August 4, 2011 / 10:18 PM / 9 years ago

欧州当局が危機対応強化の姿勢打ち出す、市場は好感せず

 [フランクフルト 4日 ロイター] 欧州当局者は4日、ユーロ圏金融市場の沈静化に向け、危機対応策を強化する姿勢を打ち出したものの、市場の反応は総じて冷ややかだった。

 8月4日、欧州当局者がユーロ圏金融市場の沈静化に向け、危機対応策を強化する姿勢を打ち出したものの、市場の反応は総じて冷ややか。マドリードのトレーディングルームで撮影(2011年 ロイター/Sergio Perez)

 欧州中央銀行(ECB)はこの日、これまで休止していた債券買い入れプログラムを再開するとともに、新たに期間6月の流動性供給オペを実施し、無制限の短期資金供給を少なくとも来年1月まで継続すると発表した。

 ECBが債券買い入れを再開するとの期待から、理事会を控え、イタリア・スペイン国債に対する売り圧力はいったんは後退したものの、ECBの債券買い入れ対象がポルトガルとアイルランドのみで、その他のソブリン債購入計画はないとの欧州連合(EU)金融筋の話が伝わると、両国の国債利回りは上昇に転じた。

 トレーダーは、ECBの債券買い入れが危機の波及阻止には有効とは確信していないとの見方を示している。

 Berenberg Bankのエコノミスト、ホルジャー・シュミーディング氏は「ECBはより断固とした行動に出る機会を見逃してしまった可能性がある。現在の焦点は、ECBがイタリア、スペインの国債市場に介入するのか、介入するならどれくらいの規模かということだ」と述べた。

 トリシェ総裁は理事会後の記者会見で、債券買い入れプログラムは「継続している」と発言。債券買い入れに関する決定は全会一致ではなかったが、「圧倒的多数」が支持したと述べた。

 ただECBは、イタリア・スペイン国債を買い入れる前に、両国政府による一段の財政健全化措置を見極めたい意向なのか、それとも債券買い入れ規模の拡大に対して、ECB内部の支持が得られていないのかをめぐり、疑問が高まっている。

 一方、バローゾ欧州委員長はこの日、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)と欧州安定メカニズム(ESM)について、規模拡大も含めて再評価する必要があるとの見解を示した。

 委員長はEU首脳に宛てた書簡で「EFSFおよびESMがリスク波及に確実に対応できる手段を備えるよう、双方のすべての関連要素を早急に再評価することを要請する」と述べ、休暇中のユーロ圏首脳に対し、早急に救済基金の規模を拡大するよう訴えた。

 これに対し、ドイツ財務省の報道官は、首脳会議を先月行ったばかりの状況で、再び金融支援策を協議することが金融市場の沈静化につながるのかは不透明として、委員長の主張を一蹴した。

 オランダ財務省も、議論を再開するのではなく、今は首脳会議での合意を実行に移すことに注力すべきとの見解を示した。

 先月の欧州首脳会議では、EFSFの機能拡充で合意したが、規模拡大については見送られている。

 EFSFの融資能力は現在最大で4400億ユーロ、13年に常設されるESMは5000億ユーロとなっている。イタリアやスペインなどに対する攻撃に先手を打つには、EFSFの規模を現在の少なくとも2倍、おそらく3倍に拡大する必要があるとアナリストはみている。

 スペインが同日実施した入札では、予定額をほぼ調達したものの、平均利回りは大幅上昇した。

 <当局の介入めぐる議論>

 世界では、日本当局が円高抑制に向けて市場介入を実施。3日にはスイス国立銀行(中銀)が、スイスフラン高に対応するため、政策金利のレンジを切り下げている。

 トリシェ総裁は、これらの当局による介入は、協調された多国間の政策アプローチの一環ではないとの見解を示した。

 これに対しイタリアのトレモンティ経済財務相は、「日銀は4日、追加緩和に踏み切り、スイス中銀は(前日)政策金利を切り下げた。われわれは、願わくば(ECBからの)決定を待ち望んでいる」と発言。最近のイタリア資産への売りに対するECBの対応ペースに不満をにじませた。

 またアジアの投資家と話した際、彼らが「仮にECBがイタリア国債を買い入れないのなら、なぜわれわれが買うべきなのか」と語ったと明らかにした。

 トリシェ総裁は、イタリアは財政健全化に向け十分な措置を講じてるかと問われ、構造的な措置を前倒しして行うことが必要だと答えた。 

 イタリア議会が前月可決した480億ユーロの財政再建計画は、歳出削減負担の多くを2013年の総選挙後に先送りしている。

 このような状況の中、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のチーフエコノミスト、ジャン・ミシェル・シックス氏は、混乱しているユーロ圏債券市場を早急に安定化できるのは、ECBだけとの考えを示した。

 同氏は「市場はまだ動いており、誰かが介入することが必要だ。ECBは危機が始まったころから、市場の沈静化に見事な役割を果たしてきた。われわれを迅速に救出できるのは、ECBだけだ」と述べた。

 債券買い入れには、ドイツ連銀が強く反対しており、昨年はウェーバー前総裁が公然と反対姿勢を打ち出し、ECB理事会内で亀裂が生じた経緯がある。

 <フランスをめぐる懸念も浮上>

 イタリア、スペインにとどまらず、一部ではフランスの財政状況に対する懸念も浮上している。

 仏10年物国債の対独連邦債利回りスプレッドは3日、ユーロ導入後の最高水準となる0.81%ポイントに拡大した。

 ユーロ圏の救済基金の規模を大幅に引き上げれば、フランスに著しい追加負担がかかるのは確実で、仏国債の利回りをさらに押し上げかねない状況にある。

 またさらなる危機波及先として、ベルギーが浮上している。ロイズ・バンキング・グループ(LLOY.L)の財務担当幹部が明らかにしたところによると、英金融サービス機構(FSA)は国内銀行に対し、ベルギー国債へのエクスポージャーに関する情報提供を求めた。ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインなど債務問題を抱える国のリストに、新たにベルギーを加えたという。

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