July 8, 2011 / 9:53 AM / 8 years ago

インタビュー:復興国債、増税での財源確保は逆効果=岩田・学習院大教授

 [東京 8日 ロイター] 岩田規久男・学習院大学教授はロイターとのインタビューで、復興国債は、その全額を日銀が政府から直接引き受けるか、ないしは、市場からの復興国債同額の長期国債を買い入れることで財源とすべきだと主張した。

 7月8日、岩田・学習院大学教授は、復興国債は、その全額を日銀が政府から直接引き受けるか、ないしは、市場からの復興国債同額の長期国債を買い入れることで財源とすべきだと主張。写真は4月、都内で撮影(2011年 ロイター/Issei Kato)

 <増税での財源確保は逆効果、日銀引き受けなら確実な需要創出>   

 政府は増税を視野に復興国債の発行を検討しているもようだが、岩田教授は「増税での財源確保は需要を抑制し、復興には逆効果となる。一方、日銀買い入れは、財政支出増加とマネー増加という2つの経路を通じる需要創出効果があるので、経済効果は格段に大きい」とした。 

 同教授は、買い切りオペと直接引き受けの効果の違いについて、買い切りオペでは日銀に復興国債と同額の長期国債購入を義務付けられない点と指摘。

 「政府から直接引き受けるには、財政法の例外規定を適用できるので、復興国債を日銀に買いとらせることが可能になるが、市場から日銀がどの程度長期国債を買い入れるかは政府が指示できるものではなく、日銀の判断にゆだねられてしまうので、実効性は不透明」とした。

 市場からの買い入れの場合でも、復興国債全額を買い入れる場合であれば、直接引き受けと効果は同じだとした。

 <過去の引き受け事例が超インフレもたらしたとは言えず>

 日銀自身は、国債引き受けがハイパーインフレを招くと警戒姿勢を示している。白川方明日銀総裁は、昭和恐慌からの脱出をはかるため日本で最初に国債引き受けを採用した高橋是清を引き合いに「市場によるチェックを受けない国債引き受けという行為自体が最終的な予算膨張という帰結をもたらした」と指摘している(5月28日、日本金融学会での講演)。

 しかし岩田教授は1930年初頭の高橋財政時のデータから「インンフレ率は最大で6.5%となったが、最後の2年間は2%でしかない。平均的には穏やかなインフレといえる。しかも実質成長率は一番良いときで10%」と指摘。「世界各国が大不況で四苦八苦するなか、いち早く恐慌を脱出。マクロ政策としてこれほどの成功例はない」と評価している。

 その後インフレとなったのは、「1935年ごろに経済が巡航速度に入ったため、高橋は財政支出や軍需支出を減らすと主張し始めたために、36年のニ・ニ六事件で暗殺されてしまった。その後、軍部のいいなりに軍事支出を日銀引き受けでまかなうことになってしまった」ことが原因だと説明し、高橋是清の国債引き受け自体をインフレ要因とする理解はは誤りだと指摘する。 

 現在の局面での引き受け実施の場合について、「デフレを脱却してインフレ率が5─10%以上になっても日銀引き受けをやめないというのであれば、インフレ率が大幅に上がり、金利暴騰もありうる。しかし、「そこまで政府も日銀も良識がないはずがない」と指摘。

 実際に、米国がリーマンショック以降に巨額の国債を買い入れてもインフレになっていない事例を指摘。インフレ誘発を怖がり、その懸念を広めている日銀の主張に論理的な根拠は薄いとした。

 <デフレが円高をもたらす>

 需給ギャップを抱えてデフレに陥っている現在、何より重要なのはインフレ予想を高めることで、設備投資や消費を刺激、円安をもたらすことが可能となると指摘。

 「デフレというのはもっているだけで通貨の価値があがることだ。デフレで円の価値が上がれば、円に対する海外の需要は増える。予想インフレ率は、アメリカは2%ちょっとで、日本はマイナス。日米予想インフレ率差がなくなると、30円くらいの円安となり、1ドル=110円くらいになる。3月の大震災後の円急騰は日本の震災でデフレ予想が高まったためで、デフレで説明できる。デフレと円高は同じことの両面だ」と説明した。

 その上で、同教授は「デフレ脱却は金融政策ではできないというのが日銀理論。そういう中央銀行はいらない」と日銀の姿勢を批判。「スウェーデンはリーマン・ショック後、デフレになったが、マネタリーベースを4倍増やしている。それでインフレはやっと2─3%の間。日本はどれだけ増やしたか。リーマン・ショック前より最大で10%しか増やしていない」とさらなる対応を求めた。

 このインタビューは7日に行った。

 (ロイターニュース 中川泉;編集 佐々木美和)

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