July 11, 2011 / 4:02 AM / 8 years ago

ドル80円後半、ギリシャ債一部デフォルト容認報道でリスク回避ムード

 [東京 11日 ロイター] 東京外為市場正午のドル/円は80円後半で推移している。きょうのユーロ圏財務相会合で、ギリシャ国債の一部デフォルト容認について協議するとの一部報道を受け、ギリシャ問題への懸念からリスク回避ムードが広がった。

 7月11日、東京外為市場正午のドル/円は80円後半で推移している。都内の銀行で2008年10月撮影(2011年 ロイター/Yuriko Nakao)

 このためドルと円が買われ、海外時間に米雇用統計を受けて急落したドル/円は、アジア時間は底堅く推移した。ユーロ/ドルはギリシャ問題への懸念から一時2週間ぶりに1.42ドルを割り込んだが、下値も売りきれずに1.42ドルの攻防になっている。 

 予想より大幅に弱かった6月の米雇用統計を受け、海外市場でドル/円は80円半ばまで約1円急落。しかし、アジア時間には下げ渋り、80円後半で下値もみあいが続いた。

 市場では「80円半ばに買いが入っている一方、81円付近には売りが出ている。また、81円付近にはまとまったオプションもあるようだ。欧州ソブリン問題は円買い、ドル買いなので、ドル/円は動けない」(外資系銀行)との声が上がっている。先週末までの上値試しムードのなかで構築したロングポジションにしこりがでてきたとの声もあり、上値の重さを助長している。

 オバマ米大統領が米債務上限引き上げ問題について11日に記者会見するが「(債務上限引き上げの)期待は乏しい。まだ時間がかかるのではないか」(国内銀行)として材料視されなかった。 ユーロ/ドルは1.42ドルの攻防。一時は2週間ぶりに1.42ドルを割り込み、1.4187ドルまで売られた。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の電子版が、ユーロ圏の当局者は、11日に開催されるユーロ圏財務相会合で、ギリシャ向け第2次支援計画の一環として、同国の国債の一部デフォルト(債務不履行)を容認する案について協議する見通しと伝えたことで、ユーロへの懸念が広がった。同紙によると、財務相会合では、ギリシャ向け融資の金利引き下げや債券買い戻し措置なども協議される。一方、フランスが提示しているギリシャ債務のロールオーバー案は廃案になる可能性があるという。

 ただ、ユーロは何度か1.42ドルを割ったものの跳ね返されており「アジア市場では消化しきれない。欧州債券市場の動きを確認する必要があり、1.42ドル付近を売り込むのは難しい」(信託)との声も出ている。 

 <ギリシャ国債一部デフォルト案の報道でイタリアへの影響懸念>

 報道されたデフォルト容認の協議について、ステート・ストリート銀行金融市場部長、富田公彦氏は「意味がよくわからない。ただ、デフォルト回避を諦め、デフォルト認定の取り扱いに焦点を移す可能性がある」とみている。

 富田氏はこれまでも、民間金融機関が保有する既存のギリシャ債券をより長期の債券に実質的に交換するなどの案は、本質的にデフォルトだとみていた。ただ、いったんはデフォルト認定しても、新しい債券にはすぐに格付けを付与するなど、デフォルトを一時的なものとする可能性もあり「この場合は、たとえば欧州中銀(ECB)がデフォルト認定しないなど、形式的に逃げ道を作ることもできるかもしれない」(富田氏)という。

 問題は、8日の欧州市場でイタリア債が売り込まれるなどソブリンリスクがイタリアに伝染しかけていること。「ギリシャ債のデフォルトによる周辺国への伝染リスクが懸念される。8日にイタリアへの不安が高まったこともあり、伝染リスクも含めてきょうはユーロ圏で協議するのだろう。ただ、すぐには決まらないとみており、ギリシャの第2次支援策の合意は先延ばしされそうだ」(国内銀行)との声が出ている。

 欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領は、11日朝に欧州首脳による緊急会合を招集した。ファンロンパイEU大統領のスポークスマンはイタリア問題への対応ではないとしているが、複数の関係筋はロイターに対し、会合ではギリシャに対する第2次支援策のほか、イタリアの状況についても議論されると明らかにした。

 8日の欧州市場では、債務危機がイタリアに波及するとの懸念からイタリア債の対独スプレッドが過去最高の2.45%に拡大。ベルルスコーニ首相が、支出削減の必要性を訴えているトレモンティ経済相を更迭しようとしているとの見方も、市場の不安を誘っている。

 <米雇用統計受け緩和政策の長期化織り込む、QE3はないとの見方> 

 6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月比1万8000人増と市場予想の9万人増を大幅に下回る「ネガティブサプライズ」(国内金融機関)になった。しかし、みずほ証券グローバルエコノミスト、林秀毅氏は、雇用統計発表の前にも米ISM非製造業景気指数など予想を下回る指標があったが、(リスク回避の)円高圧力は限定的だったことから、雇用統計が悪くてもドル/円は80円を維持するとみていた。実際、ドルは80円半ばで下げ渋っており、林氏は「今回の雇用統計ではドル/円の底堅さを確認した」としている。

 米景気は市場の期待より緩やかなペースでの回復にとどまっているが、林氏は、景気腰折れはないとみており、今週のバーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言についても「景気認識は従来通り、回復傾向にはあるが、回復の動きが明確になる前の段階にあるとの考えが示されるだろう。米量的緩和第3弾(QE3)など追加緩和を実施することはなさそうだ」と見込んでいる。

 一方で「ドル/円が82円の上値を狙うムードは一服した」(国内金融機関)との声も出ている。雇用統計を受けて米金利が急低下、現在の緩和政策の一段の長期化を織り込む動きになったためだ。前週までの米景気に対する楽観ムードのなかで米2年国債利回りはレンジを切り上げ、一時は0.48%前後まで上昇していたが、雇用統計を受けて一気に0.40%を割り込んだ。シカゴ商品取引所(CBT)の金利先物市場では、2012年第4・四半期の利上げ開始を織り込むとともに、2013年上期まで短期金利が1%を下回ると見込んでいる。 

(ロイターニュース 松平陽子)

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