのは19基となっている。
経産相は、原発の安全性強化を協議する国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合の会場で記者団に対し、稼動中の原発は運転を続け、停止中の原発は運転を再開することができるという自信がかなりあると述べた。
また、原子力がゼロに削減されれば日本の産業および経済に大きなマイナス影響を及ぼすとし、日本経済に突然ブレーキがかかれば、世界経済全体に非常に大きな影響をもたらす可能性があるとの見方を示した。
自動車業界をはじめ、世界各国に影響が及んだサプライチェーンの問題については、企業や当局が工場やインフラの復旧に取り組んでいるとし、一部セクターは依然として完全に回復していないものの、サプライチェーンを構成する各連鎖はつながったと指摘。こうした流れが当初予想よりも速いペースで進んでいることから、製造業をはじめ、日本の産業は今年下半期から復興・回復が可能になるとの見方を示した。
日本政府は財政面での制約に直面しているものの、震災で被害を受けた地域のインフラ復旧に充てる財源を十分確保することが重要とも述べた。
また、再建後も日本の産業は円高や商品価格高などに対処しなければならないとした上で、日本は過去にもこうした衝撃に対応してきたと語った。